BY T JAPAN, FOOD COORDINATION BY YUKIKO HIRANO
【今月の野菜:トマト】
一年を通して手に入るトマトは、もともとはアンデス地方が原産で高温多湿の気候には向いていないとされていたが、現在は品種改良が進み、どの季節でも美味しいものが出回っている。加熱することと、オリーブオイルを合わせることで、トマトに含まれる抗酸化作用をもつリコピンの吸収率が、生で食べるよりもグンと高まる。

「今回のレシピは大玉トマト、ミディトマト、フルーツトマトなど、手に入るものでOKです。何種類かまとめて焼いて、味わいの違いを楽しんでもいいですね」(平野さん)
レシピ1:作り置きができる万能の「焼きトマト」
トマトを焼くことで、水分が飛んで旨味と甘みが凝縮され、しかもリコピンの吸収率もアップ。作り置きしておけば、このあと紹介する「トマト&ブラータ」「トマトのブルスケッタ」もすぐに仕上げることができる。また、リゾットや、焼いた肉や魚のソースにも応用できる。

そのままいただくと、水分を多めに含んだドライフルーツのような絶妙な味わい。冷蔵庫で3〜4日保存できる
<材料>
トマト、フルーツトマトなど 適量
<作り方>
1 トマトはヘタを切り、半割りにして、150度のオーブンで50〜1時間焼く。
2 冷蔵庫で冷たくしておく。
レシピ2:トマト&ブラータ
レシピ1で紹介した「焼きトマト」にブラータチーズを盛り合わせて調味料をかけるだけ。プルンとしたフルーツのような口あたりのトマトと濃厚なブラータが溶け合った、夏らしさいっぱいのみずみずしいアンティパスト。

ジューシーなトマトの甘みがクリーミーなブラータと相まって、まるでデザートのような幸せな味わいに
<材料 2〜3人分>
レシピ1の焼きトマト3個分、ブラータ1個
A[オリーブオイル大さじ1、バルサミコ酢大さじ1、塩・こしょう各少々]
<作り方>
1 皿にトマトを並べ、ブラータと盛り合わせる。
2 Aを混ぜ合わせたものを回しかける。
レシピ3:トマトのブルスケッタ
焼きトマトの旨味をバジルが引き立て、さらにパンに塗ったニンニクの香りが広がって奥深い味わいに。パンはカリッと焼くのが美味しく仕上げるコツ。そこにトマトの汁とオリーブオイルが染みわたり、“カリカリ”と“ジンワリ”の食感の組み合わせを楽しんで。

真っ赤なトマトにバジルのグリーンが映える鮮やかな一皿は、これからの季節にぴったり
<材料 2人分>
レシピ1の焼きトマト2個分、オリーブオイル大さじ2、塩・こしょう各少々、バジル適量、パン(バゲットなど)4枚分、ニンニク適宜
<作り方>
1 焼きトマトをざく切りにしてオリーブオイル、塩、こしょうで和えておく。
2 パンはトースターでカリッと焼き、熱いうちにニンニクの切り口をしっかりとこすりつける。
3 1にバジルをちぎって加え、2の上に汁ごとたっぷりとのせる。
【おすすめのお酒:辛口のランブルスコ】

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO
ランブルスコはイタリアのエミリア・ロマーニャ州で作られているスパークリングワイン。「真っ赤なトマト料理とランブルスコは、ハッピーな組み合わせですね。甘口タイプが多いのですが、トマト料理には辛口がおすすめ。写真の『コイ ディ フラヴィオ レスターニ』のランブルスコは、樹齢50年を超えるブドウから作られたもの。きめ細かく豊かな味わいは、濃厚なトマトやバルサミコの味を引き立ててくれます」(平野さん)
平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインバー「8huit.」のオーナーでもある。ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。公式サイトはこちら