日本における韓流ブームの立役者で韓流エンタメのスペシャリストである田代親世さんが、韓国ドラマの魅力をさまざまな角度からご紹介!

TEXT BY CHIKAYO TASHIRO

キム・スヒョンの魅力

【1】『涙の女王』彼を知り尽くした脚本家による'24年の大ヒット作!

 『涙の女王』は、結婚から3年が経ち、お互い嫌気がさした地方出身のエリート男性と財閥のお嬢様の大逆転ロマンスです。育った境遇の違いはあれど、ラブラブだった2人がどうしてこんなにも冷ややかな関係になってしまったのか、出会った頃の2人と現在とを行き来しながら解き明かされ、そしてもう離婚しかない!と夫が決意したところにある出来事が起こり、夫としては予想外の展開になっていきます。

画像: 主人公ペク・ヒョヌ役のキム・スヒョン。Netflixシリーズ「涙の女王」独占配信中

主人公ペク・ヒョヌ役のキム・スヒョン。Netflixシリーズ「涙の女王」独占配信中

 キム・スヒョン演じる主人公は恋の始まりからして良い勘違いが積み重なり、空気が読めてなくて自分の気持ちでズンズン行ってしまうところがクスクスと笑えます。でもいざという時はちゃんと彼が頭脳的にも体力的にもずば抜けた能力を発揮してヒロインを含めた彼女の一家を守っていくのでキュンキュンするわけです。つまりは『プロデューサー』でのちょっと空気を読めない感じや『星から来たあなた』でのデキる男な感じを合わせたようなキャラクター。そんな彼に対して素直になれない氷のようなヒロインがホロリホロリと気持ちを表していくのがまた愛おしくて。この美男美女の組み合わせが何とも言えないいい感じで見入ってしまいます。

画像: キム・スヒョン(右)と妻ホン・ヘイン役のキム・ジウォン(左)。Netflixシリーズ「涙の女王」独占配信中

キム・スヒョン(右)と妻ホン・ヘイン役のキム・ジウォン(左)。Netflixシリーズ「涙の女王」独占配信中

 美しい涙を流すキム・スヒョン、スーツ姿が似合うキム・スヒョン、走る姿がかっこいいキム・スヒョン、とキム・スヒョンの魅力が堪能できる1本です。キム・スヒョンとは『星から来たあなた』『プロデューサー』に続いて3回目のタッグを組む、脚本家パク・ジウン作品なので、キム・スヒョンの魅力を余すところなく出したドラマになっている感じです。また脚本家パク・ジウンは『愛の不時着』でもわかるように、シリアスかなと思ったらコメディに持っていくのが得意なので、普通に考えたら深刻な設定なのですが、重くならず楽しく見せてしまうのが巧みです。毎回エピローグで最後にまたキュンとさせられるのもやられた~という感じですね。

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【2】『プロデューサー』真面目すぎて笑えるキャラクターが“いい味”

 タイトルで分かる通り、テレビ局のプロデューサーたちが主人公のドラマです。テレビ局を題材にした作品は数々ありますが、本作はバラエティー番組を作っている部署が舞台。おまけに、KBSという実際の放送局の名前もそのままなら、「1泊2日」「ミュージックバンク」など、実際の番組名もそのまま出てきます。それだけでなく、テレビ局が背景だけに俳優から歌手まで、豪華なカメオ出演陣がみんな本人役で登場。それぞれがセルフパロディーを楽しそうに演じているなど、クスリクスリと笑える仕掛けが盛りだくさんです。

画像: 新人プロデューサー、ペク・スンチャン役のキム・スヒョン。©KBS media

新人プロデューサー、ペク・スンチャン役のキム・スヒョン。©KBS media

 ドラマは一流大学を出たキム・スヒョン演じるペク・スンチャンが新入社員としてKBSに入社するところから始まります。スンチャンは、生真面目で純真ながらも、空気を読むのが苦手な新人プロデューサー。初日から音楽番組の辣腕女性プロデューサーから目をつけられたり、リアルバラエティー「1泊2日」のチームに配属になって、大女優に降板を告げねばならなかったりと受難の日々が始まります。そんな新人のハラハラのプロデューサーライフを通してテレビ番組のウラ側がわかるのが一番の見どころ。そんな彼に、13歳で芸能界入りして冷めた目で世の中を見ている孤独な人気歌手シンディー(IU)が好感を抱くようになったり、スンチャンはスンチャンで、最初は怖かった女性プロデューサーが気になる存在になったり、その女性プロデューサーはスンチャンの先輩プロデューサーのことが好きだったりと、4人の恋のベクトルが複雑に交錯していくさまも見逃せません。キム・スヒョンの、まじめすぎてなんだか笑えるキャラクターがいい味を出しています。

