BY EMI ARITA, PHOTOGRAPHS BY MAKOTO NAKAGAWA
グリーンやアート、旅先で集めた素敵なものたちで彩られた古牧さんの部屋は、夜になると昼間とまた違った雰囲気に包まれる。「ムードを大事にしたいんです。夜には夜の過ごし方があるのだから」と言い、夕暮れ時になると、部屋のあちこちに置かれた照明たちに明かりを灯す。優しく、柔らかで、温かな光が灯る部屋は、心と体を休め、静かに夜を過ごすリラックスムードへと誘い、いつまでも居たくなる心地よさに満ち溢れている。
「部屋全体を煌々と照らす天井照明は好きではないので、ほとんどが間接照明です。あと蛍光灯のような白い明かりも苦手なので、オレンジっぽい、温かい光を放つ電球色のライトに付け替えています」
光源が直接目に入るような照明も苦手だと言い、帽子のようにシェードを被った照明たちが、窓際や天童木工のキャビネットの上に置かれ、周囲のグリーンやオブジェを美しく照らし出している。それぞれベース部分はラタンだったり、ガラスだったり。動きのある、表情豊かな有機的なシルエットなのも印象的だ。
「ラタンのもガラスのも、どちらも日本で買ったものです。照明も好きでたくさん集めてしまうので、ここに出してないものもあるし、電球をつけずに、オブジェとして飾っているものもあります。たくさんある中で特に気に入っているのは、やっぱり友人がつくってくれた“ジグザグライト”かな」
その名の通り、ジグザグを描くような木のフォルムの先にランプがぶら下がる“ジグザグライト”は、昼間はその姿からオブジェとして存在感を放ち、夜になり明かりを灯すと、独特なシルエットを浮かび上がらせる。思わず欲しくなってしまうが、世界にひとつしかない、一点もの。
古牧さんの家にはたくさんのキャンドルが飾られており、夜はそれらに火を灯すのも忘れない。「毎日ではないけど、飾りではなく“明かり”として、キャンドルもちゃんと使っています。火のゆらぎを見ていると心が落ち着くし、テーブルにキャンドルを灯すと、グラスの煌めきも昼間とは全く違ってとてもキレイ。それを眺めながら、お酒を飲むのが至福のひとときです」
夕暮れ時のトワイライトから陽が沈むまで、ひとつひとつのあかりの表情を愛でながら、グリーンやアートも、刻一刻と夜の表情へと変わっていく姿を眺めるのも楽しんでいると古牧さん。「音楽もJAZZに変えて、ゆっくりとお酒を嗜む。それが私の夜のお楽しみです」
古牧ゆかり
スタイリスト/ビジュアルディレクター。ファッション誌で活躍後、渡仏。パリに暮らす。帰国後『エル・ジャポン』のファッションエディターに。現在はフリーでファッション、インテリアのスタイリングや動画制作のビジュアルディレクションを手がける。本誌ファッション特集でも活躍中。
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