BY YUKIKO HIRANO

みずみずしい白菜に合わせたいのはデラウェアのワイン
鍋料理、漬物など冬の食卓に欠かせない白菜。寒さが増すと、ずっしりと重さと甘みも増す。「白菜とワインというのは意外な感じがするでしょうか。白菜料理にはデラウェアのワインをよく合わせます。甘いワインのイメージがあるかもしれませんが、つくりによってタイプはいろいろ。ナチュラルなつくりのものは酸味とほどよい甘みがあり、白菜料理のような普段着のメニューと相性がいいですね。とりあえずビールという感覚で、デラウェアのワインから始めることもあります」(平野さん)
レシピ1:焼き白菜 アンチョビソース
ダイナミックに白菜を焼くひと皿。こんがりと焼きつけてから蒸し焼きにすることで甘みが引き立つ。熱々のソースをたっぷりかけて。

白菜のみずみずしさとデラウェアのワインのフレッシュさが重なりあう。野菜で酒を飲むことは、かけがえのない日常のほっとするひとときに
<材料 2人分>
白菜1/4個、オリーブオイル大さじ1、塩少々
[アンチョビソース] オリーブオイル大さじ4、バター大さじ1、アンチョビ(みじん切り)4枚、にんにく(みじん切り)1かけ、ローズマリー1枝、こしょう少々
<作り方>
1 白菜は縦半分に切る。
2 フライパンにオリーブオイルを熱し、切り口を下にして中火にし、塩少々をふって焼く。こんがりとした焼き色がついたらひっくり返して反対側も焼く。塩少々をふり、ふたをして弱火にし、くったりとするまで焼く。
3 小鍋にオリーブオイルとにんにくを入れて弱火で熱す。よい香りがしてきたら、バター、アンチョビ、ローズマリーを入れてひと煮立ちさせ、こしょうを加える。
4 白菜に3のソースをかけていただく。

フライパンで焼くだけのシンプルな一皿が、冬のぜいたくなご馳走になる
レシピ2:白菜と豚肉の塩麹鍋
定番鍋に塩麹と生姜の風味をプラス。発酵食品の風味と爽やかさがワインの風味をいっそう引き立てる。

白菜と豚肉の甘みが最大限に引き出され、体の芯から温まるメニューに
<材料 4人分>
白菜1/2個、豚バラ薄切り肉300g、生姜20g、塩麹大さじ4、酒1/2カップ、塩・ごま油各適量
<作り方>
1 白菜は1枚ずつはがす。その上に豚肉を乗せ、白菜の向きを反対にして重ね、豚肉を乗せる。これを2回繰り返し、5センチ長さに切り、鍋に敷き詰める。鍋いっぱいになるように繰り返す。生姜は太めの千切りにする。
2 塩麹、酒を鍋に入れ、生姜の千切りを散らす。ふたをして弱火で20〜30分煮る。味を見て、塩で味をととのえ、仕上げにごま油を回しかける。

白菜の根元と葉先が交互になるように重ねる

水を加えずに煮る。白菜がとろとろになるように煮るとさらにおいしい
【今月のお酒セレクト:清澄白河フジマル醸造所/Tabletop Delaware テーブルトップ デラウェア 2022年】

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO
山形県産デラウェアを使ったフジマルのフラッグシップワイン。ワイン用のデラウェアは複雑味を出すために種つきで醸造される。「フルーティな甘さとすっきりとした酸。家庭料理によく合うフードフレンドリーなワインです。低いアルコール度数で飲み疲れしない、いつも寄り添ってくれるよう存在ですね」(平野さん)。
ずっと身近に置きたい一冊──平野由希子さんの新著が発売!
平野さんが、これまでの書籍では伝えきれなかった料理の原点をまとめた新著『ma cuisine おいしさの引き出し方』が好評発売中。「春夏秋冬野菜のことを思い続けている」「肉料理はつくれば作るほど、上手くなる」といった心に響く言葉とともに、野菜料理、肉料理、揚げ物、魚料理など約70品がずらり。家庭のキッチンでとびきりおいしく作るコツ、さらに調理のしやすさも追求した極上のレシピは、時代の流行に左右されない一生もの。まるで食材とお料理へのラブレターのような、ずっと身近に置いておきたい一冊だ。

「家でつくるからこそ、おいしいラタトゥイユをつくろう」と思い立って平野さんが追求してきた一品。美しい写真の数々にも五感が研ぎ澄まされる
撮影/ローラン麻奈

驚くほどジューシーに焼き上げるコツとともに紹介される「鶏もも肉のポワレ」。見ているだけでも幸せな気分に!
撮影/ローラン麻奈

『ma cuisine おいしさの引き出し方』
著者:平野由希子
判型:B5変形判・240ページ
価格:¥4,180
発行:誠文堂新光社
平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。
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