ハリウッド、スポーツもアート界も
“称賛と喝采”は
「モエ アンペリアル」とともに

　モエ アンペリアルを愛したのはハリウッド・セレブだけではない。ポップアートの父、アンディ・ウォーホルは、80年代のニューヨークでの華麗なナイトライフとセレブリティの友人たちのポートレートをモノクロームで撮影をしていたが、ウォーホル自身が仲間たちとモエ アンペリアルを楽しむ姿も撮影されている。

　スポーツ界においても、モエ アンペリアルはセーリング、テニスのツアー選手権ほか、多くの大会で勝利に寄り添ってきた。特に、モータースポーツ界においての“勝利のシャンパンファイト”は有名だが、これにはきっかけとなる出来事があった。1967年の「ル・マン24時間耐久レース」で優勝したダン・ガーニーが、表彰台の上から思わずシャンパンを振りまいてしまったのだ。このパフォーマンスはのちに“シャンパンファイト”として、世界中のレースの表彰台に広まっていった。

　モータースポーツのチャンピオン、ジャッキー・スチュワートは、さらに、新たな“自らを祝福するパフォーマンス”を見せた。1971年、シルバーストーンサーキットで行われたイギリス・グランプリで表彰台の上に立つと、モエ アンペリアルのボトルに口をつけ、勝利の味に酔いしれたのだ。

　150周年を迎える今年、モエ アンペリアルの特別限定ボトルが登場した。「Ⅰ」は「IMPÉRIAL（皇帝）」の意で、三代目当主のジャン・レミー・モエと兄弟のような親交のあった皇帝ナポレオンを意味する。7月には、モエ アンペリアル150年周年記念の限定品が発売されたが、興味深いのはそれにセットされたクープグラスだ。5年ほど前から、パリではフルートグラスではなくクープグラスでシャンパンを楽しむスタイルが流行っている。実はこのクープグラスの由来は、ポンパドゥール侯爵夫人の乳房を象ったとも、王妃マリー・アントワネットの乳房を象ったともいわれているのだ。

　ふたりの美女が生きた時代は、フランス宮廷文化が華やかな頃で、フランス国内はもとより、ヨーロッパの各国から銘醸ワインが宮廷に入ってきていた。当時のモエ社が創業された1743年は、ちょうどポンパドゥール侯爵夫人がフランス宮廷に出入りを始めた頃であったし、マリー・アントワネットの時代には、モエ社のシャンパンはすでに宮廷で人気を博していたという。ポンパドゥール侯爵夫人が遺したこんな言葉がある。「飲んだ後でも女性が美しくいられるのはシャンパンだけ」――。つまり、彼女たちがモエ社のシャンパンを飲んだ可能性はかなり高いのだ。

　モエ アンペリアルは、18世紀の昔から祝福と称賛のシャンパンだった。まるで光を溶かしたような淡いゴールドの泡とブーケのようなアロマティックな香り。華やかさに満ちたその遺伝子は、今も脈々とその味わいの中に受け継がれている。

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