時代を超えて人々を魅了する名品たち。第11回は、エルメスの「アルソー 大空の熱狂」。太古より空を飛ぶことを夢見てきた人々の熱き想いと浪漫が映し出された名作の今と昔をご紹介。遊び心と上質なユーモアはいつの世も、幸福な人生に欠かせないもの

BY LINDSAY TALBOT, STILL LIFE BY MATTHEW AVIGNONE, TRANSLATED BY CHIHARU ITAGAKI

 航空機が飛ぶはるか前から、芸術家や発明家たちは空を飛ぶことを夢見てきた。中国には2千年以上も昔から、竹や紙、布でできた凧たこがあったと言われている。レオナルド・ダ・ヴィンチは、飛行機が発明される4世紀も前にオーニソプター(羽ばたき式飛行機)、つまりフットペダルとハンドレバーで羽を動かして空を飛ぶ、コウモリのような形の機械をスケッチしている。

 1783年、ジョゼフ=ミシェルとジャック=エティエンヌのモンゴルフィエ兄弟が、世界初となる熱気球の飛行実験を行った。初めての空の旅に乗客として送り込まれたのは、羊とアヒル、ニワトリだった。

画像: 1984年にフランスの画家ロイック・デュビジョンが手がけた、エルメスのシルクスカーフ。黎明期の飛行船を、遊び心たっぷりに解釈 LES FOLIES DU CIEL, 1984, SILK SCARF, COURTESY OF HERMÈS

1984年にフランスの画家ロイック・デュビジョンが手がけた、エルメスのシルクスカーフ。黎明期の飛行船を、遊び心たっぷりに解釈
LES FOLIES DU CIEL, 1984, SILK SCARF, COURTESY OF HERMÈS

 こういった空飛ぶ乗り物にまつわる豊かな想像力をインスピレーション源にして、1984年にフランスの画家ロイック・デュビジョンがエルメスのシルクスカーフを制作。「アルソー 大空の熱狂」と題されたスカーフには、カラフルな飛行船や球形のバルーン、風になびく帆船などが描かれている。

 エルメスの新作ウォッチ「アルソー 大空の熱狂」は、このデュビジョンのスカーフと、飛行士の先駆け的存在となるものに着想を得ている。ベースとなる腕時計「アルソー」は、1978年にアンリ・ドリニーがデザインを手がけた。今ではエルメスを象徴するアイテムになっている。

画像: 最新作のウォッチ「アルソー 大空の熱狂」。ホワイトゴールドにハンドペイントで描かれた鳩型のゴンドラや熱気球が、マザーオブパールの文字盤に配されて ウォッチ「アルソー 大空の熱狂」¥8,866,000(予定価格)/エルメス エルメスジャポン TEL. 03(3569)3300

最新作のウォッチ「アルソー 大空の熱狂」。ホワイトゴールドにハンドペイントで描かれた鳩型のゴンドラや熱気球が、マザーオブパールの文字盤に配されて
ウォッチ「アルソー 大空の熱狂」¥8,866,000(予定価格)/エルメス
エルメスジャポン
TEL. 03(3569)3300

 この新作ではマザーオブパールの文字盤を大空に見立てており、そこに浮かぶピンクとグリーンの二つの熱気球は、ネオライト樹脂を手作業で彫り込んだもの。その下には、ホワイトゴールドにハンドペイントした、パステルカラーの大きな鳩の形のゴンドラがぶら下がっている。この空飛ぶ乗り物の上に浮かぶもうひとつのバルーンは、オレンジとブルーのストライプ柄で、手首の動きに合わせて動く仕組みだ。

 ホワイトアリゲーターストラップのついたこの腕時計は、世界で24本のみの限定生産。まさに飛ぶように、あっという間に売れてしまうことであろう。

PHOTO ASSISTANT: MARIA TRAJTENBERG

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