画像: 左からキム・スヒョン、歌手シンディー役のIU、先輩プロデューサー役のコン・ヒョジンとチャ・テヒョン。©KBS media

左からキム・スヒョン、歌手シンディー役のIU、先輩プロデューサー役のコン・ヒョジンとチャ・テヒョン。©KBS media

 これまでバラエティー番組を見ていて、「どうやってキャスティングされるのか?」「“リアルバラエティ”って本当にリアルなのか?」など、気になっていたあれこれが、バラエティー番組に携わる者たちの哀歓を交えながらリアルに描かれているので、韓国のテレビ番組に詳しければ詳しいほど、より楽しく見ることができるでしょう。

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【3】『太陽を抱く月』凛々しい王様ぶりに萌えポイントが満載

 朝鮮時代の架空の王様を描いた大ヒットファンタジー時代劇で、キム・スヒョンを大ブレイクさせたドラマです。これは幼き日の忘れえぬ初恋を貫き通す若き王様の物語。太陽は王様のことを指し、月は王妃を表しているのですが、本来は1人ずつであるべき王と王妃なのに、王の地位を脅かす王の兄や2人の王妃が登場し、混乱をきたしているというのがこのドラマの概念です。あるべきものが元の正しい位置に戻れるのか、よこしまな力で邪魔されてしまった運命はどうなるのか、というところがロマンと切なさを伴って展開されていきますが、同時に、望むと望まざるとにかかわらず、もう1つの太陽、もう1つの月となってしまった男女の悲劇的な運命も描かれています。

画像: 若き王イ・フォン役のキム・スヒョン。Copyright©︎MBC, iMBC All Rights Reserved.

若き王イ・フォン役のキム・スヒョン。Copyright©︎MBC, iMBC All Rights Reserved.

 そしてなんといってもキム・スヒョン!彼の凛々しくカリスマを感じさせる王様ぶりに胸キュン。朝鮮時代の王の衣装も本当によく似合って、弓を射る時に着る服のかっこいいこと!宮廷を闊歩する姿も颯爽としていますし、走る姿も力強くて美しく、すべての所作に釘付けになりました。この王様、幼い頃に受けた心の傷が影響して、嫌いな人には顔では笑いながらも徹底的に冷たくするなど、緩急のある演技で引きつけます。中殿に対しても、顔をグッと近づけたり腰を抱いたりして喜ばせておいて、胸につき刺さる言葉を平然と浴びせるんです。この容赦のなさに最高に萌えます(笑)。そんな風にイケズでツンツンなのに、初恋相手とそっくりな巫女を前にして心が揺れる演技もツボで、デレぶりも萌えポイントが満載です。

画像: キム・スヒョン(左)とヒロイン役のハン・ガイン(右)。Copyright©︎MBC, iMBC All Rights Reserved.

キム・スヒョン(左)とヒロイン役のハン・ガイン(右)。Copyright©︎MBC, iMBC All Rights Reserved.

 ヒロインが巫女という設定だったので、黒魔術や預言、他人の代わりに厄を受ける“厄よけの巫女”などが登場し、とても幻想的でファンタジー要素のある風雅な作品になっています。

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芸に生きる女性たち

【1】『ジョンニョン:スター誕生』'50年代に存在した国劇団での成長物語

 ウェブ漫画が原作の、1950年代に存在した女性ばかりの国劇団でスターを目指す女性の姿を描く物語です。田舎町で魚を売って商いをしていた少女が、実はパンソリ(朝鮮の伝統的民俗芸能)の天才で、歌劇団のスターに見いだされて国劇の世界に足を踏み入れ成長していきます。

画像: ジョンニョン役のキム・テリ。ⓒ 2024 STUDIO DRAGON CORPORATION & CJ ENM Co., Ltd.

ジョンニョン役のキム・テリ。ⓒ 2024 STUDIO DRAGON CORPORATION & CJ ENM Co., Ltd.

 歌が得意というだけで何も知らずに入団し、そこからライバルたちと競いながら芸に磨きをかけていくのですが、天才だけに、集中しすぎて尋常じゃなく役に入り込みすぎたり、舞台全部を飲み込んでしまうような舞台荒らし的な部分があったり、荒削りだけど目を離せない魅力があって、そんな姿はまるで日本の大人気漫画「ガラスの仮面」の北島マヤのようです。そして相対するライバルには、歌に演技に踊りにすべてうまいのに、有名なソプラノ歌手の母親に認めてもらえずどこかにコンプレックスを抱えている存在がいて、この2人の、最初は反発しあうも、芸の上ではお互いのことをリスペクトしていくようになる関係性がまたいいのです。

画像: ムン・オッキョン役のチョン・ウンチェ。ⓒ 2024 STUDIO DRAGON CORPORATION & CJ ENM Co., Ltd.

ムン・オッキョン役のチョン・ウンチェ。ⓒ 2024 STUDIO DRAGON CORPORATION & CJ ENM Co., Ltd.

