BY YUKIKO HIRANO
秋におすすめのレシピ
【1】舞茸のレシピ×フランス北ローヌのガメイ
貴重なため、見つけると舞い上がって喜ぶことから名付けられたという「舞茸」。「栽培ものでも、味も香りもおいしいきのこ。天然ものは9〜10月の短い期間しか手に入りませんが、最近では取り寄せもしやすくなったので、入手して料理するのもいいですね。今回は私の大好きな北ローヌのつくり手のガメイを合わせて舞茸料理を作ります。この赤ワインは湿った森林の土を思わせるような香りがします。ワインを飲むと、舞茸の生えている光景が目に浮かぶようです」(平野さん)。舞茸と赤ワイン、秋の香りが織りなすペアリングを楽しもう。
レシピ1:舞茸の丸ごと焼き
大胆にそのままごろっとフライパン焼き。割かずに丸ごと焼くと、きのこの汁がたっぷりと滴るような焼き上がりに。
<材料 2人分>
舞茸1パック、バター大さじ1、醤油小さじ1、かぼす
<作り方>
1 フライパンにバターを加えて熱す。バターのふわっとした泡が消えたら、舞茸を加えて塩少々をふり、ふたをして中火で焼く。
2 焼き色が付いたら、裏返して反対側も焼き、仕上げに醤油を加えて絡める。かぼすを添える。
レシピ2:舞茸といちじくのタルティーヌ
こんがり焼いてとろりとした甘いいちじくに、舞茸の風味を掛け合わせる。これぞ、大人の秋のタルティーヌ。
<材料 2人分>
パンドカンパーニュ2枚、舞茸1パック、いちじく1個、ベーコン1枚、パルミジャーノチーズ適量、オリーブオイル大さじ1、塩、こしょう
<作り方>
1 舞茸は小房に分ける。いちじくはくし形に切る。ベーコンは1センチ幅に切る。
2 フライパンにオリーブオイルを熱し、ベーコン、舞茸を入れて塩、こしょうをして炒める。
3 パンの上に2、いちじくをのせて、チーズをのせる。オーブントースターでチーズが溶けるまで焼く。
【お酒セレクト:ドメーヌ・ロマノー・デストゥゼ ラ・ストゥロンヌ・ガメイ 2020】
フランス北ローヌのガメイ。ナチュラルワインの実力者がつくるワインはガメイの表現によく用いられる薄旨、ピュアという言葉だけでは片付けられない上質な味わい。「繊細な果実味にしっとりとした風味。秋になって、こういうワインをゆっくり味わえることの幸せを感じます。秋の和食と合わせても食卓にエレガントさをもたらしてくれそうです」(平野さん)
【2】椎茸のレシピ× ブルゴーニュワイン
椎茸はフランスの朝市でも売られていることをご存知だろうか。フランスで栽培され、名称もそのままshiitakéとして流通し、現地のフレンチやアジア料理に使用されている。セップやジロールなどの高級きのこと並んで販売され、長きに渡り椎茸はフランスに根づいているのだ。「椎茸はバターやオイル、チーズなどとの相性が抜群。そして、椎茸の旨味を引き出すように料理をすると、まるで肉を思わせるような豊かな味わいと存在感を発揮します。そこに必要なのは赤ワイン。その選択には何の迷いもありません。ふさわしいのは、きのこの生える森を思わせるようなしっとりとした香りや滑らかさを持つブルゴーニュ、ピノ・ノワール。土の香り漂う椎茸の最良のパートナーとして、これぞ “野菜とお酒” の至福のペアリングと言えます」(平野さん)
■レシピ1:椎茸のスパゲッティ
椎茸をフードプロセッサーにかけたペーストがソース。「見た目もまるで肉のソースのようですが、食べてもまた、肉、いや肉以上の旨味を感じると言えるほど。一緒にフードプロセッサーにかけたくるみと椎茸の軸が、絶妙な歯ごたえと味の奥行きを作り出します」(平野さん)。でも調理はボロネーゼとは比較にならないほど簡単で、バターとオイルでさっと炒めるだけで完成。
<材料 2人分>
スパゲッティ(写真ではリングイネを使用)160g、椎茸8個、くるみ25g、にんにく1片、オリーブ油大さじ1、バター大さじ1、塩・こしょう各少々、パルミジャーノチーズ適量
<作り方>
