BY YUKIKO HIRANO

紅芯大根は中国原産。外側は緑色で中は濃いピンク色。かぶのように丸いものから、やや長楕円形のものまである
旬を迎えた大根。最近は赤、緑、紫、黒などカラフルな品種が増えてきている。個性豊かな色合いの大根はサラダに加えるだけで、ぱっと華やかなひと皿に。今回の主役・紅芯大根は、半分に切ってみると、緑の皮と内側のピンク色のコントラストの美しさに目を奪われる。「中国では祝い事の時にも使われるそうです。普通の大根より辛味が少なく、水分も少なめ。サラダや甘酢漬けにすることが多いのですが、火を通しても甘味が引き立ちます。何よりもこの色鮮やかさが魅力。今回はブラン・ド・ノワールのシャンパーニュを合わせて、紅心大根で華やかな食卓を作ってみました」(平野さん)
レシピ1:紅芯大根のカルパッチョ
紅芯大根を薄切りにしてしんなりさせたカルパッチョ。大根を数種類混ぜると、より鮮やか。それぞれの大根の風味も楽しめる。

大根の種類は1種類でもいいし、普通の大根やラディッシュなどを組み合わせても
<材料 2〜3人分>
紅芯大根1個(紅くるり、紫大根などを適量混ぜても)、オリーブオイル大さじ2、レモン汁小さじ2、塩、ディル、パルミジャーノチーズ各適量
<作り方>
1 紅芯大根は皮つきのままスライサーで薄切りにする。塩少々をふってしばらく置き、しんなりさせ、水気を軽く絞る。
2 皿に1を花のように盛りつける。
3 オリーブオイル、レモン汁を回しかけ、パルミジャーノチーズをピーラーで削って散らし、レモンの皮、ディルを散らす。
レシピ2:紅芯大根と鴨ロースのソテー
紅芯大根は柔らかく火を通してグラッセに仕上げる。一段と紅色が濃くなり、さらに甘さも増す。肉料理との相性もいいが、大根ステーキとして単独でも十分なおいしさだ。

白い大根とは異なる赤さを感じさせる味わいが魅力。バターの風味をまとわせることでシャンパーニュとの相性も高まる
<材料 4人分>
紅芯大根1/2個、鴨胸肉1枚(400グラム)、バター大さじ1、塩、黒こしょう
<作り方>
1 紅芯大根は皮付きのまま、7〜8㎜厚さのいちょう切りにする。フライパンにバター大さじ1と紅芯大根を入れて熱し、水1/4カップ、塩少々を入れてふたをして10分ほどかけて柔らかく蒸し煮する。途中水分がなくなった場合は適宜足す。柔らかくなったら、ふたをとり、水分を飛ばす。
2 鴨は皮目に斜め5mm幅ほどの切り目を入れ、塩小さじ1を全体にまぶし30分室温におく。
3 フライパンを熱し、油をひかずに、鴨肉を皮目から入れて中弱火で皮目にこんがりとした焼き色がつくまで焼く。反対側は色が変わる程度に焼く。
4 天板に皮目を上にして鴨肉をのせ、180℃のオーブンで7〜8分焼く。20分ほど休ませてから、スライスする。
5 紅芯大根と鴨肉のスライスを盛り合わせ、仕上げの塩、黒こしょうをふる。
【今月のお酒セレクト:エリック・ロデズ グラン・クリュ アンボネイ ブラン・ド・ノワール 2021】

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO
アンボネイ村のピノ・ノワール100%からつくられるブラン・ド・ノワールのシャンパーニュ。ふくよかで芳醇、エレガンスを感じさせる。「ブラン・ド・ノワールのシャンパーニュと紅芯大根は白と赤の関係性に共通するところがありますね。ちょっとした遊び心で選んだセレクトなのですが、シャンパーニュにも料理にも、どちらもしなかやな赤い色の風味があります。冬の赤、時にはこんな合わせ方も楽しんでみてください」(平野さん)
平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインバー「8huit.」のオーナーでもある。ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。公式サイトはこちら