NYの人気デザイン・ホテルやセレブリティの自宅インテリアを手がける気鋭のデザインユニット「ローマン&ウィリアムス」。作家のアトリエを訪ねて来日した彼らの旅に、T JAPANが同行した

BY JUN ISHIDA, PHOTOGRAPHS BY YASUYUKI TAKAGI

 安齊と吉川、作る環境も扱う素材も異なるふたりだが、その作品には通じるものがある。どこか未完成な部分を残すところだ。安齊の作品ではそれは作業過程で生じる偶然性であり、吉川の作品では使用する木材の風合いである。こう告げると、ロビンから次のような言葉が返ってきた。「安齊も吉川も、どこで作業を止めるかを知っています。仕上げすぎることなく、素材そのものにその魂を語らせる作品はとても美しい」。

画像: 東京、世田谷の材木店の中にある吉川のアトリエ。小さなスプーンから巨大な木の幹を活かした椅子まで 吉川の作品はさまざま。自身も木工作りをやるスティーブンは木の種類を聞いては感触を確かめたり、匂いを嗅いだり

東京、世田谷の材木店の中にある吉川のアトリエ。小さなスプーンから巨大な木の幹を活かした椅子まで
吉川の作品はさまざま。自身も木工作りをやるスティーブンは木の種類を聞いては感触を確かめたり、匂いを嗅いだり

画像: 古材の風合いを活かした木工作家、吉川和人の作品

古材の風合いを活かした木工作家、吉川和人の作品

この未完成の美は、日本独自の美意識に基づくものだとふたりは考えている。「日本の作家は素材の美しさを活かすことに長けています。また装飾芸術においてはコンセプチュアルであることより、使いやすさと美しさのバランスが大事ですが、日本人はこの二つを結びつけることもうまい」。自然美、そして有用性と美の共存は、「ギルド」が掲げるマニフェストでもある。

画像: 気に入った作品ばかりで興奮ぎみのロビン。吉川(右)は日本のカッシーナに勤めたのち、岐阜の森林アカデミーで木工技術と日本の森林文化を学び、作家として独立した

気に入った作品ばかりで興奮ぎみのロビン。吉川(右)は日本のカッシーナに勤めたのち、岐阜の森林アカデミーで木工技術と日本の森林文化を学び、作家として独立した

 この春、「ギルド」に新しいスペースが誕生した。「ハウス・オブ・ボウルズ」と彼らが呼ぶ地下のスペースはカルチャーイベントやプライベートディナーを催すためのもので、1,000冊以上の書籍が並ぶライブラリーや、アートポスターなどを扱うアートルームも併設されている。

画像: 4月にオープンした、地下のプライベート・ダイニング・スペース。壁には世界各地から集められた器が並んでいる https://rwguild.com COURTESY OF ROMAN AND WILLIAMS

4月にオープンした、地下のプライベート・ダイニング・スペース。壁には世界各地から集められた器が並んでいる
https://rwguild.com
COURTESY OF ROMAN AND WILLIAMS

棚にずらっと並ぶのは、彼らが世界各地から集めたボウル(器)だ。ロビンは「器は『ギルド』のメタファー」だと述べる。「器は人類が最初に作った道具のひとつであり、美しさと機能性を兼ね備えています。デザインの世界は四半世紀ほどトレンドを追いかけてきましたが、今、人々はより根源的でサステナブルなものを求めている。日本や北欧はその流れをリードしていますが、ほかの国々はまだ気がついていません。「ギルド」は、こうした新しい時代の流れを発信する場所にしたい」。今は「アーツ&クラフツ運動の新たな始まりの時」というロビンとスティーブン。「ギルド」は新しいカルチャーの震源地でもあるのだ。

 

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