BY MASANOBU MATSUMOTO
京都の街の魅力を形づくっているのは、寺社仏閣や町家だけではない。明治以降、欧米の技術や文化が日本に伝わると、京都では良質な近代建築が多く造られた。華麗なバロック様式を取り入れた京都国立博物館、家具調度品を含め、和と洋の多彩な装飾様式を折衷した長楽館、モダニズムの美学を継承しながら、京都の風土になじむ空間を目指した国立京都国際会館──こういったモダン建築の名作が、今も解体されず、活用されているのが京都だ。

合掌造りや神社の社殿を彷彿させる台形をモチーフにした国立京都国際会館。京都の街や自然との融合が試された
COURTESY OF KYOTO INTERNATIONAL CONFERENCE CENTER

《長楽館(旧村井吉兵衛京都別邸) 螺鈿細工の椅子》大正時代以前 長楽館所蔵
PHOTOGRAPH BY FUMITAKA MIYOSHI
京都市京セラ美術館で開かれる『モダン建築の京都』は、そのうち36の建築物をピックアップし、おのおのの特徴や京都における近代建築の歩みを紹介する。開幕に合わせ、展示解説を兼ねた街歩きガイドアプリ「モダン建築クロニクルKYOTO」もリリース。観覧したあと、実物を見に街を散策してみるのも一興だ。