『百年の編み手たち -流動する日本の近現代美術-』
|東京都現代美術館
去る3月にリニューアル・オープンを果たした、東京・木場の東京都現代美術館。そのリニューアル第一弾企画展『百年の編み手たち』は、本美術館の収蔵作品を軸に、日本の近・現代アート史を総瞰する、意欲的な展覧会になった。

森村泰昌《肖像(少年1、2、3)》1988年
この“百年”の起点となるのは、第一次世界大戦の開戦で、欧州からの情報が減少した1914年。本展では、この年を“西洋の模倣”から“独自性の探求”へと移行したアートシーンの重要な転換期として捉え、それに続く現代までの多様でハイブリットな日本の美術のありようを伝える。
とはいえ、日本の美術史を直線的にたどるだけの内容ではない。展覧会のタイトルにおいてアーティストを社会の“編み手”と表現しているように、作家はそのときどきの社会状況を作品に投影してきた。太平洋戦争、安保闘争、核実験、グローバリゼーションといった現代の社会的事象を交えながら、作家たちがどのような表現を試みているのかも本展は解き明かす。

(写真左から)
岸田劉生《椿君に贈る自画像》1914年
鶴岡政男《重い手》1949年

(写真左から)
横尾忠則《腰巻お仙》(劇団状況劇場)1966年
加藤泉《Untitled》2013年
PHOTOGRAPHS: COURTESY OF MUSEUM OF CONTEMPORARY ART TOKYO
作品点数は400超。岸田劉生や岡本太郎、横尾忠則、奈良美智、村上隆のようなスター作家の作品も多く並ぶ。その一方で、靉嘔(あいおう)や瑛九(えいきゅう)のように、広く知られているとは言いがたいが、美術史の重要な作家をフォローしているのもポイントだろう。そのような“隠れたヒーロー作家”を再発見できることもまた、百年という大きいスケールをテーマにした本展の醍醐味である。
『百年の編み手たち - 流動する日本の近現代美術 -』
会期:〜6月16日(日)
会場:東京都現代美術館
住所:東京都江東区三好4-1-1
開館時間:10:00〜18:00(入館は30分前まで)
休館日:月曜(4月29日、5月6日は開館)、5月7日(火)
料金:一般 ¥1,300、大学・専門学生 ¥900、高校・中学生・65歳以上 ¥600、小学生以下無料
電話:03(5777)8600(ハローダイヤル)
公式サイト
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