 主人公ジョンニョンを演じるキム・テリの溢れる生命エネルギーが圧巻! パンソリという伝統歌唱の天才役だけに、3年間歌の勉強に励んで挑んだそうで、劇中でそれはもう見事な歌を聞かせてくれています。恋愛対象の男性が出てくるわけではないですが、ジョンニョンに目をかける歌劇団の王子役のチョン・ウンチェの男装の麗人っぷりがなまめかしくて、これまた素敵です。劇中劇で「春香伝」や「自鳴鼓」など国劇の舞台がいくつか出てくるのですが、この舞台も韓国の文化を体感するうえで大きな見どころになっています。夢に向かって試練を乗り越え、切実に生きる人物たちの胸が熱くなるドラマです。

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【2】『ファン・ジニ』実在した妓生のドラマチックな人生

 このドラマは16世紀、朝鮮随一の妓生(キーセン)として名をはせた、実在したファン・ジニのドラマチックな人生を描いた作品です。“酒席で男性の相手をする女”という妓生のイメージを完全に脱し、このドラマでは、詩の才能に秀で、優れた踊りで多くの人々を魅了し、執念ともいうべき芸への情熱を注いだ1人の芸術家としてのファン・ジニの生き様が描かれていきます。

画像: ファン・ジニ役のハ・ジウォン。Licensed by KBS Media Ltd. © KBS. All rights reserved

ファン・ジニ役のハ・ジウォン。Licensed by KBS Media Ltd. © KBS. All rights reserved

 芸ごとに魅せられた少女が、その情熱で才能を磨き、2つの大きな愛を体験しながら、師匠との愛憎入り乱れた葛藤を繰り広げます。私は芸に生きる人の厳しさが好きなので、ファン・ジニの師匠が芸妓の心得を説くセリフの一つ一つがツボで、風雅で珠玉のせりふの数々には胸が高鳴りました。ファン・ジニとそのライバル、そしてそれぞれの師匠たちのライバル関係も交えて、全身全霊を芸に捧げて生きている女たちの凄味、気迫に圧倒されます。

画像: ファン・ジニの初恋の相手役を演じたチャン・グンソク(一番右)。Licensed by KBS Media Ltd. © KBS. All rights reserved

ファン・ジニの初恋の相手役を演じたチャン・グンソク(一番右)。Licensed by KBS Media Ltd. © KBS. All rights reserved

 そしてファン・ジニを取り巻く男たち、初恋の相手を演じたチャン・グンソクのピュアなすがすがしさと、大人の恋を結ぶキム・ジェウォンの愛のかたちが、好対照で面白いんです。個人的にはキム・ジェウォンが演じたキム・ジョンハンの、女性の才能の成就のために、自分を犠牲にし、必死に気持ちを抑え、押し付けがましくなく、一歩引きながらも相手を深く想っている姿が良かったです。見ていて熱い感動がこみ上げてくる、そしてものの哀れを感じさせるような、非常に見ごたえのある傑作です。

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【3】『風の絵師』朝鮮時代の2人の天才画家の運命を描く

 18世紀、イ・サンこと正祖の時代、キム・ホンドとシン・ユンボクという朝鮮後期最高の画家として知られる実在の2人を主人公に、シン・ユンボクは実は女性だったという大胆奇抜な発想で描き出した同名のベストセラー小説のドラマ化です。歴史的な実在人物たちのビハインドストーリーをミステリーとして構成し、“ファクション推理時代劇”という独特なジャンルを誕生させた作品でもあります。

画像: シン・ユンボク役のムン・グニョン(左)とキム・ホンド役のパク・シニャン(右)。©SBS

シン・ユンボク役のムン・グニョン(左)とキム・ホンド役のパク・シニャン(右)。©SBS

 シン・ユンボクは父親の死の真相を明かすために、男装して宮廷の絵師となるのですが、男としても女としても生きられない悲しみを背負った人物として表現され、そんなユンボクが、絵を描くとはどういうことなのかを師匠のキム・ホンドを通じて学び取っていく芸術家としての成長物語が描かれます。一枚の絵によって秘めた情事が暴かれそうになったり、王の肖像画を巡って改革派と保守派の権力争いがおこったり、事件の中心にはすべて絵が存在し、それをさらに絵で解決していく構成が巧みです。

画像: シン・ユンボク役のムン・グニョン。©SBS

シン・ユンボク役のムン・グニョン。©SBS

 こんな風に現存する2人が残した名画の数々に、想像を膨らませたエピソードをフィクションで作り上げ、ストーリーの中に見事に溶け込ませてドラマチックな物語に仕上げていく手腕が素晴らしいです。師匠と弟子でありながら、互いの命を投げ出さんばかりの2人の天才画家の魂の交流と共感。そして一枚の絵から立ち上ってくる描き手の情熱と思い。ドラマの中で数々の名画を鑑賞する醍醐味もあり、その素晴らしさに心打たれながらも、風雅の漂う、秘めやかな恋しさが募る作品です。

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お家芸の家族ドラマ

【1】『家いっぱいの愛』家族のこじれた感情がほどけていく

 これは一回破綻した家族の再生を描くロマンスドラマです。プロ野球の選手だったものの、引退後、何をやってもうまくいかず家族に迷惑をかけてばかりの男。家族にも見捨てられ行方不明になっていました。一方、そんな夫と離婚して女手一つで娘と息子を育ててきたヒロインですが、一家が住むアパートが火災にあって困っていたところに、新たな大家だと言って11年ぶりに現れたのが元夫だったものだから、「えっ、なんで?」ということで、ドラマは動き出していきます。商才がなく失敗続きだった男がなぜお金持ちになったのか、火災の原因は?と謎が謎を呼ぶミステリー味も加わりながら、家族のこじれた感情がゆっくりほどけていくさまが描かれていきます。

