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ハリウッド、スポーツもアート界も
“称賛と喝采”は
「モエ アンペリアル」とともに

MOËT IMPÉRIAL 150th Anniversary ー Vol.2 Champagne with Celebrity
ハリウッド映画の中でも多くのシーンを彩ってきたシャンパン、「モエ アンペリアル」。エンターテインメントをはじめ、スポーツや芸術の世界での輝かしいシーンに寄り添ってきたその歴史を紐とく

BY KIMIKO ANZAI

 1743年の創業時より、マリー・アントワネットや皇帝ナポレオンを筆頭に、時代の寵児やセレブ達に愛されてきたモエ・エ・シャンドンのシャンパーニュ。20世紀以降、往年の銀幕スターから現代のアイコンまで、ハリウッド・セレブたちの“モエ・エ・シャンドン愛”は強く、人々の記憶に残る名シーンにモエ アンペリアルがいっそうの華やぎを添えてきた。

 モエ アンペリアルが世界の表舞台に立つチャンスは1893年にまず訪れた。英国のヴィクトリア女王御用達となり、バッキンガム宮殿へ納められたのだ。1900年には、パリ万国博覧会の会場で世界の人々に広く知られることなる。その頃はすでにヨーロッパの上流階級のあいだでモエ アンペリアルの人気は高まり、社交界を彩るのに欠かせないものとなっていた。

 その華麗なる存在感は次第に世界へと拡大し、その後、モエ アンペリアルの新しい舞台となったのはカンヌだった。1960年、スターが一堂に会したコート・ダジュールでの晩餐会で、映画界のレジェンドともいうべきキム・ノヴァクとケイリー・グラントがモエ アンペリアルを前に談笑する写真が残っている。

画像: コート・ダジュールのレストランでシャンパンを楽しむケイリー・グラントとキム・ノヴァク。“古きよきアメリカ”の雰囲気をまとっている © HuffSchmitt SIPA

コート・ダジュールのレストランでシャンパンを楽しむケイリー・グラントとキム・ノヴァク。“古きよきアメリカ”の雰囲気をまとっている
© HuffSchmitt SIPA

 1965年には同じくコート・ダジュールの映画セットの中で、40歳の誕生日を迎えたポール・ニューマンをモエ アンペリアルで盛大に祝っている。こうして「モエ・エ・シャンドン」は銀幕のスターたちを次々と虜にしていった。

 アメリカでのブレイクは1977年にマンハッタンに伝説のナイトクラブ「Studio 54」のオープンとともに始まった。ウディ・アレン、デヴィッド・ボウイ、ローレン・バコールを始めとする多くのセレブレティたちが華やかな時代を創り上げていった。

画像: モエ アンペリアルで40歳の誕生日を祝うポール・ニューマン。ずらりと並べられたボトルが当時の彼の人気ぶりを物語る © HuffSchmitt SIPA

モエ アンペリアルで40歳の誕生日を祝うポール・ニューマン。ずらりと並べられたボトルが当時の彼の人気ぶりを物語る
© HuffSchmitt SIPA

 ハリウッド映画に登場するシャンパンは数あるが、中でもモエ アンペリアルの登場回数は最多数。ハリウッドスターたちのカンヌでの出会いや、マンハッタンのクラブでの伝説を思えば、至極当然のことともいえる。だが、そこにはもうひとつ、“祝福と賞賛のシャンパン”だからという理由もあったろう。なぜなら、「モエ・エ・シャンドン」が登場する場面は、常に幸福感に満ちているからだ。

 今でこそ、“イチゴとシャンパン”は一般的に楽しまれるペアリングになったが、これを世界的に流行らせたのが『プリティ・ウーマン』だった。当時、おしゃれで斬新なペアリングとして話題になった。『プラダを着た悪魔』では、まさしく成功の象徴として描かれている。主人公(アン・ハサウェイ)が出張で訪れたパリで乾杯するシーンからは、苦労の末“夢の仕事”に成功した歓びが伝わってくる。

画像: 『プラダを着た悪魔』のワンシーン。当時主人公に共鳴する働く女性は多かった © 20th Century Fox / Photofest / Zeta Image

『プラダを着た悪魔』のワンシーン。当時主人公に共鳴する働く女性は多かった
© 20th Century Fox / Photofest / Zeta Image

 また、画面いっぱいに“祝祭”のシーンが描かれたのがレオナルド・ディカプリオ主演の『華麗なるギャツビー』だ。愛する女性のために成功を果たしながらもやがて破滅していく、主人公のうたかたな日々――。アメリカの上流階級の華やかな暮らしぶりや主人公の揺れ動く気持ちを、モエ アンペリアルの黄金の泡がそっと映し出しているかのようだ。実は、原作者のF・スコット・フィッツジェラルドは大のシャンパン好きで、日頃から愛飲していたという。パリ特派員時代には、同じくシャンパン好きのアーネスト・ヘミングウェイとの交流もあったというから、文豪ふたりでモエ アンペリアルを開けたこともあったに違いない。

画像: 『華麗なるギャツビー』より。50年代のジャズ・エイジの空気感をモエ アンペリアルで表現 © Tobey Maguire, Leonardo DiCaprio, Carey Mulligan, Joel Edgerton

『華麗なるギャツビー』より。50年代のジャズ・エイジの空気感をモエ アンペリアルで表現
© Tobey Maguire, Leonardo DiCaprio, Carey Mulligan, Joel Edgerton

 映画の中のシャンパンといえば忘れてはならぬのが『タイタニック』。史実をテーマに、“束の間でも本物の愛”を描いて世界的大ヒットとなった。主人公のジャック(レオナルド・ディカプリオ)が一等船室にあるレストランで恋人のローズ(ケイト・ウィンスレット)と同じ上流階級の人々とテーブルを囲むシーン。ローズの母がジャックに訊ねる。

「根無し草の暮らしに満足なの?」。すると彼はこう答える。「満足です。必要なものは揃っています。健康な体とスケッチブック。朝目を覚ますとまた未知の一日が始まる。何が起こるか。橋の下で眠ることもあれば、世界一の豪華客船でシャンパン」。そして彼は給仕に「もう1杯」と頼んだ後、こう言うのだ。「人生は贈り物。ムダにしたくない」――。壮大なロマンや悲劇、そして痛快なサクセスストーリー。世に様々な映画はあれど、モエ アンペリアルがあるシーンでは、その人らしく最高に幸福な瞬間を生きる主人公が描かれている。

画像: 『タイタニック』の名シーン。モエ アンペリアルはふたりの真実の恋を彩っていた © 20th Century Fox / Allstar Picture Library / Zeta Image

『タイタニック』の名シーン。モエ アンペリアルはふたりの真実の恋を彩っていた
© 20th Century Fox / Allstar Picture Library / Zeta Image

 以前、モエ・エ・シャンドンの最高醸造責任者、ブノワ・ゴエズ氏が教えてくれた『タイタニック』にまつわるとっておきの秘話がある。前出の映画のシーンでは、登場するシャンパンの銘柄はモエ アンペリアルだったが、史実ではボトルのラベルは「ホワイトスター」だったという。しかし、その中身は実はモエ アンペリアル。これは、タイタニック号がモエ・エ・シャンドン社に依頼したプライベート・ラベルだったのだ。

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