1 椎茸は石づきを取る。椎茸のかさ、軸、くるみとともにフードプロセッサーにかけてみじん切りにする。にんにくは芽をとり、みじん切りにする。
2 フライパンにオリーブ油、バター、にんにくを入れ、弱火にかける。よい香りがしてきたら、1を入れ、塩、こしょうをして炒める。
3 塩を加えた湯でパスタをゆでる。
4 2にゆであがったパスタを加え、ゆで汁適量を加えて和え、塩、こしょうで味をととのえる。器に盛り、仕上げにパルミジャーノチーズ適量をふる。
■レシピ2:椎茸ステーキ
肉厚な椎茸をフライパンでじっくりと焼いたステーキ。ステーキという名にふさわしい食べ応えのある一品だ。「一口噛めば、肉汁ならぬ椎茸汁が口中にほとばしります。椎茸を焼くときの最大のコツは、かさの内側を上に向け、塩をふって焼き、ひっくり返さないこと。そうすることで、かさの内側に椎茸の旨味たっぷりのエキスがとどまります」(平野さん)。焼いた椎茸の旨味の残ったフライパンは赤ワインを注ぎ、風味を溶かし込んでソースにして。
<材料 2人分>
椎茸4個、ブルーチーズ(ロックフォール、ゴルゴンゾーラなど)30g、バター大さじ2、赤ワイン1/4カップ、醤油大さじ1、塩、黒こしょう各少々
<作り方>
1 椎茸は石づきを取り、軸は切り、半分に手で割く。ブルーチーズはほぐす。
2 フライパンにバターを熱し、かさの内側を上向きにして椎茸に塩少々をふり、中火〜弱火でふたをして焼く。軸も一緒に焼く。
3 加熱して椎茸が汗をかいてきたら、かさの内側にブルーチーズを入れ、フライパンにふたをしてチーズが溶けるまで焼く。
4 椎茸を取り出し、フライパンに赤ワインを加える。フライパンが熱くなっていたら、火を止めたままでよい。ワインが半量になったら、醤油を加えてひと煮たちさせ、火を止めてバターを加え混ぜる。
5 皿にソースを敷き、椎茸、軸を乗せ、黒胡椒を挽く。
■おすすめのお酒:ドゥ・ローブ・ア・ローブ 2019 ドメーヌ・デ・フォーヴェット
「緻密でしっとりとしたビロードのような口当たり。フランボワーズや赤い花々、ドライフラワーの香りが漂うエレガントな佇まいと、自然の森を思わせるような素朴さが共存するこの美しいピノ・ノワールを口に含むと、少しめかしこんだ椎茸料理の味わいが、さらに引き上げられます」(平野さん)。ワインの名前「ドゥ・ローブ・ア・ローブ」は新しい人生の幕開け、夜明けの畑や一日の始まりなど、明るい未来が開けるような意味合いで名付けられたものだという。
【3】ビーツのレシピ×日本原産のワイン、マスカットベリーA
ウクライナ発祥の料理、ボルシチでおなじみのビーツは、数年前までは缶詰などでしか入手できなかったが、ここ数年、日本各地で生産されるようになり、ずいぶん身近な野菜になった。「食べる輸血」「奇跡の野菜」と呼ばれるほど栄養価も高いスーパーフードだが、日本の家庭への浸透度はまだ途上の段階。「そんなビーツですが、“甘味のある根菜”と捉えれば、実は和食に幅広く使うことができます。そして、ごぼうを凌ぐほど特徴的な土の香りは、赤ワインが非常によく合います。ペアリングは素材だけではなく、調理の仕方や調味料、他の食材の存在などの要素が複雑に絡み合い、牛肉でさえ白ワインの方が合うことがままあります。それでも圧倒的な強さをもつビーツを使った料理が引き寄せるのは、赤ワイン。今回は日本を代表する赤ワイン、マスカットベリーAを合わせてみました」(平野さん)
■レシピ1:ビーツの豚汁
ビーツの甘味は味噌との相性も抜群。ビーツと根菜を、オイルと少量の塩でゆっくりとオイル蒸しにして、しっかりと野菜の旨みを抽出するのが平野流。「引き出された野菜出汁は野菜の甘味と水分が凝縮され、鍋の中で一体感を持ちます。昆布や鰹の出汁は、このレシピでは出番がありません」(平野さん)。
<材料 4人分>
ビーツ小1個(200g)、にんじん1/2本、大根5cm、ごぼう20cm、長ねぎ1本、舞茸1パック、油揚げ1枚、豚バラ薄切り肉200g、味噌大さじ5~6、太白ごま油(またはサラダ油)小さじ2、塩少々
<作り方>
