BY KIMIKO ANZAI, PHOTOGRAPHS BY MIDORI YAMASHITA
新醸造最高責任者となるシャプロンが「ドン ペリニヨン」に参加したのは2005年のこと。13年間、ジェフロワのかたわらで「ドン ペリニヨン」について学んできた。ジェフロワはシャプロンの醸造最高責任者としての資質は早くから見抜いていたが、それをあえて口にすることはなかったという。
ジェフロワは言う。「彼は明晰な頭脳と的確な技術をもっていた。でも、これは醸造家としての絶対条件。加えて彼は、若いながらもマチュアな精神をもっていました。そして何よりクリエイティヴィティがあった。『ドン ペリニヨン』は、技術を超えたところに存在するシャンパーニュです。彼ならメゾンを任せられると確信しました」。そして、今から1年半前の大切な会議の日、ジェフロワはシャプロンに「これから社長のところに行こう」と突然切り出したという。
「正直、驚きました。ただ、それまでリシャールは『ドン ペリニヨン』に関するあらゆることを私に教えてくれていたので、『そういうことだったのか』と納得できました」とシャプロンは話す。「リシャールは、この13年間、ずっと私を見守っていてくれました。私も、時間をかけて『ドン ペリニヨン』の哲学を受け取ってきた。彼のふるまい、まなざしの中からもさまざまなことを学びました。そういう意味では、『私の準備はもうできている』と言っていいでしょう」
その言葉を受けて、ジェフロワが続ける。「『ドン ペリニヨン』にはレシピがありません。大切なのは、遊び心と、つねに自由である精神です。それこそが『ドン ペリニヨン』の本質なのです」
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