画像: 元プロ野球選手でエヨンの元夫ムジン役のチ・ジニ(左)とエヨン役のキム・ジス(右)。Netflixシリーズ「家いっぱいの愛」独占配信中

元プロ野球選手でエヨンの元夫ムジン役のチ・ジニ(左)とエヨン役のキム・ジス(右)。Netflixシリーズ「家いっぱいの愛」独占配信中

 50代のヒロインは突然現れた元夫とどうなっていくのかという熟年男女の複雑な心模様と、懸命に仕事をしてキャリアアップを目指す20代の娘に訪れたかわいいラブラインが同時並行で描かれていきますので、世代を問わず共感できるのがいいところ。

画像: ムジンとエヨンの娘ミレ役のソン・ナウン(右)と、ミレが働くスーパーの警護役のチェ・ミンホ(左)。Netflixシリーズ「家いっぱいの愛」独占配信中

ムジンとエヨンの娘ミレ役のソン・ナウン(右)と、ミレが働くスーパーの警護役のチェ・ミンホ(左)。Netflixシリーズ「家いっぱいの愛」独占配信中

 面白いのは、よりを戻したい元夫と、そんな父親から母親を守りたい娘が、母親を間に挟んでバトルを繰り広げていく構図です。この突然の父親の登場をきっかけに、父親がいなかった分、お互いのためにと懸命に生きてきた母娘がそれぞれの自立を考えたり、別の家族ではありますが、なさぬ仲の親子が絆を深めることになったり、誰も悪人が出てこない、後味の良いハートフルな家族ドラマになっています。

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【2】『私たち、家族です ~My Unfamiliar Family~』“秘めごと”を通して家族を見つめ直す

 誰よりも近い関係のはずの家族なのに、実は気がつけていなかったそれぞれの秘めごとを通して、家族というものを見つめ直すウェルメイドヒューマン・ラブドラマです。成人した3人の子を持つジンスクは、いたわりの言葉も思いやりも感じられない夫にほとほと嫌気がさして「あなたがいるだけで嫌なの、姿を見たくない!」と卒婚宣言をするのですが、そんな矢先に夫が山で遭難。もしや自殺を試みたのでは?と疑われる状況で発見されたときには夫の記憶は飛んでいて、中味はすっかり22歳の青年に戻っていたというところから始まるドラマです。

画像: ジンスク役のウォン・ミギョン(右)と夫役のチョン・ジニョン(左)。© STUDIO DRAGON CORPORATION

ジンスク役のウォン・ミギョン(右)と夫役のチョン・ジニョン(左)。© STUDIO DRAGON CORPORATION

 腹の立つ存在だったのに、自分に恋する眼差しと態度でロマンティックに接してくるものだから戸惑ってしまうジンスク。この出来事をきっかけに、家族の秘密が次々と明らかになっていきます。ホームドラマだと思って油断して見ていると、毎回ラストに「ええっ?」という秘密が明らかになるという目が離せない展開です。完璧だと思えていた長女の結婚生活のほころび、次女の絡まっていく恋愛問題、末っ子の本音。そして夫の秘密。特にハン・イェリ演じる次女の恋バナに大注目です。次女の男友達を演じるキム・ジソクがとっても素敵!気遣いがあって、適度に遊び人の雰囲気を醸し出している、人あたりの柔らかい男。そんな軽妙さの中にふっと見せる真剣な思いにグッときてしまいます。

画像: 次女役のハン・イェリ(左)と男友達役を演じるキム・ジソク(右)。© STUDIO DRAGON CORPORATION

次女役のハン・イェリ(左)と男友達役を演じるキム・ジソク(右)。© STUDIO DRAGON CORPORATION

 当たり前に存在する家族にも努力が必要なのだということ。言葉にしなければ絶対に伝わらないのに、なぜ言わない、なぜ相談できなかったのか。それが夫婦であり、家族なのだなと思わせられ、とっても深くて良い作品を観たなあという気持ちになるドラマです。

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【3】『家門の栄光』縁ある者たちの“つながり”の尊さ

伝統と家門を守り続ける宗家の孫たち3兄弟を中心に、波乱の愛と家族のあるべき姿を、時にコミカルに、時にシリアスに見せていく感動の名作です。宗家が舞台になっているだけに、伝統的な宗家の人たちの丁寧な暮らしぶりや考え方、冠婚葬祭の行事をきちんとみせてくれるのがこのドラマの魅力。加えて、全54話という長丁場ですが、宗家の孫娘と成金息子の波乱含みの愛の物語に萌えるシーンが満載で一気に見てしまいます。