1 ビーツ、大根はいちょう切りにする。にんじんは半月切り、ごぼうはたわしで皮をこすって洗い、細めの乱切りにする。長ねぎは斜め1cm幅に切る。油揚げは熱湯を回しかけ、縦半分に切り、1cm幅に切る。舞茸は小房に分ける。豚肉は食べやすい長さに切る。
2 鍋に太白ごま油を熱し、ビーツ、ごぼう、にんじん、大根、長ねぎの青いところを加え、塩少々をふり、ふたをして中弱火で4〜5分蒸し煮する。時々ふたをとって野菜が汗をかくように、ゆっくりと炒め合わせる。
3 豚肉を加えて炒め合わせ、水6カップを加える。煮立ったらアクをとり、野菜に柔らかく火が通るまで煮る。途中で油揚げ、残りの長ねぎ、舞茸も加える。
4 味噌を加えて溶き入れ、ひと煮立ちさせ、碗によそう。
■レシピ2:ビーツのバルサミコきんぴら
ごぼうの代わりにビーツを使うことで、にんじんとも相まって、まるでデザートのような深い甘みのある真紅のきんぴらに。「ビーツの土臭さをバルサミコ酢、マスカットベリーAの酸味が心地よく調和してくれます」(平野さん)
<材料 2〜3人分>
ビーツ200g、にんじん100g(ビーツの半量)、くるみ25g、オリーブオイル大さじ1強、赤唐辛子1本、バルサミコ酢、醤油、みりん 各大さじ1
<作り方>
1 ビーツ、にんじんは皮付きのまま5mm幅の拍子切りにする。
2 フライパンにオリーブ油と赤唐辛子を入れて熱し、1を入れて炒める。バルサミコ酢、醤油、みりんを加えてしんなりとするまで炒める。
■おすすめのお酒:ファットリア・アルフィオーレ 一輪の花
「日本原産のマスカットベリーAは透明感のある赤い色、フレッシュな酸味、そして湿気のある日本の土壌を反映してか、湿り気のある根菜のニュアンスを感じさせます。和食、味噌、醤油との相性は秀逸です」(平野さん)。ファットリア・アルフィオーレは2015年に宮城県のイタリアンレストランから生まれたワイナリー。一輪の花はマスカットベリーA 83%(山形)、メルロー17%(山形)。樽による酸化熟成により、穏やかで丸みのある味わい。「ビーツを使った和食に寄り添い引き上げてくれる、そんなワインと言えます」
【4】菊芋のレシピ×レバノンワイン
まるで生姜のような見た目の菊芋は、“天然のインスリン”と呼ばれる成分イヌリンを含み、血糖値の上昇を抑える効果があり、サプリなどにも利用されているスーパーフードだ。デンプンが少ないのでその特質を生かした調理ができる。生で食べればサクサク、炒めても、揚げてもいいし、フレンチ、イタリアン、エスニック、和食までさまざまに使える野菜だ。「菊芋は、カロリーもじゃがいもの半分くらい。健康面でばかり取り上げられがちですが、フランスではトピナンプールという名で、ポタージュやピュレにしたりします。菊芋の味わいはワインとの相性が抜群で、白でも赤でも合わせられます。菊芋を食べるとワインが飲みたくなるくらい(笑)。今回は、いま注目をあびているレバノンワインに合わせたレシピもご紹介しますね」(平野さん)
レシピ1:菊芋のチップス
菊芋のチップスは揚げ物という範疇に入らないのでは、というくらい手軽。デンプンをほとんど含まないので水にさらす必要もなく、油も少量でいい。たったこれだけでワインの最良のパートナーができあがる。
<材料 2人分>
菊芋5〜6個、揚げ油適量、塩
<作り方>
1 菊芋は皮つきのまま薄切りにする。イヌリンは水溶性なので、水にさらさずに調理する。菊芋にはデンプンが少ないのでさらす必要がない。
2 フライパンに揚げ油を2㎝程度の量を入れて熱し、菊芋を加えて3〜4分、薄く色づくまで揚げる。油を切り、塩をふる。
■レシピ2:菊芋のレバノン風
レバノンワインに合わせたい一品。コリアンダーやターメリックのスパイシーな味わいにレモンの酸味が新鮮。「本来はじゃがいもで作るレバノン料理を、菊芋でアレンジしてみました。じゃがいもで作るよりも簡単でヘルシー、そして菊芋の根菜らしい味わいが加わります。レモンの酸味をしっかり効かせると、異国情緒溢れる味になります」(平野さん)
