BY MICHINO OGURA, PHOTOGRAPHS BY MISUZU OTSUKA, STYLED BY MEGUMI YOSHIDA, HAIR & MAKEUP BY YUKO AIKA AT W TOKYO

スポーツマインドをミックスした進化型プレッピーをしなやかなポージングで着こなす。レイヤリングの妙で魅せるプレイフルなスタイリングは凜とした彼女に似合う。ジャケット¥451,000・シャツ¥143,000・パンツ¥170,500・スカーフ〈90×90㎝〉¥86,900・イヤリング¥83,600・ネックレス¥104,500・チャーム(ベルランゴ)¥61,600・右手リング(人さし指)¥74,800(すべて予定価格)/セリーヌ
セリーヌ ジャパン
TEL.03-5414-1401
2026年度後期NHK連続テレビ小説「ブラッサム」の主演を務める俳優・石橋静河。バレエやダンスで培った身体性と奥行きのある演技力で今年もっとも注目したい表現者に迫る。


フェミニニティを再定義するプラダ。レザーの重厚さを身体の繊細な動かし方ひとつで軽やかに昇華する。レザーコート¥1,540,000・シャツ¥214,500・ショーツ¥105,600・シングルピアス〈ダイヤモンド、WG〉¥825,000・グローブ¥203,500・靴¥291,500(すべて予定価格)/プラダ
プラダ クライアントサービス
TEL.0120-45-1913

タッセルを配したアシンメトリースカートは動くたびにドラマティックな軌跡を描く。ストレッチのきいたトップスと相まって、さながらステージで踊るダンサーのよう。ポジティブな女性像で着こなしたい。スカート¥1,945,900・サンダル¥234,300(ともに参考価格)・トップス(参考商品)/アライア
リシュモン ジャパン アライア
TEL.0800-500-2777

