BY KAORU SAITO, PHOTOGRAPH BY TOSHIMASA OHARA

気づいていただろうか? 毎シーズンのトレンドとは別に、コスメの世界には、アイテム自体の流行があるということに。たとえば、口紅などのスターアイテムの陰に隠れ、常に地味な存在だった眉用アイテムが近頃にわかに脚光を浴びていたり、なかなか日の目を見ずにいたベースメイクのオプショナルアイテムに今、大きな注目が集まっていたり。中でも、いちばん進化が目覚ましいのがベースもの。いわゆる粉体技術に目覚ましい進化が見られ、数年前からファンデーションの世界にも大きな革命が起きていた。新形状が次々に生まれ、リキッドやパウダーなど定番のタイプ分類がすっかり書き換えられ、ベース界全体に大きな異変が起きているのだ。
化粧下地、コンシーラー、毛穴カバーにハイライター、さらには化粧上地。……上地?「そんなの初耳」と思うはずだが、それこそが、激しい変化の証し。今までなかった未知なるアイテムの出現もあって、大編成替えが起きているのだ。正直を言えば、混沌としすぎて何がなんだか。カテゴリー分けが非常に難しくなっているのは事実。ただ、言い換えればそれは、肌をさらにきれいに見せるテクノロジーが予想もできなかった進化を遂げていることを意味している。
ファンデーションの前に何をするか? ファンデーションの後に何をするか? それはオプションとして片づけられないほど重大な問題だ。オプションとは本来「やってもやらなくても、どうぞお好きに」という意味なわけだが、ベースメイクのオプションは、使えば使っただけきれいになれる。これだけは間違いない。でも化粧膜をそんなに重ねてどうするの? 厚塗りになるばかりでは? と思うかもしれない。でも不思議なことに、これが逆。今やむしろ重ねるほどにナチュラルに見えるのだから、ベースメイクはまさに神秘だ。