<材料 2人分>
菊芋300g、コリアンダー1茎、にんにく1かけ、赤唐辛子1本、コリアンダーシード(粒)・パプリカ・ターメリック(各)小さじ1、オリーブオイル大さじ1、レモン汁大さじ1、塩、こしょう
<作り方>
1 菊芋は皮つきのままを5㎜程度の厚さに切る。コリアンダーは軸と葉の部分を分け、1㎝の長さに切る。にんにくはみじん切り、赤唐辛子は半分に切る。
2 フライパンにオリーオイル、コリアンダーシード、赤唐辛子を入れて熱す。よい香りがしてきたら、菊芋を入れて塩、こしょうをふって炒める。
3 菊芋が薄く色づいてきたら、にんにく、ターメリック、パプリカ、コリアンダーの軸を加えてさらに炒め、仕上げにレモン汁、コリアンダーの葉を加え混ぜる。
4 器に盛り、レモン(分量外)を添える。
■おすすめのお酒:シャトーマーシャス ブラン 2014
世界で最も古いワイン産地の一つ、レバノン。内戦、戦乱の絶えない中、ワインをつくり続けるワイナリーは、そのレベルの高さからも世界から注目されている。シャルドネとソーヴィニヨンブランからつくられた白ワインは厚みのある果実味、表情豊かな充実感のある味わいだ。「極限の状況下でワインをつくり続けていることへの敬意も込めて、このワインを選びました。ワインを味わうことは世界を知ることにもつながっていきます。戦地でできたワインの強さをぜひ一度味わってみてください」(平野さん)
【5】ブロッコリーのレシピ×山梨のクラフトビール
通年流通しているブロッコリーだが、本来のおいしい旬の時期は11月頃から始まる。花の蕾や茎を食べる花菜類の野菜の代表格だ。「食卓によく登場する身近な野菜ですが、お酒のおつまみにする野菜ではないかもしれませんね。こんがりと焼く、揚げるという調理法で、ブロッコリーをビールが飲みたくなるような料理にしてみましょう」(平野さん)。合わせるビールは山梨のクラフトビール。ビールがあるからブロッコリーもおいしくなる──そんな組み合わせをどうぞお試しあれ。
■レシピ1:ブロッコリーのガレット
焼いたブロッコリーはほっくり香ばしく、ゆでたブロッコリーとは別物のおいしさ。表面はチーズでこんがりカリカリ。粉も少ないヘルシーさもうれしい。
<材料 1枚分>
ブロッコリー1/2株(100g)、パルミジャーノチーズ30g、薄力粉・片栗粉(各)大さじ1、水大さじ2、こしょう少々、オリーブオイル大さじ1
<作り方>
1 ブロッコリーは薄切りにする。軸、葉などは細かく刻む。
2 ボウルに1、薄力粉、片栗粉、水、チーズ、こしょうを加えてよく混ぜる。
3 フライパンにオリーブオイルを熱し、2を加えて1㎝程度の厚さにする。中火にして3分焼き、焼き色がこんがり付いたらひっくり返す。ひっくり返すのが難しい場合には、滑らせるようにして、皿の上に乗せる。その上にフライパンを乗せて、ひっくり返す。
4 フライ返しで押さえるようにして、さらに3分、こんがりとするまで焼く。
■レシピ2:ブロッコリーと豆腐の揚げ出し
素揚げにすると甘さがぐっと増し、焦げた部分は香りよく、味の深みが増す。出汁を吸い込んだブロッコリーはまた格別。揚げ出し豆腐が野菜のご馳走料理に変貌する。
<材料 2人分>
ブロッコリー1/2株、木綿豆腐1/2丁、片栗粉適量
A[だし200ml、醤油大さじ2、みりん大さじ1と1/2、塩少々]
大根おろし、揚げ油(各)適量
<作り方>
1 ブロッコリーは小房に分ける。豆腐は5〜10分置き、自然に水切りし、2㎝×3〜4㎝に切る。豆腐に片栗粉を全体にまぶす。
2 揚げ油を180度に熱し、ブロッコリーは3分揚げる(油がはねるので油はね防止ネットなどを使うといい)。豆腐は4〜5分、全体にからりとするまで揚げる。
3 小鍋に[A]を入れて煮立てておく。
4 器に2を盛り、3をかけ、大根おろしを添える。
■おすすめのお酒:98BEERs【九八】BELGIAN BITTER
