インテリアデザイン界の常識を軽々と超えるエニー・リー・パーカー。子供の心に宿るような純粋な好奇心や喜びを、高度な技術で陶芸作品へと昇華する

BY LIZZIE FEIDELSON, PHOTOGRAPH BY LAUREN COLEMAN, STYLED BY TODD KNOPKE, TRANSLATED BY HARU HODAKA

 陶芸家でデザイナーのエニー・リー・パーカー。彼女が手がける作品のほとんどすべては、ありふれた住宅空間の退屈さを払拭する目的でつくられたものだ。「床があって、きっちりした垂直の壁があり、さらに水平な面があって」と彼女は言う。「つまり、私たちは箱の中で生活している」

 2017年にサバンナ芸術工科大学で美術学の修士号を取得して以来、彼女は、独特なハンドメイドの陶製家具やオブジェのコレクションを創造してきた。ブークレ毛糸やモヘアで覆ったスツールや、パーツを連ねたイヤリングなど、楽しげで曲線的で、まるで自然界にある現象をそのまま形にしたような作品の数々だ。現在30歳のパーカーは、ブラジルで韓国人の両親のもとに生まれた。フォルタレザという海辺の街で、手工芸品の露店をあちこち見て回りながら育った。彼女の最新のコレクションは、ランプや鏡、スツール、サイドテーブルなど合計11の作品群だ。「インターナライジング(内省化)」と題されたこれらの作品は、しかし、海岸線というよりも、もっと小さなものに焦点をあててつくられている。テーマはずばり、ひとつひとつの「細胞」だ。

画像: (手前左から) サイドテーブル、ミニチュアのシェードがついた柱状のランプ、二つのシェードがついたテラコッタのランプ。すべてエニー・リー・パーカーの「内省化」シリーズより ENY LEE PARKER TABLE, $4,200, FLOOR LAMP, $14,000, AND LAMP, $6,200, ENYLEEPARKER.COM. PHOTO ASSISTANT: MAMIE HELDMAN

(手前左から)
サイドテーブル、ミニチュアのシェードがついた柱状のランプ、二つのシェードがついたテラコッタのランプ。すべてエニー・リー・パーカーの「内省化」シリーズより
ENY LEE PARKER TABLE, $4,200, FLOOR LAMP, $14,000, AND LAMP, $6,200, ENYLEEPARKER.COM. PHOTO ASSISTANT: MAMIE HELDMAN

 作品のアイデアが浮かんだのは、パーカーが住んでいるブルックリンのウィリアムズバーグの地元の古書店で、一連の古い医学用のイラスト集を見つけたときだった。その本には、20世紀のスペイン人科学者サンティアゴ・ラモン・イ・カハールが、インクとペンで繊細に描いた脳細胞の図が何百ページにもわたって掲載されていた。彼は、神経細胞(ニューロン)は非連続体であり、ごく小さな隙間を通じて互いに交信しているということを発見した。パーカーはその図に描かれていたものを粘土で表現する試みを始めた。神経細胞から伸びる樹状突起のような形状の、壁に取りつける装飾ランプや、血のように赤いサイドテーブル、また、木の枝のように突き出たランプに、アンティークショップや教会のガレージセールで見つけたヴィンテージのランプシェードをかぶせた作品などだ。これらはブルックリンにあるデザインショールームのラブ・ハウスに最近展示された。

 そんな作品の数々は、パーカーが面白いものをつくり出すことにいかに情熱を懸けているかを物語る。照明の商業デザインでは常識とされる標準サイズにとらわれず、約30センチ四方のモスグリーンのランプベースに、ミニチュアサイズの緑色のギンガムチェックのシェードを合わせたりする。複数のランプがついた4つのパーツをひとつのベース上に集め、背の低いキノコ群のように見える作品もあれば、アコーディオンシェードの小さなランプが周囲にぐるりとついたパーツを、互いに積み重ねた形状の作品もある。この高さ約2メートルのトーテムポールのような作品は、クイーンズ地区のマスペスにある彼女の窯に入るよういくつかのパーツに分解し、それぞれ焼き上げた。天面に釉薬を塗ってつやを出したテーブルのパーツは、天地逆さまにつくって窯で二度焼きした。そんな高度な技巧を凝らしながらも、彼女の作品は子どもが抱くような純粋な喜びと可能性に満ちあふれている。

「デザインにはルールがありすぎる」とパーカーは言う。「実用性という考えに疑問を投げかけることは、すごく楽しい」。

 

This article is a sponsored article by
''.