優雅さに定評あるブルゴーニュの「ドメーヌ・ド・モンティーユ」当主 エチエンヌ・ド・モンティーユがこのたび来日。彼が今、カリフォルニアで情熱を注いで手がけるコラボレーション・ワイン「ラシーヌ」について語った

BY KIMIKO ANZAI

「カリフォルニアは進化するワイン産地。以前から、ここでワインを造りたいと思っていました。私たちがワイナリーを構えたサンタ・リタ・ヒルズは、まだ有名ではありませんが銘醸地になる可能性を秘めています。」そうエチエンヌ・ド・モンティーユは語る。

 2016年、モンティーユは、現在「ラシーヌ」の醸造責任者を務めるブライアン・シーヴとともに、ひと月に及ぶカリフォルニアのテイスティング・ツアーに出た。ミラネット・ヴァレーやサンタ・リタ・ヒルズなど4つのワイン産地を巡り、最終的にサンタ・リタ・ヒルズに狙いを定めた。「ここは特別な土地だ」というインスピレーションを受けたという。

画像: エチエンヌ・ド・モンティーユ 「ドメーヌ・ド・モンティーユ」当主。土地に敬意を払う姿勢に、多くの生産者が信頼を寄せる

エチエンヌ・ド・モンティーユ
「ドメーヌ・ド・モンティーユ」当主。土地に敬意を払う姿勢に、多くの生産者が信頼を寄せる

 サンタ・リタ・ヒルズはカリフォルニアの南、セントラル・コーストに位置するワイン生産地で、標高が高い山と太平洋からの海風による冷涼な気候が特徴だ。上質のシャルドネやピノ・ノワールの産地としても知られる。彼らは、特に「タイラー・ワイナリー」が造る卓越した味わいのワインに惹かれ、オーナー醸造家のジャスティン・ウィレットにコラボレーションを持ちかけた。そして「目指すのは、この地で類をみないシャルドネとピノ・ノワールを造ること」という互いの共通する夢で、意気投合した。

 この新しいワインが話題となったのは、やはりエチエンヌ・ド・モンティーユの存在が大きい。ブルゴーニュの「ドメーヌ・ド・モンティーユ」は秀逸なワインを造ることで高い名声を得ている。先代のユベール・ド・モンティーユが1995年よりリュット・レゾネ(減農薬)栽培を開始。その後、有機栽培に挑戦し、ナチュラルなワインの造り手として名を馳せた。そして2005年、エチエンヌの時代には完全なるビオディナミ(有機栽培に加え、月の満ち欠けのリズムに従って栽培を行う農法。オーストリアの人智学者ルドルフ・シュタイナーが提唱)を実現、その奥深く優雅な味は、多くのワインファンを魅了している。

 カリフォルニアで生まれた「ラシーヌ サンタ・リタ・ヒルズ キュヴェ シャルドネ」と「ラシーヌ サンタ・リタ・ヒルズ キュヴェ ピノ・ノワール」も同様で、果実味の豊かさと酸のエレガントさに「ドメーヌ・ド・モンティーユ」らしさが生きている。際立っているのは涼し気なニュアンスで、この地の冷涼なテロワールを物語っている。彼は笑顔で語る。

「カリフォルニアのテロワールとブルゴーニュのヴィジョンで、ワインを造りたいと思いました。サンタ・リタ・ヒルズは、ナパ・ヴァレーやソノマのように広く知られてはいませんが、大きな可能性を秘めています。現在は、この地をよく知るライアンとベッツィー・ハナフォード夫妻が栽培を行ってくれています。どんなブドウが育つか、とても楽しみです」。

画像: サンタ・リタ・ヒルズに広がる畑。「ここは、土壌にも多様性がある。畑の向きや標高の高さも様々で、それぞれに個性豊かなブドウが生まれます」

サンタ・リタ・ヒルズに広がる畑。「ここは、土壌にも多様性がある。畑の向きや標高の高さも様々で、それぞれに個性豊かなブドウが生まれます」

 エチエンヌはビオディナミの大家でもある。そこで、「カリフォルニアでもすべてビオディナミで栽培しているのか」と聞いたところ、意外な答えが返ってきた。

「現在、栽培はオーガニックで行っています。なぜなら、まずは土地の声を聞かなくてはいけないと思うからです。この畑はオーガニック向きなのか、あるいはより厳格なビオディナミで行うべきか。土地本来の潜在能力を知るために、私たちはもう少し、土壌や気候を理解し、畑と向き合わなくてはいけないと思っています」。

「ドメーヌ・ド・モンティーユ」は先代ユペールの時代から”ブルゴーニュの哲学者”と称されたが、カリフォルニアにおいても本質を探ろうとする”哲学者”の視線と姿勢は健在なのだ。

画像: 「2018 ラシーヌ サンタ・リタ・ヒルズ キュヴェ シャルドネ」750ml ¥9,900 アメリカ・カリフォルニア州。シャルドネ100%。白桃や白い花、バターや岩塩のニュアンス。しなやかなミネラルとピュアな酸味。優しい飲み口で、魚介類やクリーム系の料理と好相性

「2018 ラシーヌ サンタ・リタ・ヒルズ キュヴェ シャルドネ」750ml ¥9,900  
アメリカ・カリフォルニア州。シャルドネ100%。白桃や白い花、バターや岩塩のニュアンス。しなやかなミネラルとピュアな酸味。優しい飲み口で、魚介類やクリーム系の料理と好相性

「ラシーヌ」のシャルドネもピノ・ノワールも、ともにナチュラルな味わいで、しなやかさと芳醇さを感じさせる。ガストロノミックな料理と合わせれば、幸福で華やかな時間を約束してくれることだろう。あるいは、家で楽しむなら、シャルドネはバターを使った魚介類、ピノ・ノワールはシンプルに焼いたステーキなどと一緒に。ワインの奥深い味わいが、シンプルな素材をさらに引き立ててくれる。

 まだ”知る人ぞ知る”極めて上質なワインを、自分だけのとっておきワインリストに入れておきたい。

画像: 「2018 ラシーヌ サンタ・リタ・ヒルズ キュヴェ ピノ・ノワール」750ml ¥11,000 アメリカ・カリフォルニア州。ピノ・ノワール100%。チェリーやフランボワーズ、バラやキノコの香り。色合いは淡いが、果実味豊かで深みのある味わい。肉料理のほか、金目鯛の煮つけなど醤油味の煮物にも合う PHOTOGRAPHS: COURTESY OF RACINES

「2018 ラシーヌ サンタ・リタ・ヒルズ キュヴェ ピノ・ノワール」750ml ¥11,000
アメリカ・カリフォルニア州。ピノ・ノワール100%。チェリーやフランボワーズ、バラやキノコの香り。色合いは淡いが、果実味豊かで深みのある味わい。肉料理のほか、金目鯛の煮つけなど醤油味の煮物にも合う
PHOTOGRAPHS: COURTESY OF RACINES

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