98は、自分たちだけで100にするのではなく、様々な人たちとのコラボにより98を100にも200にもしていく、という想いから名付けられたという。「ビターでフルーティー。シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵によるビールは泡のきめが細かく、喉越しで飲むというより、ゆっくり食事に合わせて飲むのがいいですね」(平野さん)
【6】なめこのレシピ×ナチュラルワイン
独特のぬめりが特徴のなめこは、食用とされているのは日本だけ。味噌汁、なめこおろし、鍋物あたりが定番で、それはそれで愛すべき存在なのだが、つい決まりきった料理になりがち。ところが今回は、なめこをフレンチにアレンジ! 使うのは、最近よく見かけるようになった食感も味もしっかりした「株つきなめこ」だ。「決して奇をてらったわけではないんですよ。なめこはぬめりがあるけれど、フランスでよく食べられているジロール茸に共通する風味があります。しっかり炒めたり、とろみを生かすようにクリームソースを作ったら、これまでのきのこ料理とはひと味もふた味も違う料理になりました。ワインを合わせてみたら、なめこの新鮮な魅力を発見できますよ」(平野さん)
レシピ1:なめこのベーコン炒め1
ぬめりが少なくなるくらいまで炒めると、水分が飛び、旨味が凝縮。シンプルに炒めるだけなのに、なめこがワインおつまみの顔に変わる。
<材料 2人分>
なめこ(株つき)200g、にんにく1かけ、ベーコン2枚、イタリアンパセリ(粗みじん切り)大さじ2、オリーブオイル大さじ1、塩、こしょう
<作り方>
1 なめこは石づきを切り落とす。にんにくはみじん切りにする。ベーコンは1センチ幅に切る。
2 フライパンにオリーブオイル、にんにくを入れて熱し、香りが出てきたら、ベーコン、なめこを入れて、塩、こしょうをふっていためる。中弱火で2〜3分、なめこがひと回り小さくなるまで炒め、イタリアンパセリを加え混ぜる。
レシピ2:なめこと鶏肉のクリーム煮
なめこと生クリームの相性がよいなんて! なめこのとろみで濃度もつき、軽やかなソースに仕上がるから驚きだ。
<材料 2~4人分>
鶏むね肉2枚、なめこ(株つき)200g、舞茸1パック、玉ねぎ1/2個、白ワイン1/4カップ、生クリーム1カップ、バター大さじ2、塩、こしょう、ナツメグ
<作り方>
1 鶏むね肉は斜め半分に切り、塩をふる。なめこは石づきをとり、小房にわける。舞茸も小房に分ける。玉ねぎは薄切りにする。
2 フライパンにバター大さじ1を熱し、玉ねぎを入れてしんなりするまで炒める。なめこ、舞茸を加えて、塩をふって1分ほど炒めたら取り出す。
3 同じフライパンにバター大さじ1を加えて、鶏肉を表面の色が変わるくらいまで中火で焼く。
4 白ワインを加えてひと煮たちさせたら、生クリームを加える。生クリームが煮立ったら、2を加えて弱火で3〜4分煮る。
5 塩、こしょう、ナツメグで味を調える。
【今月のお酒セレクト:シャトー レスティニャック フリッシュ 】
フランス南西部の若いカップルが手がける、センス溢れるナチュラルワイン。赤白10品種のぶどうを混ぜて作っているのに、心地よい透明感を持ち、一つの方向にまとまっている。柔らかな酸の旨味が特徴だ。「大好きな作り手のワインです。なめこでフレンチという不思議な料理に、白でも赤でもないこの魅力的なワインを合わせてみました。思った通り、しっくり。今までにない組み合わせになりました」(平野さん)
冬におすすめのレシピ
【1】紅芯大根のレシピ×ブラン・ド・ノワールのシャンパーニュ
旬を迎えた大根。最近は赤、緑、紫、黒などカラフルな品種が増えてきている。個性豊かな色合いの大根はサラダに加えるだけで、ぱっと華やかなひと皿に。今回の主役・紅芯大根は、半分に切ってみると、緑の皮と内側のピンク色のコントラストの美しさに目を奪われる。「中国では祝い事の時にも使われるそうです。普通の大根より辛味が少なく、水分も少なめ。サラダや甘酢漬けにすることが多いのですが、火を通しても甘味が引き立ちます。何よりもこの色鮮やかさが魅力。今回はブラン・ド・ノワールのシャンパーニュを合わせて、紅心大根で華やかな食卓を作ってみました」(平野さん)
