BY JUN ISHIDA, PHOTOGRAPHS BY YASUTOMO EBISU, STYLED BY TAICHI SUMURA, HAIR&MAKEUP BY KENICHI YAGUCHI, TEXT BY TOMONARI COTANI
ドミニク・チェン(DOMINIQUE CHEN)
情報学研究者
ウェルビーイングとテクノロジー、人工生命技術と創造性、あるいはインターフェイスデザイン。情報学研究者のドミニク・チェンは、そうした分野を通じて科学技術や社会、文化を凝視することで、「現代をよりよく生きていくための哲学」を編み出せるのではないかと考えている。たとえば「人がよりよく生きること」と「情報技術」の間には、どのような関係性があるのだろうか?
「情報技術は、私たちの生活に欠かせないものになりましたが、同時に、多くの“設計ミス”が指摘され始めています。アメリカでは、成長途中の子どもの精神衛生や大人同士の社会関係に、SNSが悪影響を与えることがデータ分析によってわかってきました。社会分断を生み出す“フィルターバブル現象”も、広告技術の発展で培われた情報処理技術が助長していることがわかっています」
一部の企業などの思惑で、人々の心理状態を操作したり、意図せずとも悪い状況を招いている、ということだろうか。
「はい。そうした状況を浮き彫りにし、人工生命やインターフェイスデザインの知見も生かしながら、『よりよく生きるための情報技術』を設計していく活動に関わり続けたいと思います」
ドミニク・チェン
情報学研究者。1981年生まれ。早稲田大学文化構想学部准教授、起業家、情報学研究者。『謎床―思考が発酵する編集術』など著書多数