ジャマイカ人初のブッカー賞受賞作家、マーロン・ジェームスがブラッド・ピットと語り合った政治、映画、国際支援

BY MARLON JAMES, PHOTOGRAPHS BY CRAIG McDEAN, STYLED BY JASON RIDER, TRANSLATED BY MIHO NAGANO OCTOBER 29, 2016

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ニット(参考商品)
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1. ブラッド・ピットは植木を殺してしまう。

それも植物を餓死させるという、最も非情なタイプの殺し屋だ。ビバリーヒルズにある彼のオフィスの、向かい合ったふたつのコーナーにその証拠がある。水をもらうことをとっくの昔に諦め、骸骨のようにやせ細った植木の残骸だ。10ヶ月ほど留守にしていたから、と彼は言う。言い訳になっていない説明だ。とにかく、僕には彼がどのように植木を殺したか、それを公表する使命がある。米国市民にはそれを知る権利があるし、それに人間、52歳にもなったら、悪評のひとつやふたつ、ないほうがおかしいだろう。

画像1: ブラッド・ピットについて、
誰も知らなかった6つのこと

 僕は「プランB」のオフィスにいる。ピットが2001年に共同設立し、今は所有しているフィルム・プロダクションだ。僕は彼に、建築の知識を披露していいところを見せようと決めていた。ハリケーン・カトリーナで甚大な被害を受けたニューオーリンズのロウワー・ナインス・ワード(下9地区)の再建を手伝っていたときに、ピットが学んだ建築の手法なんかについてだ。僕は建築家の坂茂(ばん しげる)を彼に教えてやろうと考えていた。坂氏はニュージーランドのクライストチャーチの被災地にダンボールの仮設大聖堂を建てたことで有名で、世界中で災害復興支援のプロジェクトに関わっているんだ。でも、ふと見たら、ピットの本棚には坂氏の全作品についての研究本が鎮座してるじゃないか。

 レコード・プレーヤーのそばには、ジョー・ストラマーがバックバンドのザ・メスカレロスと出したアルバムがあった。そのチョイスには特に驚かなかったが、写真家のダニー・リオン著の『ザ・バイクライダーズ』など、フリンジ(非主流)・カルチャーについての稀き 覯こう本が揃っていたのにはたまげた。なにもピットが大スターだから、世の中のことに多少うとくてもおかしくないという理由で、彼の本のセレクションに驚いたんじゃない。彼が父親だからだ。普通、子どもを持つと真っ先に失われてしまうのがクールさだからね。親になると、ラクなデニムの半ズボンを平気ではくようになっちゃうから。で、彼が立ち上がって握手したときはというと、白いTシャツに白のジーンズ姿で、白いフェルトの中折れ帽を被っていた。父親(Dad)というよりは、映画『ビッグ・リボウスキ』(’98)でジェフ・ブリッジスが演じたデュード(Dude)みたいだった。

 

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