さまざまな演技経験から生み出される豊かな表情。上質なシャツとカシミアのニットを、まるでずっとワードローブの一員だったかのように自然に着こなした。シャツ¥284,900・カーディガン¥320,100/ザ・ロウ
ザ・ロウ・ジャパン
TEL.03-4400-2656
心と体をチューニングして、激動の時代をポジティブに生き抜いた女性を演じたい
時には隣にいそうな親近感のわく女性を、時にはひとりの男の人生を狂わせる孤高の女性を。たとえどんな役を演じていたとしても、映像作品に出ていると、思わず目で追ってしまう存在感を放っている石橋静河。4歳からクラシックバレエを学び、15歳でアメリカとカナダにダンス留学をしたという彼女は、すっと軸の通った立ち姿でスタジオに現れた。
昨年、俳優の道を選んで10年目を迎えたという石橋は、穏やかにこれまでの道のりについて教えてくれた。
「演技を始めたばかりの頃は、自分は何ができて、何ができないのかもわからない状態。ただ目の前のことに必死で応えていました。お芝居の世界は正解がないぶん、悶々としたり、達成感があっても周囲の評価が自分の感覚とは違ったりもします。20代はちゃんと失敗して、飛び込んで、擦りむきました。でも、それはすべて栄養になっています。やっと今になって、そのときの自分にできることを精いっぱいやればいいんだ、と思えるようになりました」
俳優の池松壮亮とダブル主演を務めた『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(2017年)では、初主演ながらブルーリボン賞をはじめ数々の新人賞を受賞し、そこから着実にキャリアを積み重ねてきた。役者を続けていくうえで、乗り越えてきたことはあるのだろうか?
「小さい頃から踊りをやっていたのですが、踊りであれば、真ん中に自分がいるままで表現することができます。でも、お芝居は自分の人生の席を、ある一定の期間誰かに明け渡さないといけないと思ってやってきました。お芝居の最中はいいのですが、撮影が終わって家に帰ってきてから、自分の人生なのに自分がいない感じがあって戸惑いました。その感覚とどうつき合うかが一番悩んだことかもしれません。他人の人生を生きるといってもフィクションなので、今は、自分の体を使ってやる表現なんだと胸を張るようにしています。悲しい感情を表現すると猫背になって、体がぎゅっと縮こまって小さくなっていくのですが、お芝居を終えたらちゃんとフラットな体に戻す。姿勢をまっすぐに戻す、これはシンプルなことですが、自分の軸に戻れる一番の方法ですね」
体と心に向き合い続けた20代、一番心に残っているのは2021年に長塚圭史が演出した『近松心中物語』の舞台だった。飛脚宿亀屋の養子である忠兵衛と遊女の梅川、古道具屋の婿養子・与兵衛と箱入り娘・お亀の二組の恋模様を描いた作品。石橋はお亀を演じた。
「江戸時代の大阪育ちのお嬢さまという役柄だったのですが、松田龍平さんが演じた与兵衛のことが大好きでしょうがない女性。恋しい人との心中物語に心酔している役なのに、すっごく明るいんです。今日はいたアライアのスカートのように、衣装の着物もかなりボリュームがありましたし、カツラも重くて。その重みが体に乗っかった瞬間にいろいろなことがカチッとハマった感じがして、すごく楽しくて。底抜けに明るい役を演じられたのがよい思い出です」
2026年の大きな挑戦は、秋から始まるNHK連続テレビ小説「ブラッサム」の主演を務めることだろう。オファーがきたときは「ひとことで言うとびっくりした」と石橋。明治から平成にかけて生きた作家・宇野千代をモデルとした物語の主人公・葉野珠(たま)役にはどう準備しているのか。
「宇野さんの写真を拝見したときに、なんて可愛らしい人なんだろうと。調べると、失敗してもくじけないし、すごくポジティブなんです。彼女の明るさについて考えたときに、ただ浮き足だった明るさなのではなくて、その時代の苦しいことを乗り越えるためにすべてポジティブな選択をしてきたのかもしれないと思いました。お互いを監視しあうような時代のなかで、新しい挑戦をしたり、人とは違うスタイルをもつのはとても難しいこと。でも誰かと争って奪うのではなく、ただ楽しいとか、好きとか、そんなポジティブな気持ちでするするっと切り抜けて、自分も周囲の人も引っ張っていく。そんな生き方は今の時代を生きる私たちにもヒントになるはず。時代を超えた友達ができたような感覚になりました」
30代になって、やっと「体と頭が同期した」という石橋。困難があってもひとりで何でも解決できるタイプかと思いきや、とにかく周囲に話して解決することが多いそう。母である女優の原田美枝子は一番の聞き手だと話す。
「困ったときは、とにかく人に話すことが一番大きな解決策になりますね。子どもの頃から、ああしろ、こうしろとは言われずに、とりあえずは自分の責任でやってみたらと育てられてきました。今は母に相談すると、私だったらこうするかも、とほどよい距離感でアドバイスをくれます。家族からは影響しか受けていないでしょうね。母方の祖母は踊りやお芝居が大好きだったようですが、戦争でやりたいことができなかったので、子どもたちには何でもやらせてあげたそうです。父方の祖母も90歳の誕生日に車椅子から突然立ち上がって踊り始めたというパワフルな人。父はお芝居と音楽、母もお芝居をやっていますし、私にもそういうことが好きな血が流れているんだろうな」
大役に挑んだ先にはどんな夢があるのかと聞いてみると、わくわくさせてくれるビジョンを教えてくれた。
「踊ることも歌うことも好きですし、演出する側も面白そう。でも、一番はもっと海外の人と仕事がしたいです。どんなかたちでもいいのですが、違う文化をもっている人たちには多様なアイデアがありますし、そこに触れることで自分が日本の中の常識や価値観にとらわれていることに気がつくはず。そういうものから自由になったときに自分はどんなパフォーマンスができるのか興味があります」

レザーコート¥1,540,000・シャツ¥214,500・シングルピアス〈ダイヤモンド、WG〉 各¥825,000・グローブ¥203,500(すべて予定価格)/プラダ
プラダ クライアントサービス
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石橋静河(いしばし・しずか)
東京都出身。俳優、ダンサー。海外で研鑽を積んだのち、演技の道へ。2017年、『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』で初主演を果たし各映画賞新人賞を受賞。以降、映画・ドラマ・舞台で活躍しており、身体性を生かした静かな存在感と繊細な表現力に定評がある。
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