アラスカの氷河をモチーフにしたダグ・エイケンの映像インスタレーションから、横尾忠則が描いた亡き愛猫タマの肖像。クレア・タブレがロックダウン中に制作したセルフポートレイト。開催中の3つのアート展の見どころを紹介する

BY MASANOBU MATSUMOTO

クレア・タブレ『Lockdown Self-portraits』|ペロタン東京

 フランス人アーティスト、クレア・タブレは、いま広く注目を集めているアップカミングな画家のひとり。ハグするカップルやレスリングで組み合う男たち、白雪姫やピーターパンなどに仮装した子どもなど、肖像画を中心に絵画制作を展開してきた。世界各国の美術館、またグッチを傘下に置くケリング・グループのトップ、フランソワ・ピノーやアニエス・ベーらも、彼女の作品をコレクションしている。

 そんな彼女の日本初個展が、いま、六本木のペロタン東京で開かれている。タイトルは『Lockdown Self-portraits(ロックダウン セルフポートレイツ)』。出展作品は、彼女がコロナ禍による都市封鎖期間中に描いたという自画像シリーズだ。

画像: 《SELF-PORTRAIT WITH GEORGE(GREEN)》 2020

《SELF-PORTRAIT WITH GEORGE(GREEN)》 2020

 被写体のボディランゲージや服装、化粧の具合などをよく観察し、自分以外の特定の個人やグループを“その人らしく”描いてきたタブレ。外出規制により、モデルとなりうる他人と接触しにくくなった時、彼女は(山奥に暮らし、モデルがいなかった)フィンランドの女性画家ヘレン・シャルフベックにヒントを得て、自分を描くことを選んだのだという。

 自分を抱きしめるように愛犬をハグする姿、不安げに視線をテーブルに落とす姿。こうした作品は、タブレが言う「内向きになっている特別なまなざし」を感じさせるとともに、先行きが見えない時代において、唯一確実な存在が自分自身だけであることを仄めかす。

画像: 《SELF-PORTRAIT AT THE TABLE》 2020 PHOTOGRAPHS BY MARTEN ELDER, COURTESY OF THE ARTIST AND PERROTIN

《SELF-PORTRAIT AT THE TABLE》 2020
PHOTOGRAPHS BY MARTEN ELDER, COURTESY OF THE ARTIST AND PERROTIN

『Lockdown Self-portraits』
会期:〜12月31日(木)
会場:ペロタン東京
住所:東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル1F
開館時間:12:00〜18:00
展覧会予約ページより、要事前予約
体廊日:日・月曜
電話: 03(6721)0687
公式サイト

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