BY REIKO KUBO
『ブゴニア』

Ⓒ2025 FOCUS FEATURES LLC.
『女王陛下のお気に入り』『哀れなるものたち』の監督ヨルゴス・ランティモスとオスカー女優エマ・ストーンのコンビに、前作『憐れみの3章』から続投のジェシー・プレモンスが加わった強力チームによる話題作。韓国映画『地球を守れ!』(2003)のリメイク作は、現代的にブラッシュアップされ、目下、第98回アカデミー賞の作品賞、主演女優賞を含む4部門でノミネートされている。
エマ・ストーンが演じるのは、大手製薬会社のCEOミシェル・フラー。豪邸住まいのミシェルは、ヘルシーかつストイックな朝のルーティンをこなし、マックイーンのスーツにルブタンのヒールを合わせて出社する。そんな彼女が帰宅直後、二人の覆面男に誘拐されてしまう。襲った男はミシェルを地球滅ぼすアンドロメダ星人だと信じる陰謀論者のテディ(ジェジー・プレモンス)と引きこもりの従兄弟ドン(エイダン・デルビス)。彼らはミシェルを地下室に監禁し、宇宙船と交信するためのアンテナだからと彼女の髪を丸刈りにし、戦闘能力を封印するため体にクリームを塗りたくる。

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得意の話術で彼らを懐柔しようとするミシェル。テディは彼女の話に耳を貸すどころか、地球を守る交渉のため、月食の夜に宇宙船に連れて行けと迫るが、やがて彼の過去と悲しみが浮かび上がる。そんな二人の間で真実はどこに!?と揺れるドン。誘拐サスペンス、ブラック・コメディ、社会派不条理劇、そしてSFと、ジャンルを横断しながら社会の歪みと世界の危機を描き出す野心作。タイトルの“ブゴニア”は、古代ギリシアや中世ヨーロッパで信じられていた「雄牛の死骸からミツバチが自然発生する」という伝承や儀式に由来する言葉で、「死からの再生」という意味も有するという。そんなタイトルが頭をよぎるラストがしみじみ怖い、鬼才ランティモスならではの衝撃作だ。
映画『ブゴニア』本予告 | 2026年2月13日(金)全国公開
youtu.be『ブゴニア』
TOHOシネマズ日比谷ほかにて公開中
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『センチメンタル・バリュー』

© 2025 MER FILM / EYE EYE PICTURES / LUMEN / MK PRODUCTIONS / ZENTROPA ENTERTAINMENTS5 APS / ZENTROPA SWEDEN AB / KOMPLIZEN FILM / BRITISH BROADCASTING CORPORATION / ARTE FRANCE CINÉMA / FILM I VÄST / OSLO FILM FUND / MEDIEFONDET ZEFYR / ZDF / ARTE
『わたしは最悪。』で人気を集めたヨアキム・トリアー監督が、レナーテ・レインスヴェを再び主演に据えて描く、昨年のカンヌ国際映画祭グランプリ受賞作。メンタルの問題を抱えながら、舞台上では観衆を魅了する俳優の姉ノーラと、姉をサポートしながら家庭に入り、穏やかに暮らす妹アグネス。姉妹が亡くなった母の追悼会を開くと、音信不通だった映画監督の父(ステラン・スカルスガルド)が新作の企画を携えてやってくる。父に主演を望まれたノーラが家族を捨てた父への複雑な想いから断ると、代わりにハリウッド女優(エル・ファニング)が役を引き受けることになり……。

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インガ・イブスドッテル・リレオース演じる妹との姉妹の絆と、言葉にならない感情を溢れさせるレインスヴェは今年のアカデミー主演女優賞に、有名監督ならではの存在感と脆さの両面を滲ませるスカルスガルドは同助演男優賞にノミネートされている。舞台となるのは姉妹の絆と記憶が堆積した家。祖母、母の代から家族を静かに見守ってきた家は、家族の歴史と沈黙を共有するもう一人の登場人物かのよう。ノルウェー、オスロの透明感あふれる淡い光の中、芸術を通してでないと向き合えない不器用な親子の行方に見る者を引き込むトリアー監督はアカデミー監督賞に、さらに作品賞にもノミネートされている。
映画『センチメンタル・バリュー』|本予告【2月20日公開】
youtu.be『センチメンタル・バリュー』
2月20日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
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『嵐が丘』

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エミリー・ブロンテ作の「嵐が丘」は、寒風吹きすさぶ荒野を舞台に地主の娘キャサリンと浅黒い肌の孤児ヒースクリフとの愛憎と復讐が渦巻く19世紀の小説。ケイト・ブッシュがその世界を妖しく歌ったことでも知られる幽霊譚は、松田優作が田中裕子の亡骸を探して墓を暴き続ける吉田喜重版(1988年)など、これまでに何度も映像化されてきた。

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そして今回、新たにマーゴット・ロビーが製作し、自らキャサリンを演じる『嵐が丘』が公開される。『スーサイド・スクワッド』のハーレイ・クイン役から『バービー』まで幅広い演技力を誇るロビーが組むのは、『プロミシング・ヤング・ウーマン』の監督エメラルド・フェネル。ポップな解釈で挑む彼女らが世紀の恋人ヒースクリフに抜擢したのは、ソフィア・コッポラの『プリシラ』でエルヴィス・プレスリーを演じ、『フランケンシュタイン』でアカデミー助演男優賞にノミネートされているジェイコブ・エロルディ。「おまえの影を追い求めて死にたい!」と叫ぶ190センチ超え、甘いマスクの情熱の恋人に沼りたい! そんな願望を炸裂させる新装版は、衝撃的な冒頭からキャサリンの性に焦点を当て、その衝動と官能、極彩色のアート&音楽の奔流によって観客を挑発し続ける。
映画『嵐が丘』本予告 | 26年2月27日(金) 日本公開決定!
www.youtube.com『嵐が丘』
2月27日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
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