BY NATASHA WOLFF, PHOTOGRAPHS BY STEFAN RUIZ, TRANSLATED BY MIHO NAGANO
ミニマリズムを代表するアーティストであるドナルド・ジャッドは、かつてこう書いている。「私はツーソン周囲の土地を愛した。その主たる理由は、すべてを見渡せるからだ」。むき出しのままの土地がすぐそこにあり、その上には果てしない空が広がっている。それは、パスクが建てたいと考えていた家の根本をなす理念でもあった。6年前、サワロ国立公園からそう遠くない場所にあるこの家が売りに出されているのを、彼の友人がネットで見つけた。最初の印象はよくもあり、悪くもありという感じだった。「桃色に塗られていたんだ」と、パスクが渋い顔で言う。だが彼はこの家のポテンシャルを見抜いた。「紛れもなくこの土地特有の、厳しさを内包した建物だったからね」。そして家のまわりには、どちらを向いてもソノラ砂漠が広がっていた。
多くの日干しレンガ造りの建築同様、この家(1968年に建てられ、1979年に増築がなされた)は、砂漠の厳しい日差しから逃れるシェルターとしてデザインされていた。だが、パスクは文字どおり、日光を家の中に〝採り入れる〞ことを望んだ。
アリゾナでは
「光がすべてを変える。光があるからこそ、私はここに来たんだ」
とパスクは言う。