画像: ガンソク役のパク・シフ(左)と宗家の孫娘役のユン・ジョンヒ(右)。© SBS

ガンソク役のパク・シフ(左)と宗家の孫娘役のユン・ジョンヒ(右)。© SBS

 古風でたおやかな宗家の孫娘と成金で冷血な企業ハンター、イ・ガンソクが家系図を巡って対立し、ある事情から偽装恋愛をすることになり、本当の恋に落ちていく過程は、緊張感と切なさと萌え感が入り混じり、もう目が離せません。イ・ガンソクは、仕事においては不遜なくらいにそつがなくて情け容赦がない男なのに、孝行息子であり、妹には優しい兄であり、適度に女遊びもしていそうでありながら、実は女には目もくれない…というような、男性の魅力をすべて詰め込んだような男。それを実に魅力いっぱいに演じたパク・シフは、“パク・シフの再発見”といわれて、大ブレイクしました。

画像: ガンソク役のパク・シフ。© SBS

ガンソク役のパク・シフ。© SBS

 このほか、2人の兄たちのそれぞれの恋物語にもじんわりとさせられ、宗家のおじいさんの話す含蓄のある一言一言に胸打たれ、終盤に行くにつれ、感動するセリフやエピソードが増えていきます。家門や家系図ということが大きなテーマなのですが、最終的に、家系図に記されている名前は、決して血のつながりだけにあらず、縁ある者たちのつながりなのだということや、脈々と受け継がれてきた先祖たちの営みの繰り返しがつながって自分に至るのだということの尊さが伝わってきて、最終回は震えが来るほど感動しました。噛みしめながらじっくりと見てもらいたい傑作です。

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シン・ミナというヒロイン

とびっきりのキュートさで視聴者に愛らしさを振りまいてくれる、シン・ミナが出演したドラマを厳選。韓国ドラマで肝心な“ヒロインの魅力”を堪能できること間違いなし!

【1】『損するのは嫌だから』ちゃっかりした逞しさが、実にかわいい!

 損をしたくないから結婚したいヒロインと、利害が一致して契約結婚をする男性が繰り広げるロマンチックコメディーです。ヒロインが勤める会社では、会社のアイデア公募や福利厚生なども独身女子だと活用できないことばかり。幼いころから損するのは絶対に嫌!と思うヒロインは、こうなったら誰でもいいから結婚してやる~、と近所のコンビニの男性に契約結婚を持ちかけ、その場限りのはずだったのに、何の因果か偽装の婚姻生活を続ける羽目に。

画像: 損をするのが大嫌いな主人公ソン・ヘヨン役のシン・ミナ。提供:Prime Video

損をするのが大嫌いな主人公ソン・ヘヨン役のシン・ミナ。提供:Prime Video

 ということで、韓国ドラマあるあるの契約結婚のあれこれのエピソードが面白く展開されていくのですが、シン・ミナの、計算高いとも形容されるちゃっかりしたたくましさが実にかわいいんです。キム・ヨンデ扮する契約結婚相手から「前しか見ない競走馬みたい」と表現されていますが、ほんとそんな感じで、目的、欲望のためなら猪突猛進。でもシン・ミナが演じるから、ちょっとたくらみを秘めたクリクリっと動く瞳やアヒル口もかわいくて、性に対する概念も割とあけっぴろげに口にしますが、それすらもさらっと感じられてとにかくキュートでチャーミングなキャラクターになります。対するキム・ヨンデも、冴えないメガネ男子から超美形に変身。あまりの美形ぶりに女性陣がみんなうっとりする描写もあって笑えます。

画像: 契約結婚の相手役のキム・ヨンデ。提供:Prime Video

契約結婚の相手役のキム・ヨンデ。提供:Prime Video

 ヒロインではないですが「ポリアモリー」という複数のパートナーと関係を結ぶ、新しい概念の恋愛スタイルや、SNSでの誹謗中傷に関するエピソードも登場させていて、久々にこういうのが見たかったと思える貴重な「美男美女が織りなすロマンチックラブコメ」に加えて、しっかりと「今」が反映されているドラマです。

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【2】『オーマイビーナス』ぽっちゃり体型の役も、愛らしさ倍増!

 これは、美と健康を題材にした、大人キュートで癒されるラブコメディーです。シン・ミナが演じるのは、高校時代は地元のビーナスとして男子学生の憧れの的だったのに、夢を叶えて弁護士になったものの、すっかりぽっちゃり体型になってしまった元美少女。15年付き合った恋人からも振られてしまうのですが、ひょんなことでセレブを相手に活躍する世界的なトレーナーと出会い、最初は悪縁で始まるものの、自分がピンチに陥る場面でいつも助けてもらっているうちに、彼のもとでダイエット大作戦を始めていくことになります。

