アルヴァ・アアルトらの精神を継承してヘルシンキを拠点に活動するハッリ・コスキネン。彼がつくるエルメスのガラス製テーブルランプは、色被(き)せガラスの奥深い色を宿す

BY NANCY HASS, PHOTOGRAPH BY AMANDA SELLEM, PHOTO ASSISTANT: JULIETTE PAULET, SET DESIGN BY CAMILLE POUYAT, SET DESIGNER’S ASSISTANT: JUSTINE ROUSSEL, TRANSLATED BY CHIHARU ITAGAKI

画像: ランプ「スフル・ドゥ・エルメス」(価格未定)/エルメス エルメスジャポン TEL.03-3569-3300

ランプ「スフル・ドゥ・エルメス」(価格未定)/エルメス

エルメスジャポン
TEL.03-3569-3300

 スカンジナビアにモダニズムの波が到来したのは、1930年代のことである。すぐにフィンランドのデザイナーたちは、手吹きの色ガラスで世界に知られる存在となった。その色ガラスはどっしりとしつつ自然のままのおもむきで、その点ではイタリア・ムラーノのガラス細工にもまさる出来栄えであった。

 アルヴァ・アアルト、カイ・フランク、タピオ・ヴィルカラらは、繊細さはさほど重視しなかった。彼らは、多彩な色被(き)せガラス(註:ガラス素地に異なる色のガラスを重ねたもの)の制作に注力し、それまでは幾何学模様が担っていたガラスの装飾性が、色によって表現されるようになった。ヘンリー・ムーアやバーバラ・ヘップワースといった抽象彫刻家の石像が彼らの着想源となった。

 現在、ヘルシンキを拠点に活動する53歳のハッリ・コスキネンは、そんな彼らの精神的後継者のひとりである。彼はフィンランド独自の美学に電気を通した。それがエルメスのガラス製テーブルランプのシリーズだ。高さ約25㎝のドーム型で、カシスレッド、シダの葉のようなグリーン、アンバーイエローなどのくすんだ色みで展開される。このランプは、明るく照らすだけでなく、くすぶる火山のような鈍い光も静かに宿すことができるのである。

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