BY REIKO KUBO

とある大学の新設計画に関する極秘情報をつかんだ新聞記者・吉岡(シム・ウンギョン)と、内閣情報調査室の官僚、杉原(松坂桃李)。映画は、ひとりの新聞記者の姿を通して、権力に報道メディアがどう対峙することができるのかを問いかける
「日本映画はなぜ歴史や政治を描かないのか」と、世界の映画祭で日本人監督は海外ジャーナリストから問われるという。そこに果敢に斬り込んだのが、藤井道人監督が東京新聞記者・望月衣塑子(いそこ)の著書を原案にした映画『新聞記者』だ。政府がひた隠す権力の闇を追う女性記者(韓国の演技派シム・ウンギョン)は、内閣情報調査室のエリート官僚(松坂桃李)に接触する。
『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』(’17年)や『スポットライト 世紀のスクープ』(’15年)など、真のジャーナリズムを問うたヒット作が過去を描いたのに対し、本作では森友・加計問題や伊藤詩織さん事件が挟み込まれてリアル感満載! 良心の呵責に苦しむ官僚の視点にも寄り添った人間ドラマは、最後まで目が離せないスリリングな政治エンターテインメントとして結実している。

政権に不都合なニュースをコントロールする内閣情報調査室に所属する官僚は、上司に命じられフェイクニュースを作成する日々。良心の呵責を抱える彼に、政府の内部告発者からの情報を追う女性記者が出会い......。共演は本田 翼、田中哲司、高橋和也、北村 有起哉
PHOTOGRAPHS: © 2019 SHIMBUNKISHA FILMPARTNERS
『新聞記者』
6月28日(金)より新宿ピカデリーほかにて全国公開
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