料理やお酒を家で楽しむことが、より一層求められている昨今。季節の野菜が持つ本来の美味しさを引き出すことを知り尽くしている料理家・平野由希子さんが、いま食べたい野菜で作る魅惑のお料理と、相性のよいお酒のペアリングを、時代のトレンドに合わせた視点で提案。連載第7回は、フランスでもその名で愛されている秋の味わい、椎茸が登場

BY YUKIKO HIRANO

【今月の野菜とお酒:椎茸とブルゴーニュワイン】

画像: 日本には、松茸を始めとする天然きのこなど多種多様な美味なるきのこがあるが、肉厚な椎茸の旨味は群を抜いている

日本には、松茸を始めとする天然きのこなど多種多様な美味なるきのこがあるが、肉厚な椎茸の旨味は群を抜いている

 椎茸はフランスの朝市でも売られていることをご存知だろうか。フランスで栽培され、名称もそのままshiitakéとして流通し、現地のフレンチやアジア料理に使用されている。セップやジロールなどの高級きのこと並んで販売され、長きに渡り椎茸はフランスに根づいているのだ。「椎茸はバターやオイル、チーズなどとの相性が抜群。そして、椎茸の旨味を引き出すように料理をすると、まるで肉を思わせるような豊かな味わいと存在感を発揮します。そこに必要なのは赤ワイン。その選択には何の迷いもありません。ふさわしいのは、きのこの生える森を思わせるようなしっとりとした香りや滑らかさを持つブルゴーニュ、ピノ・ノワール。土の香り漂う椎茸の最良のパートナーとして、これぞ “野菜とお酒” の至福のペアリングと言えます」(平野さん)

レシピ1:椎茸のスパゲッティ

 椎茸をフードプロセッサーにかけたペーストがソース。「見た目もまるで肉のソースのようですが、食べてもまた、肉、いや肉以上の旨味を感じると言えるほど。一緒にフードプロセッサーにかけたくるみと椎茸の軸が、絶妙な歯ごたえと味の奥行きを作り出します」(平野さん)。でも調理はボロネーゼとは比較にならないほど簡単で、バターとオイルでさっと炒めるだけで完成。

画像: 椎茸ペーストはパスタのほか、パンに塗るなどペーストとしてさまざまに使える。多めに用意して作り置きしておけば、ワインのつまみとしても重宝する

椎茸ペーストはパスタのほか、パンに塗るなどペーストとしてさまざまに使える。多めに用意して作り置きしておけば、ワインのつまみとしても重宝する

<材料 2人分>
スパゲッティ(写真ではリングイネを使用)160g、椎茸8個、くるみ25g、にんにく1片、オリーブ油大さじ1、バター大さじ1、塩・こしょう各少々、パルミジャーノチーズ適量

<作り方>
 椎茸は石づきを取る。椎茸のかさ、軸、くるみとともにフードプロセッサーにかけてみじん切りにする。にんにくは芽をとり、みじん切りにする。
 フライパンにオリーブ油、バター、にんにくを入れ、弱火にかける。よい香りがしてきたら、を入れ、塩、こしょうをして炒める。
 塩を加えた湯でパスタをゆでる。
 にゆであがったパスタを加え、ゆで汁適量を加えて和え、塩、こしょうで味をととのえる。器に盛り、仕上げにパルミジャーノチーズ適量をふる。

レシピ2:椎茸ステーキ

 肉厚な椎茸をフライパンでじっくりと焼いたステーキ。ステーキという名にふさわしい食べ応えのある一品だ。「一口噛めば、肉汁ならぬ椎茸汁が口中にほとばしります。椎茸を焼くときの最大のコツは、かさの内側を上に向け、塩をふって焼き、ひっくり返さないこと。そうすることで、かさの内側に椎茸の旨味たっぷりのエキスがとどまります」(平野さん)。焼いた椎茸の旨味の残ったフライパンは赤ワインを注ぎ、風味を溶かし込んでソースにして。

画像: 軸も一緒にカリカリに焼く。一部の旨味や栄養素は、かさの部分よりも軸のほうが豊富なのだそう。切り落とすのは固い石づき部分のみ

軸も一緒にカリカリに焼く。一部の旨味や栄養素は、かさの部分よりも軸のほうが豊富なのだそう。切り落とすのは固い石づき部分のみ

<材料 2人分>
椎茸4個、ブルーチーズ(ロックフォール、ゴルゴンゾーラなど)30g、バター大さじ2、赤ワイン1/4カップ、醤油大さじ1、塩、黒こしょう各少々

<作り方>
 椎茸は石づきを取り、軸は切り、半分に手で割く。ブルーチーズはほぐす。
 フライパンにバターを熱し、かさの内側を上向きにして椎茸に塩少々をふり、中火〜弱火でふたをして焼く。軸も一緒に焼く。
 加熱して椎茸が汗をかいてきたら、かさの内側にブルーチーズを入れ、フライパンにふたをしてチーズが溶けるまで焼く。
 椎茸を取り出し、フライパンに赤ワインを加える。フライパンが熱くなっていたら、火を止めたままでよい。ワインが半量になったら、醤油を加えてひと煮たちさせ、火を止めてバターを加え混ぜる。
 皿にソースを敷き、椎茸、軸を乗せ、黒胡椒を挽く。

【今月のお酒セレクト:ドゥ・ローブ・ア・ローブ 2019 ドメーヌ・デ・フォーヴェット】

画像: PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

「緻密でしっとりとしたビロードのような口当たり。フランボワーズや赤い花々、ドライフラワーの香りが漂うエレガントな佇まいと、自然の森を思わせるような素朴さが共存するこの美しいピノ・ノワールを口に含むと、少しめかしこんだ椎茸料理の味わいが、さらに引き上げられます」(平野さん)。ワインの名前「ドゥ・ローブ・ア・ローブ」は新しい人生の幕開け、夜明けの畑や一日の始まりなど、明るい未来が開けるような意味合いで名付けられたものだという。

平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインバー「8huit.」のオーナーでもある。ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。公式サイトはこちら

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