画像: 弁護士の主人公を演じるシン・ミナ。Licensed by KBS Media Ltd. © 2015 KBS. All rights reserved

弁護士の主人公を演じるシン・ミナ。Licensed by KBS Media Ltd. © 2015 KBS. All rights reserved

 この世界的に有名なトレーナーに扮するのがソ・ジソブ。落ちついて、物事に動じない余裕があって、しれっと面白いことを言う。見た目はクールなのに、情があって弱者にやさしいデキル男、という最高にナイスなキャラクター。渋く決めているのにデレッとしてしまう、ツンデレならぬ、シブデレな感じがたまりません。そんな彼のついついデレてしまうところを際立たせるのがシン・ミナのラブリーなヒロインの魅力。たとえぽっちゃりしていても、クリんとした瞳と顔の丸いラインが愛らしさを倍増させてかわいいったらありません。

画像: 主演のシン・ミナ(左)とソ・ジソブ(右)。Licensed by KBS Media Ltd. © 2015 KBS. All rights reserved

主演のシン・ミナ(左)とソ・ジソブ(右)。Licensed by KBS Media Ltd. © 2015 KBS. All rights reserved

 もっとも、彼女はダイエットとともにスリムになっていきますが、そんなふたりのクスクス笑える気の利いたセリフのやり取りや、一緒に運動しながらスキンシップをしたりという甘いシーンもふんだんで、こんなににやけたり、幸せそうにいちゃいちゃするソ・ジソブは初めて見ました~というくらい新鮮です。自分もダイエット頑張ってみようかなという気持ちになりますし、何より見ていて幸せな気持ちになるふたりのラブラブっぷりが楽しめるドラマです。

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【3】『明日、キミと』“不憫さ”の中にも愛嬌たっぷり

 こちらは、タイムトラベラーとなってしまった青年が、自分の未来を変えるために、そのカギを握る女性と繰り広げていくファンタジー・ラブストーリーです。7年前の地下鉄事故で生き残ったことをきっかけに未来に行けるようになった青年。彼は、3年後に自分が死ぬ運命にあって、しかも自分と同じ日時に命を落とす女性がいることが分かり、彼女が自分の運命のカギを握っているに違いないと彼女に近づき未来を変えようとします。

画像: 主人公マリン役のシン・ミナ。©STUDIO DRAGON CORPORATION 提供:ポニーキャニオン

主人公マリン役のシン・ミナ。©STUDIO DRAGON CORPORATION 提供:ポニーキャニオン

 シン・ミナは、青年の運命の相手マリンを演じているのですが、マリンは子役時代に名をはせたものの、今では引退しているにもかかわらず周囲の好奇の目にさらされてストレスでいっぱいの駆け出しのカメラマン。一生懸命なのに上手くいかない不憫な感じもかわいくて、愛嬌たっぷりでとても愛らしいです。本格派の香り漂う独特な魅力を持つ俳優イ・ジェフンが主人公の青年に扮し、初めは探るつもりでマリンに近づいたものの、変な女と思っているうちにどんどん気になる存在になっていき、あれよあれよという間に結婚へ。

画像: タイムトラベラーの青年役を演じるイ・ジェフン(左)とシン・ミナ(右)。©STUDIO DRAGON CORPORATION 提供:ポニーキャニオン

タイムトラベラーの青年役を演じるイ・ジェフン(左)とシン・ミナ(右)。©STUDIO DRAGON CORPORATION 提供:ポニーキャニオン

 そんなふたりのラブラブモードを楽しんでいくと、一転してミステリーに変わって、先が読めない展開になっていきます。青年が時間を移動して過去を変えるたびに、どんどん複雑になっていく未来。未来を知るのは果たして幸せなのか──、ということも見る者に突き付けながら、すじ立ての謎と、俳優たちの魅力に引き込まれていく作品です。

ファンは推しを救う

【1】『ソンジェ背負って走れ』推しの運命を変えるべく孤軍奮闘!

これは、ソンジェというアイドルと、彼の大ファンのヒロインがタイムワープを繰り返しながら繰り広げていくロマンチックラブストーリーです。

画像: イム・ソル役のキム・ヘユン。© CJ ENM Studios Co., Ltd.

イム・ソル役のキム・ヘユン。© CJ ENM Studios Co., Ltd.

 トップアイドルのリュ・ソンジェのことが大好きなヒロイン、イム・ソル。彼女は事故で下半身不随になって絶望していた時にソンジェの言葉と音楽で励まされたことをきっかけにソンジェの熱烈ファンになって応援し続けていました。が、そのソンジェが自殺を疑われる状態で亡くなるという悲劇に際して、彼女の切実な祈りが届いたのか、なんと15年前の高校時代に戻ってしまうんです。で、実はソルと同じ高校で、隣の校舎にソンジェがいたことを思い出し、まだスターになる前のソンジェに接近して、推しの運命を変えるべく孤軍奮闘していきます。まずはソンジェと仲良くなろうと頑張るのですが、怪しがられたりイラつかせたりしてしまう始末。その空回りぶりも面白いのですが、でも実はソンジェの方もソルのことを想っていて、という青春ラブストーリーの瑞々しさが全開です。

画像: ソンジェ役のビョン・ウソク(左)とソル役のキム・ヘユン(右)。© CJ ENM Studios Co., Ltd.

ソンジェ役のビョン・ウソク(左)とソル役のキム・ヘユン(右)。© CJ ENM Studios Co., Ltd.

