ルールやスタイルに捉われず、ただ好きなものを愛し、花や緑を愛でる。“自分らしさ”を貫いた素敵な生き方が息づくスタイリスト古牧ゆかりさんの部屋。古牧さんの部屋を数回に分けてレポートし、自分のいる場所を心地よい空気で満たすコツを伺う。第6回は素敵なファブリック使いにフォーカス

BY EMI ARITA

 壁のアートに、窓辺のたくさんのグリーン、趣のあるヴィンテージの家具と、どこに目を素敵な古牧さんの部屋。中でもたくさんの色で彩られているのが、窓から温かな陽が差し込むリビングのソファ周り。壁際に置かれたソファは、春は軽やかなピンク、夏は爽やかなブルー、秋から温かみのあるブラウン、と季節ごとにカバーをかけ変えて、ファッションのように“衣替え”をして楽しんでいるという。
「ソファは無印良品で買ったものです。最初の頃は、張り地を張り替えて気分を変えていたんですが、当時は猫がいたので、せっかく張り替えてもすぐにボロボロになってしまって。それで張り地を張り替えるのではなく、ソファにカバーをかけて、季節やシーンに合わせてコーディネートするようになりました」

画像: リネンのピンクのカバーをかけた春のコーディネート

リネンのピンクのカバーをかけた春のコーディネート

 それぞれのカバーはソファ専用のカバーではなく、ベッド用シーツを使うのが古牧さん流。最近はソファ専用カバーも種類が増えてはきているものの、なかなかイメージにあうものを見つけるのは難しく、結局買わずじまいになっている人もいるはず。そんな人にも、ベッド用シーツをソファカバーにするという古牧さんのアイデアは、参考になりそうだ。
「ソファの大きさが210cmなので、まるっと包めるように、長さが300cm程度の大きめのシーツを使っています。シーツなら、素材も色も、種類がたくさんありますし、自分好みのスタイルを作りやすいと思います」

画像: コットン製のブラウンのカバーをかけた秋から冬にかけてのコーディネート

コットン製のブラウンのカバーをかけた秋から冬にかけてのコーディネート

 ソファの上にはいつも色とりどりのクッションが置かれているのも素敵だ。
「旅先で出合った布やクッションカバーがたくさんあるので、それらを組み合わせてコーディネートすることもあります。旅した土地へ思いを馳せたり、気分転換にもよいですね。そこにZARA HOMEやIKEAで気に入ったものを足したり。ソファカバーとの色合わせを考えながら、その時々の気分や季節感を演出して楽しんでいます」

画像: 旅先で集めたファブリックを織り交ぜたコーディネート。ソファにかけてあるクロスはウズベキスタン、中央にある白、黒、赤のラインの刺繍が入ったクッションはチェコ、その後ろにあるベージュ柄キリムのクッションは、トルコで手に入れてものだそう。足もとのカラフルなラグはルーマニアのもの

旅先で集めたファブリックを織り交ぜたコーディネート。ソファにかけてあるクロスはウズベキスタン、中央にある白、黒、赤のラインの刺繍が入ったクッションはチェコ、その後ろにあるベージュ柄キリムのクッションは、トルコで手に入れてものだそう。足もとのカラフルなラグはルーマニアのもの

 足もとに敷くラグも、旅先で買ってきたものを、やはり季節や気分に合わせて変えていると古牧さん。最近敷いているのは、カラフルなルーマニアのラグだそう。インパクトも抜群なラグは、見ているだけで旅に出かけたような楽しい気分にさせてくれる。
「旅で買うものはみんな柄物。むしろ旅先では無地のものを見つける方が難しいかも(笑)。こうやって、いろんなスタイルがミックスされて、カラフルでごちゃごちゃした感じが好きなのは、パリに住んでいた影響が大きいかもしれません。パリはおしゃれで洗練された雰囲気もあるけれど、多民族国家でもあるので、エスニックな雰囲気といいますが、いろんな文化が混ざり合ってごちゃごちゃした場所もあって、それがとっても素敵だったんですよね」

画像: ラグもさまざまな国のものが揃う。上から時計回りに、イエロー鳥モチーフがスウェーデン、パステルモチーフがトルコ、赤系幾何学モチーフがモロッコのもの

ラグもさまざまな国のものが揃う。上から時計回りに、イエロー鳥モチーフがスウェーデン、パステルモチーフがトルコ、赤系幾何学モチーフがモロッコのもの

画像: ソファや椅子にかけてコーディネートを楽しめるクロス。左はインド、真ん中と右はウズベキスタンのもの PHOTOGRAPHS : COURTESY OF YUKARI KOMAKI

ソファや椅子にかけてコーディネートを楽しめるクロス。左はインド、真ん中と右はウズベキスタンのもの

PHOTOGRAPHS : COURTESY OF YUKARI KOMAKI

 季節ごとに色を変えて、時には自分らしい旅のムードを漂わせて……。家具やインテリアを変えずとも、ファッションのようにファブリック使いを楽しむことで、いつも新鮮で、自分らしさが息づく住まいを叶えることができる──センス溢れる古牧さんのファブリック使いには、今すぐ真似したくなってしまう、心地よいインテリアづくりのヒントに溢れている。

古牧ゆかり
スタイリスト/ビジュアルディレクター。ファッション誌で活躍後、渡仏。パリに暮らす。帰国後『エル・ジャポン』のファッションエディターに。現在はフリーでファッション、インテリアのスタイリングや動画制作のビジュアルディレクションを手がける。本誌ファッション特集でも活躍中。
公式サイトはこちら

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