BY YUKIKO HIRANO MARCH 10, 2024

ふきのイメージが一変するオレンジワインとの組み合わせ
若葉色の美しいふき。根元の赤いグラデーションも美しいが、火を通すと透明感のある淡い緑に一瞬にして色が変わる。鮮烈な風味と水々しさを持つ山菜は食卓に春の息吹を運んでくれる。「ふきは下処理が面倒という印象があると思いますが、流通しているほとんどは栽培もの。アクもそう強くありません。さっとゆでてサラダにしたり、下ゆでをせずに炒めてみましょうか」(平野さん)。
煮物など和風料理のイメージが強いが、調理法を変え、そこに合わせるのはオレンジワインだ。これまで抱いていたふき料理のイメージが払拭されるようなペアリングをどうぞご堪能あれ。
レシピ1:ふきのサラダ
みずみずしくゆであげたふきはオリーブオイルでシンプルにそのものを味わうレシピ。しゃきっとした歯ざわりと香りを真っ直ぐに受け止めてみよう。

パルミジャーノをふわっとかけて仕上げ。生ハムを合わせるのもおすすめだ
<材料 2人分>
ふき100g A[オリーブオイル大さじ2、ワインヴィネガー小さじ2、塩小さじ1/3、こしょう少々] パルミジャーノチーズ適量
<作り方>
1 ふきはフライパンに入る長さに切る。大さじ1程度の塩を振りかけて、板ずりをする。湯を沸かし、塩のついたまま入れてゆでる。3〜4分ゆでたら冷水にとり、端から筋をとる。
2 水気をよく拭き、5ミリ厚さの斜め切りにする。
3 Aで和えて、パルミジャーノチーズをおろして散らす。

ふきはフライパンの大きさに合わせて切る
レシピ2:ふきと牛肉のバター醤油炒め
下ゆでなしで炒めてこっくり味に仕上げたふきにオレンジワイン。鮮烈で複雑な味の調和はそれぞれのおいしさを高め合う最高の相性だ。

オレンジワインの中でもしっかりとした風味のものがおすすめだ
<材料 2人分>
ふき200g、牛肉切り落とし肉 150g、A[酒、みりん、醤油 各大さじ1]、バター大さじ1、木の芽適量
<作り方>
1 ふきは塩で板ずりをした後、筋をとり、3センチ長さに切る。
2 フライパンにバターを熱し、牛肉を入れて炒め、色が変ったらふきを入れて炒める。ふきが透き通ってきたらAを加えてさらに炒める。
3 器に盛り、木の芽を散らす。
【今月のお酒セレクト:Merab Matiashvili's Amber 2017】

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO
ジョージアのオレンジワイン。時間をかけて醸したオレンジワインは琥珀色をしている。「個性の強いものも少なくないのですが、このワインは素朴さと洗練を持ち合わせているきれいな味のワインです。オレンジワインは色々なタイプがありますが、ふきの香りに強さに負けないようなオレンジワインを選びました。ふきとオレンジワイン、私にとっては定番となりました」(平野さん)
ずっと身近に置きたい一冊──平野由希子さんの新著が発売!
平野さんが、これまでの書籍では伝えきれなかった料理の原点をまとめた新著『ma cuisine おいしさの引き出し方』が好評発売中。「春夏秋冬野菜のことを思い続けている」「肉料理はつくれば作るほど、上手くなる」といった心に響く言葉とともに、野菜料理、肉料理、揚げ物、魚料理など約70品がずらり。家庭のキッチンでとびきりおいしく作るコツ、さらに調理のしやすさも追求した極上のレシピは、時代の流行に左右されない一生もの。まるで食材とお料理へのラブレターのような、ずっと身近に置いておきたい一冊だ。

「家でつくるからこそ、おいしいラタトゥイユをつくろう」と思い立って平野さんが追求してきた一品。美しい写真の数々にも五感が研ぎ澄まされる
撮影/ローラン麻奈

驚くほどジューシーに焼き上げるコツとともに紹介される「鶏もも肉のポワレ」。見ているだけでも幸せな気分に!
撮影/ローラン麻奈

『ma cuisine おいしさの引き出し方』
著者:平野由希子
判型:B5変形判・240ページ
価格:¥4,180
発行:誠文堂新光社
平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。
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