BY MASANOBU MATSUMOTO
“ひねりのあるクラシック”という言葉は、ポール・スミスの仕事をうまく言い当てているように思える。千鳥格子や水玉、ストライプといった英国の定番的な柄やパターンを新しい色や組み合わせでアレンジしたり、そうしたテキスタイルを伝統的なメンズウエアに採用したり。クラシックなもの、背後に確固たるコンテクストのあるものに、いつもポールはデザインを施し、新しい魅力や価値を与えてきた。
そんな彼のデザインの仕事は、洋服だけではなく、いまやインテリアの領域にも及んでいる。2002年からは、“伝統的なテーラリング生地をインテリアに応用”しようと、米国のテキスタイルブランド、マハラムとタッグを組み、ファブリック制作に挑戦。そして、このほど、言わずと知れた世界的家具ブランド、ハーマンミラー社とコラボレーションし、「ポール・スミス&マハラム for ハーマンミラー コレクション」を発表した。ラインナップは、イームズ夫妻やジョージ・ネルソンなど、ハーマンミラー社が取り扱うミッドセンチュリー期の家具。古き良き時代の名作5つを、それぞれポール・スミス&マハラムのテキスタイルでアレンジした。
「ミッドセンチュリー家具という点では、過去にもカール・ハンセン&サンのシェルチェアをコラボレーションで制作したことがあります。そのとき選んだのは、ポール・スミス&マハラムのビッグストライプ柄。その作品はしばらくの間、マハラムのショールームに展示され、多くの方が“素晴らしい”とコメントを寄せてくださいました。その仕事が、今回のハーマンミラーとのコラボレーションに繋がったのだと思います」とポールは経緯について推測する。今回の5つの家具に関しては、「イームズの椅子やネルソンマシュマロソファ、これらは私自身、キャリアをスタートした頃から知っていた名作ですから、本当に光栄なこと。普段から私のところにはさまざまなコラボレーションの依頼が届きますが、それをやるかどうかの決め手はいつも“直感”。そういった意味では、今回は本当に即決でした!」
ビジネススーツを思わせるピンストライプや、過去にポール・スミスのコレクションでネクタイに使っていたドット柄など、“洋服的なエッセンス”が感じられるのも、このコラボレーションの特徴だ。「洋服と家具ではデザインするプロセスやスピード感がまったく違いますが、私自身、その2つの間に明確なラインを引いて、デザインを考えていません。そもそも、デザインは私たちの生活のありとあらゆるところに溢れているのですから!」とポール。
単に、往年の名作家具をアイコニックな柄やパターンで彩ったのではない。“洋服と家具の文脈をつなぐ”という、ポール自身が心から楽しんだ新しいチャレンジを、これらの作品を通じて体感することができる。
<EVENT>
下記の会場およびスケジュールで展示および販売を実施。「ポール・スミス&マハラム for ハーマンミラー コレクション」のほか、日本の家具メーカー、カリモクが手がける「カリモク ニュー スタンダード」にポール・スミス&マハラムのテキスタイルをアレンジした特別アイテムも揃う。各ショップに展示される家具はそれぞれ異なる予定。
六本木店:~12月2日(日)
Paul Smith SPACE:12月15日(土)~2019年5月13日(月)
金沢店:2019年1月12日(土)~2月4日(月)
三条店:2019年2月16日(土)~2月25日(月)
福岡店:2019年3月8日(金)~3月17日(日)
なんばパークス店:2019年3月29日(金)~4月14日(日)
仙台店:2019年5月24日(金)~6月9日(日)
問い合わせ先
ポール・スミス リミテッド
TEL. 03(3478)5600
公式サイト