日本にいながらこの隔絶感はどこからきているのか。ひとつには軽井沢のあまり日本的ではない景観がある。田畑より松の樹林に囲まれた一帯は季節によってその姿を変え、冬になれば軽井沢駅のすぐ後ろに控える10カ所ものゲレンデが活躍する。さらに、とんがり屋根の居心地のよいコテージは、白い漆喰のファサードが木製の格子で飾られている。


こんなふうに「アルプスの美を体現した町」として自らのアイデンティティを確立してきたことも軽井沢をほかの場所とは一線を画す存在にしている。緑豊かな西洋風の町をつくろうという、ある種のジャパニーズドリームから生まれた「軽井沢」。誰もが認める魅力あふれる理想郷「軽井沢」は正真正銘の「快適さの代名詞」といえるだろう。



TNAによる「方の家」

アシのように細い支柱は、笹が地面からまっすぐ伸びているさまをイメージさせる。 

ガラスのカーテンウォールで覆われた壁のない家にはほとんど仕切りがない



 ここ何十年もの間、皇族や富裕層が、夏になると蒸し暑い東京から避暑に、冬にはスキーや数多くのミネラル豊富な天然温泉につかりに軽井沢を訪れている。1957年の皇太子明仁親王(現天皇)と一般人だった美智子さま(現皇后)の軽井沢のテニスコート―試合は美智子さまの勝利―の出会いは有名なエピソードだが、その後も皇室一家はほぼ毎年軽井沢で夏を過ごしている。1970年代には、ジョン・レノンと美智子妃と同じく裕福な旧家出身のオノ・ヨーコも数カ月をここで過ごした。ごく最近の噂では、ビル・ゲイツが軽井沢に豪邸を建築中だという。