■レシピ1:紅芯大根のカルパッチョ
紅芯大根を薄切りにしてしんなりさせたカルパッチョ。大根を数種類混ぜると、より鮮やか。それぞれの大根の風味も楽しめる。
<材料 2〜3人分>
紅芯大根1個(紅くるり、紫大根などを適量混ぜても)、オリーブオイル大さじ2、レモン汁小さじ2、塩、ディル、パルミジャーノチーズ各適量
<作り方>
1 紅芯大根は皮つきのままスライサーで薄切りにする。塩少々をふってしばらく置き、しんなりさせ、水気を軽く絞る。
2 皿に1を花のように盛りつける。
3 オリーブオイル、レモン汁を回しかけ、パルミジャーノチーズをピーラーで削って散らし、レモンの皮、ディルを散らす。
■レシピ2:紅芯大根と鴨ロースのソテー
紅芯大根は柔らかく火を通してグラッセに仕上げる。一段と紅色が濃くなり、さらに甘さも増す。肉料理との相性もいいが、大根ステーキとして単独でも十分なおいしさだ。
<材料 4人分>
紅芯大根1/2個、鴨胸肉1枚(400グラム)、バター大さじ1、塩、黒こしょう
<作り方>
1 紅芯大根は皮付きのまま、7〜8㎜厚さのいちょう切りにする。フライパンにバター大さじ1と紅芯大根を入れて熱し、水1/4カップ、塩少々を入れてふたをして10分ほどかけて柔らかく蒸し煮する。途中水分がなくなった場合は適宜足す。柔らかくなったら、ふたをとり、水分を飛ばす。
2 鴨は皮目に斜め5mm幅ほどの切り目を入れ、塩小さじ1を全体にまぶし30分室温におく。
3 フライパンを熱し、油をひかずに、鴨肉を皮目から入れて中弱火で皮目にこんがりとした焼き色がつくまで焼く。反対側は色が変わる程度に焼く。
4 天板に皮目を上にして鴨肉をのせ、180℃のオーブンで7〜8分焼く。20分ほど休ませてから、スライスする。
5 紅芯大根と鴨肉のスライスを盛り合わせ、仕上げの塩、黒こしょうをふる。
■おすすめのお酒:エリック・ロデズ グラン・クリュ アンボネイ ブラン・ド・ノワール 2021
アンボネイ村のピノ・ノワール100%からつくられるブラン・ド・ノワールのシャンパーニュ。ふくよかで芳醇、エレガンスを感じさせる。「ブラン・ド・ノワールのシャンパーニュと紅芯大根は白と赤の関係性に共通するところがありますね。ちょっとした遊び心で選んだセレクトなのですが、シャンパーニュにも料理にも、どちらもしなかやな赤い色の風味があります。冬の赤、時にはこんな合わせ方も楽しんでみてください」(平野さん)
【2】春菊のレシピ×稲とアガベ どぶろくseries 改良信交 水もと 01
冬に旬を迎える春菊。キク科の植物で、春に花が咲くことからこう呼ばれるようになったという。ほろ苦さと特有の香りのある春菊は、鍋ものに欠かせない冬を代表する青菜だ。「最近はサラダなど生で食べるレシピが人気です。生だと、加熱するよりも苦味や香りがマイルドに感じられるので、たっぷり食べられるのが魅力。今回のメニューには、今、注目しているどぶろくを合わせてみました。蔵によって様々ですが、爽やかな酸味があり、シュワッとした発泡を感じるものがあります。そんなどぶろくはフレッシュな野菜料理と相性がいい。春菊の香りと歯ごたえを、どぶろくが引き立ててくれます」(平野さん)
■レシピ1:春菊のポテトサラダ
こんなに?と思うくらいの量の春菊を加えるのがポイント。噛むたびに春菊のフレッシュな香りが広がり、クリーミーなどぶろくがポテトサラダを包み込む、新しい出会いをお試しあれ。
<材料 4人分>
じゃがいも4個(600g)、春菊1/2束、玉ねぎ1/4個、マヨネーズ70g、ディジョンマスタード大さじ1
A[オリーブオイル大さじ1、ワインヴィネガー小さじ1、塩少々]
<作り方>
1 春菊は水につけてしゃっきりとさせる。軸、葉ともに1㎝幅に切る。玉ねぎはごく薄切りにし、塩もみして水にさらした後、水気をよく拭き、[A]でマリネしておく
