BY KAORU SAITO, TERUNO TAIRA(CAPTIONS), PHOTOGRAPHS BY MAKOTO NAKAGAWA, MAKEUP BY RUMIKO, HAIR BY KOICHI NISHIMURA(ANGLE), STYLED BY MAKI YANAGITA
思えばかつて、この人、RUMIKOの提唱によって日本の女性のメイクが変わった。日本女性はファンデーションを厚く塗りすぎる。欧米人がうらやましがるほど美しい肌をもっているのに、なぜそんなに隠したがるのだろう……。NYで活動しながら、ずっとそういう疑問を抱えてきたから、「日本女性のために化粧品ブランドを」というオファーを迷いなく受けていた。そして日本女性のために初めて開発したファンデーションは、異例の大ヒットとなった。
かくして日本女性を完璧な薄化粧に導いたRUMIKOが、この秋、二つめのブランドを発表した。「Amplitude/アンプリチュード」――豊かさ、奥行き、波動の振幅、といったとても深い暗示的な意味をもつ言葉を、そのままブランド名にした。そこには、単なる化粧品の提案にとどまらない、女性たちへの重要な訴えがこのブランドに託されたことがうかがえる。それが、“女の第二章”へ向けた「かっこいい大人美」というテーマ。有能な人は美しい。社会性のある人は美しい。かっこよさの中に女らしさや色気を宿す人は美しい。そして愛ある人は美しい……。肉体も精神もおしなべて美しい、「かっこいい大人美」の定義である。
「若い頃は、もちろん外見の美しさを優先してかまわないと思います。でもそれを“女の第一章”と捉えて、大人は“第二章”に進んでほしい。美しさや若さより、生き方とか考え方とか、まさしく内面の美しさを求めること。そして今この世の中で何が起こっていて、何が問題なのかにも目を向けられる社会性をもつこと、そのうえで自分の生き方を考えていく――それが“女の第二章”であり、そこから生まれる美しさこそが、大人の女性が目指すべきものなのではないでしょうか」
それは、“人間の美しさ”を追求することなのかもしれないと、この人は言った。そう、だからこそ「かっこいい大人美」なのだと。「かっこいいって、どこか薄っぺらい響きもあるのだけれど、それこそ生き方や考え方の成熟を大きく捉える言葉としては、ベストな選択であったと思っています。英語で言うと、クールでもスタイリッシュでもない、ある意味、最上級。ファンタスティックとかジーニアスとか、ワンダフルに近いのかもしれません。どちらにしても仕事の仕方や社会との関わり方も含めて、若い人にとってのお手本になり、また男性も含め誰もが認めるような存在になること」
今の時代、物事の是非がすべてかっこいいか否かに集約されるという面すらある。彼女のメッセージは、むしろ「大人はかっこ悪いことは決してすべきではない」という主張と捉えることもできる。
「NYでは、かっこいい女性にたくさん会いました。たとえばある女性バイヤーはいつもシャネルスーツをさりげなく着ている。彼女のアシスタントもみな黒か紺のパンツスーツで、そうしたそれぞれのスタイルにも、彼女たちのプロ意識を感じました」