 時代をさかのぼって、スターになる前の推しと出会って仲良くなれるなんて、全ファンの夢がドラマになっているのがこのドラマの勝利ポイントでしょう。でも悠長に思いに浸っている場合ではなく、ソルはひたすらソンジェが将来悲劇に合わないように、時には自分の想いを抑えて頑張るのです。そんなヒロインに共感することしきり! このドラマで大ブレイクを果たしたソンジェ役のビョン・ウソクの、哀愁があってピュアでまっすぐな眼差しがはかなくて美しいんです。とにかく全体にまぶしいくらいに光っているドラマです。

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【2】『彼女の私生活』推しを守るため、天敵の上司と偽装恋愛

 このドラマは、アイドルオタクのキャリア女子と俺サマ上司が繰り広げるラブコメディーです。美術館で働くヒロインは、表向きは仕事のできる完璧なキュレーターだけど、ひとたびプライベートになると黒装束に身を包み、一眼レフカメラを持って大好きなアイドルの写真を撮ってファンサイトやSNSにアップすることを生きがいにしているアイドルオタク。でもオタクがばれると仕事に支障をきたすと思ってそのことはひた隠しの二重生活をしています。このドラマでヒロインは、仕事の関係でその推しの恋愛相手だと誤解されそうになり、推しを恋愛スキャンダルから守るため、天敵のように思っていた上司と偽装恋愛することになるんです。

画像: ライアン・ゴールド役のキム・ジェウク(左)とヒロイン役のパク・ミニョン(右)。©STUDIO DRAGON CORPORATION

ライアン・ゴールド役のキム・ジェウク(左)とヒロイン役のパク・ミニョン(右)。©STUDIO DRAGON CORPORATION

 そんなこんなで始まった偽装恋愛で、アイドル好きをひた隠しにしているヒロインの悩みはさらに増えていきます。ヒロインがオタクなので、ホームページマスター、略してホムマって何? 一般人コスプレって? という具合に、ドラマではオタク用語も随所に飛び出し、アイドルとファンの関係性やオタクの生態を見せてくれるので、韓流やKPOPアイドル好きにとってはもう共感の嵐でしょう。

画像: ©STUDIO DRAGON CORPORATION

©STUDIO DRAGON CORPORATION

 そしてこのドラマはライアン・ゴールドを演じているキム・ジェウクがかっこいい!適度に俺サマで、適度にコミカルで、柔らかな笑顔にドキリとします。パク・ミニョンのコケティッシュな魅力と相まって何ともお似合いのラブリーなカップルで、ふたりのラブラブっぷりにはついニマニマしてしまいます。 またアイドルのシアン役は俳優で歌手でもあるONEが演じていて、現役歌手だけにチャーミングです。こういう幸せな気持ちにしてくれるラブコメディーが見たかった!という期待に応えてくれるドラマです。

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【3】『恋愛ワードを入力して下さい 〜Search WWW〜』仕事に生きるも、推しの前では乙女に

 これは、大手ポータルサイトを舞台に、プライドをかけて仕事に生きる3人の女性たちの仕事と恋を描いたロマンチックラブコメディーです。トレンドや最先端を追いかけるポータルサイト会社が舞台なので、今の時代性をよく反映しているのがまず見どころ。時代の移り変わりの速さの残酷さ、検索ワードのトレンド順位まで政府や財閥の意のままになるのか? ということが素材になってくるところも韓国らしい。そのほか、どうやってトレンドになっていくのか、ポータルサイトの内情は? ナンバーワンとナンバーツーの会社の社風の違いや、働く人々のライフスタイルなどなどがいろいろとわかって面白いです。

画像: 主演の一人、ペ・タミ役のイム・スジョン(右)と相手役のチャン・ギヨン(左)。© STUDIO DRAGON CORPORATION

主演の一人、ペ・タミ役のイム・スジョン(右)と相手役のチャン・ギヨン(左)。© STUDIO DRAGON CORPORATION

 で、どこにオタクが出てくるかというと、ポータル会社でメインヒロインとチームを組むスカーレットという女性のエピソードがそれなんです。いつも見ている連続ドラマに出演中の無名俳優のことが気になって応援しているスカーレット。無名の彼を何とか支えてあげたくて、ひょんなことからマネージャーのように面倒を見るようになっていくのですが、仕事ではバリバリきついことも平気な男勝りの彼女ですが、好きな俳優の前ではかわいい乙女になってしまうんですよね。このふたりはいい歳をした男女なのに、慣れていないというか、俳優とファンという一線を守ろうとする距離の取り方とかが、じれったくも初々しくて応援したくなります。

画像: スカーレット役のイ・ダヒ(左)と無名俳優役のイ・ジェウク(右)。© STUDIO DRAGON CORPORATION

スカーレット役のイ・ダヒ(左)と無名俳優役のイ・ジェウク(右)。© STUDIO DRAGON CORPORATION

 このドラマ、主役3人の女性たちの言動がみんな男前でカッコイイ~。仕事への覚悟、責任、こだわりやプライド、譲れないことなどがポンポン飛び交い、終始彼女たちの攻めの姿勢が小気味いいです。