2 じゃがいもは2〜3等分の乱切りににし、1%の塩を加えた水に入れてゆでる。柔らかくゆで上がったら、水気を切り、弱火にかけて粉ふきにし、木ベラなどでつぶす。
3 じゃがいもが熱いうちに1の玉ねぎ、マヨネーズ、マスタードを加えて和える。
4 粗熱がとれたら、春菊の葉、軸を加え混ぜる。
■レシピ2:春菊のジョン
少量の粉をまとわせ、卵を絡めて焼く韓国料理、ジョン。春菊の中に相性のいい牡蠣を忍ばせて、カリッと香ばしく揚げ焼きに。
<材料 2人分>
春菊1/3束(50g)、牡蠣(加熱用)4粒、卵1個、薄力粉大さじ1/2、ごま油大さじ3〜4、塩
<作り方>
1 春菊は水につけてしゃっきりとさせる。春菊の葉は2〜3㎝長さのざく切りにする。軸は斜め薄切りにする。
2 牡蠣は汚れを落とすために片栗粉と塩(ともに分量外)を振り入れて軽く揉み、洗っておく。
3 ボウルに1を入れて薄力粉を加えて混ぜ合わせる。
4 卵は溶きほぐし、塩少々を加えて3に加え混ぜる。牡蠣も加える。
5 フライパンにごま油を熱し、春菊を4等分し、中央に牡蠣がくるようにして7〜8㎝大にまとめ、平たくし、中弱火で焼く。カリッとして焼き色がついたら、反対側も焼く。酢醤油などをつけていただく。
【お酒セレクト:稲とアガベ どぶろくseries 改良信交 水もと 01】
どぶろくとは、米と麹と水を発酵させ、日本酒造りで行う「搾り」のないお酒。起源は稲作と同じくらい古いと言われている。濾していないことから、米と米麹の栄養、アミノ酸やコウジ酸がそのまま残っているので、美容面、健康面からも注目されている。「稲とアガペのどぶろくは、精米歩合92%とお米をあまり削らずに、水もと仕込みで作ったどぶろく。お米の甘みとシルキーなテクスチャー、ほど良い酸味があるので、料理と合わせやすいですね。和食はもちろん、スパイス料理やフルーツを使った料理などとの相性もいい。そして、野菜のおいしさを引き立ててくれる魅力的なお酒です」(平野さん)
【3】ごぼうのレシピ×京都・丹後の赤い日本酒
おせちや豚汁など、冬の料理に欠かせないごぼう。実はさまざまな品種があるが、よく見かけるごぼうは東京・滝の川が原産の「滝の川ごぼう」だ。「ごぼう特有の土の香りを生かした料理には、私はいつもメルローやピノ・ノワールを合わせてきました。きんぴらをつくると、自動的に赤ワインを開けてしまうくらい(笑)。長いことそうしてきたので、今回は目先を変えて日本酒とのペアリングを。選んだお酒はワインを思わせるような色をしていますが、赤色の古代米からつくられた純米酒。甘酸っぱさと濃厚さを持ち合わせているので、その味が引き立つようなごぼう料理をお届けします」(平野さん)
■レシピ1:ごぼうの酢醤油漬け
大ぶりに切ったごぼうの歯応えがいい酒のつまみ。さっぱりとした味は食べだすと止まらず、盃もすすむ。
<材料 作りやすい分量>
ごぼう150g、醤油大さじ4、酢大さじ3、みりん大さじ2、昆布5cm×2cm1枚、赤唐辛子1本
<作り方>
1 ごぼうは皮をたわしでこすって洗い、5cmの長さに切る。細いところは縦半分に、太いところは四つ割りにする。
2 保存容器に醤油、酢、みりん、昆布、赤唐辛子を入れておく。
3 鍋に湯を沸かし、ごぼうを入れて2〜3分ゆで、ざるにあけて湯をきり、熱いうちに2に加え、6時間以上漬け込む。
■レシピ2:ごぼうと牛すじの赤ワイン煮
とろりと柔らかい牛すじ煮込み。たっぷりと入ったごぼうは、赤ワイン煮込みを味わい深く、風味豊かな料理にしてくれる。
<材料 4人分>
ごぼう200g、牛すじ肉400g、玉ねぎ1個、舞茸1パック、レーズン30g、赤ワイン1カップ、はちみつ小さじ2、醤油大さじ1/2、ローリエ1枚、クローブ3粒、バター大さじ1、塩、こしょう各適宜、青ねぎ適宜
1 牛すじ肉は水洗いをする。鍋に水と牛すじ肉を入れて沸騰させる。1分ほどゆでた後、ざるにあけて水洗いし、食べやすい大きさに切る。
