パリのアパルトマンにエットレ・ソットサスと「メンフィス」の作品を蒐集するシャルル・ザーナ。その貴重なコレクションに満ちた住まいを紹介する後編

BY NANCY HASS, PHOTOGRAPHS BY HENRY BOURNE, TRANSLATED BY FUJIKO OKAMOTO

画像: ソットサスの吊りランプ(1957年)、 フェルナン・レジェの 陶器のオブジェ「歩く花」

ソットサスの吊りランプ(1957年)、 フェルナン・レジェの 陶器のオブジェ「歩く花」

 オーストリア生まれのインダストリアルデザイナー、建築家、そして博識な知識人として知られるエットレ・ソットサス。モダニズムへの反発から、ソットサスを中心にポストモダニズムを代表するデザイナー約20人とともに結成されたラディカルなデザイナー集団「メンフィス」は世界に衝撃を与えた。パリのグルネル通りにあるアパルトマンに暮らすシャルル・ザーナは、ソットサスと「メンフィス」の貴重なコレクションを蒐集するコレクターだ。アートとともに暮らすザーナの住まいを特写した。


 ザーナの収集したソットサスの作品は、トーテムを含めて30点ほどにのぼる。これには、90年代後半に制作された、片面を意外な形で平らに切り落とした痰つぼ型の花瓶から、60〜70年代の貴重な陶器の試作品までが含まれている。彼はまた、メンフィス以前にソットサスが結成したデザイナー集団「スタジオ・アルキミア」(ラディカルな脱建築・反デザインを展開するイタリアの建築家集団「アーキズーム」と「スーパースタジオ」から派生したグループ)が手がけた照明器具や家具なども所有している。ザーナはこの春のベネチア・ビエンナーレで、ソットサスの陶器の展覧会キュレーターを務めた。会場はサンマルコ広場にあるオリベッティのショールームだ。1959年に建築家カルロ・スカルパが設計したこのショールームは、オリベッティ一族が数十年にわたってベネチア出身の著名な建築家とエットレ・ソットサスとの関係を築いてきたことを物語る。

 ザーナはまた、「アーキズーム」の創設者で、78歳にして現役のアンドレア・ブランジの作品コレクターでもある。ザーナの2000平方フィート(約186平方メートル)のアパートメントのリビングには、裏側にT字形に張り出した静かなテラスがある。そこでは、ブランジのデザインした大きなフロアランプがぬくもりのある明かりを投げかけている。フープスカートのように膨らんだ、しわくちゃで特大のペーパーシェードがついた作品だ。ザーナはこうしたコレクションについて、「単に作品に惹かれているだけではないんです。私はむしろ作品のコンセプト、すなわちデザイナーの哲学に興味がある。こうした作品には、人々が思うよりずっと古典的なコンセプトが表現されているのです」と説明する。20世紀後半イタリアのアヴァンギャルドなデザイン運動を担ったデザイナーたち―ポストモダンを代表する米国の建築家マイケル・グレイヴスも、一時期メンフィスと行動をともにしていた―の中で、ブランジとソットサスは、真に偉大な哲学をもった稀有な存在だったのだとザーナは言う。

画像: マスターベッドルーム。アンドレア・ブランジのプラトン・シャンデリア(2008年)、ブルーノ・ムナーリのついたて、ザーナの大理石のスツール

マスターベッドルーム。アンドレア・ブランジのプラトン・シャンデリア(2008年)、ブルーノ・ムナーリのついたて、ザーナの大理石のスツール

 

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