2 圧力鍋に、牛すじ肉、ローリエ1枚、クローブ3粒、かぶるくらいの水を入れて10〜15分加熱する。または、普通の鍋で弱火で1時間半ゆでる。
3 ごぼうはたわしで皮をこすって洗い、乱切りにする。玉ねぎは繊維を断つようにして薄切りにする。舞茸は小房に分ける。
4 鍋にバターを熱し、玉ねぎに塩を加えてしんなりするまで炒め、ごぼうも加えて炒め煮する。よく炒め煮した後、牛すじ肉を加えて炒め合わせる。
5 赤ワインを加えてひと煮立ちさせる。牛すじ肉のゆで汁1カップ、はちみつ、醤油、塩を加えて1時間煮る。舞茸、レーズンも加えて30分煮て、塩、こしょうで味をととのえる。器に盛り、青ねぎの小口切りを散らす。
【お酒セレクト:向井酒造 伊根満開】
ロゼワインのような鮮やかな色の新しいタイプの日本酒。京都・丹後の創業260年の造り酒屋で紫小町という古代米でつくられる。「果実のような甘酸っぱさで、肉料理、チーズ、スパイス料理などに合わせてもよさそうです。飲み方も燗、ロック、ソーダ割りもいい。楽しみ方が広がる日本酒です」(平野さん)。
BY YUKIKO HIRANOJANUARY 10, 2024
【4】白菜のレシピ×デラウェアのワイン
鍋料理、漬物など冬の食卓に欠かせない白菜。寒さが増すと、ずっしりと重さと甘みも増す。「白菜とワインというのは意外な感じがするでしょうか。白菜料理にはデラウェアのワインをよく合わせます。甘いワインのイメージがあるかもしれませんが、つくりによってタイプはいろいろ。ナチュラルなつくりのものは酸味とほどよい甘みがあり、白菜料理のような普段着のメニューと相性がいいですね。とりあえずビールという感覚で、デラウェアのワインから始めることもあります」(平野さん)
レシピ1:焼き白菜 アンチョビソース
ダイナミックに白菜を焼くひと皿。こんがりと焼きつけてから蒸し焼きにすることで甘みが引き立つ。熱々のソースをたっぷりかけて。
<材料 2人分>
白菜1/4個、オリーブオイル大さじ1、塩少々
[アンチョビソース] オリーブオイル大さじ4、バター大さじ1、アンチョビ(みじん切り)4枚、にんにく(みじん切り)1かけ、ローズマリー1枝、こしょう少々
<作り方>
1 白菜は縦半分に切る。
2 フライパンにオリーブオイルを熱し、切り口を下にして中火にし、塩少々をふって焼く。こんがりとした焼き色がついたらひっくり返して反対側も焼く。塩少々をふり、ふたをして弱火にし、くったりとするまで焼く。
3 小鍋にオリーブオイルとにんにくを入れて弱火で熱す。よい香りがしてきたら、バター、アンチョビ、ローズマリーを入れてひと煮立ちさせ、こしょうを加える。
4 白菜に3のソースをかけていただく。
レシピ2:白菜と豚肉の塩麹鍋
定番鍋に塩麹と生姜の風味をプラス。発酵食品の風味と爽やかさがワインの風味をいっそう引き立てる。
<材料 4人分>
白菜1/2個、豚バラ薄切り肉300g、生姜20g、塩麹大さじ4、酒1/2カップ、塩・ごま油各適量
<作り方>
1 白菜は1枚ずつはがす。その上に豚肉を乗せ、白菜の向きを反対にして重ね、豚肉を乗せる。これを2回繰り返し、5センチ長さに切り、鍋に敷き詰める。鍋いっぱいになるように繰り返す。生姜は太めの千切りにする。
2 塩麹、酒を鍋に入れ、生姜の千切りを散らす。ふたをして弱火で20〜30分煮る。味を見て、塩で味をととのえ、仕上げにごま油を回しかける。
【お酒セレクト:清澄白河フジマル醸造所/Tabletop Delaware テーブルトップ デラウェア 2022年】
山形県産デラウェアを使ったフジマルのフラッグシップワイン。ワイン用のデラウェアは複雑味を出すために種つきで醸造される。「フルーティな甘さとすっきりとした酸。家庭料理によく合うフードフレンドリーなワインです。低いアルコール度数で飲み疲れしない、いつも寄り添ってくれるよう存在ですね」(平野さん)。
平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。
公式サイトはこちら