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年上女性教師との恋

【1】『卒業』塾のスター講師と教え子の再会ラブロマンス

 ソウルの塾を舞台に、塾の女性スター講師と、かつての教え子が繰り広げていく師弟ラブロマンスです。キャリア14年目になるベテランの35歳の国語教師がヒロイン。彼女はかつて、成績の低かった生徒を一流大学に合格させた実績からスター講師になったのですが、そのきっかけとなった生徒が30歳を前にして大企業をやめ塾の講師になるのだと、10年ぶりにヒロインの前に現れます。そして彼女のいる塾に新任講師として就任するのですが、実は彼にとって彼女は初恋の相手で、募る想いをどんどん隠さなくなっていくのです……と聞かされると、がっつり甘いラブロマンスを期待するかもしれませんが、見始めてずいぶん想像と違う雰囲気に「おっと~」と驚かされます。

画像: 塾のベテラン講師役チョン・リョウォン。© STUDIO DRAGON CORPORATION

塾のベテラン講師役チョン・リョウォン。© STUDIO DRAGON CORPORATION

 ソウルの塾の熾烈な競争事情や、生徒の奪い合いのすさまじさ、ヒロインが学校教師とやりあったり、うるさく言ってくる母親たちをあしらったり、毎日が講義とテストの繰り返しでろくに休む間もない過酷な生活ぶりなど、欲望と成功欲がうごめく人間関係がリアルに描かれていて、そこが面白いんです。

画像: 勤続14年目の塾講師役チョン・リョウォン(左)と元教え子の新人教師役ウィ・ハジュン(右)。© STUDIO DRAGON CORPORATION

勤続14年目の塾講師役チョン・リョウォン(左)と元教え子の新人教師役ウィ・ハジュン(右)。© STUDIO DRAGON CORPORATION

 日本のドラマで言うと、内館牧子を彷彿させる人間心理のえぐり方という感じでしょうか。甘い空気よりも何かが起こりそうな不穏な空気が全編に流れているんです。そんなきな臭さ漂う中で、必死に今の地位を築いてきたヒロインが、今は同僚講師ながらも、かつての教え子との愛に陥っていくことで一体どうなってしまうのか、そのタブー感にドキドキ、ヒリヒリすること必至です。

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【2】『メランコリア』天才青年と教師の共通言語は“数学”

 こちらは、数学の天才青年と教師の愛を描く純愛ラブストーリーです。舞台は不正がはびこる私立高校。10歳にしてアメリカの医学学校に入学するほどの数学の天才だったのに、ある出来事を機に数学を捨ててしまった青年と、彼の前に現れた数学を愛する女性教師。この出会いを通して青年は再び数学に向き合い始め、教師を愛するようになるのですが、学校の不正事件を伏せるために、ふたりの関係はスキャンダルに仕立てられ、彼女は世間から葬り去られてしまうのです。

画像: 数学の天才青年役イ・ドヒョン。© STUDIO DRAGON CORPORATION

数学の天才青年役イ・ドヒョン。© STUDIO DRAGON CORPORATION

 このドラマは序盤は高校時代で、7話から時を経て再会したふたりが描かれていきますが、大人になってからのふたりがいいんです。自分たちを陥れた学校の代表に対して復讐を仕掛けていくのですが、教師に対して変わらず一途な愛を貫く青年の想いが尊くて、彼の将来のためにもその想いを押しとどめようとする教師と教え子という微妙な距離感に萌えるのです。特にナイーブな天才青年を演じるイ・ドヒョンの青いひたむきさによろめきます。

画像: 主演のイ・ドヒョン(左)と女性教師役のイム・スジョン(右)。© STUDIO DRAGON CORPORATION

主演のイ・ドヒョン(左)と女性教師役のイム・スジョン(右)。© STUDIO DRAGON CORPORATION

 数学を媒介にした、他者には入り込めない天才同士の愛の物語だけに、ふたりで黒板に数式を書いていく場面が素敵なラブシーンになりますし、論文はふたりの愛の結晶であり、数式の証明が愛の証だったりするんです。数学用語になぞらえたセリフや数学を巧みに入れ込んだエピソードがところどころに入ってくるので、こうした世界観が独特な雰囲気を醸し出す作品になっています。

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【3】『ロマンス』“教師と生徒”の関係が変わっても一途な愛

 ドジでおっちょこちょいの女性教師と男子高校生が、周囲に反対されながらも愛を育んでいくラブストーリー。今回取り上げたほかの2作と違って、禁断の恋を描いた暗さはなく、全体に明るいトーンで、健全で、すがすがしさが感じられます。

 お互い身分を騙って出会って惹かれ合ったものの、再会してみれば、高校教師と生徒だったとわかり、互いの立場に愕然としながらも愛を育み続けるふたりでしたが、学校にバレて大問題に発展。ふたりは3年後に会うことを約束して、ヒロインは教師を辞め、留学に行くのです。

画像: 女性教師役のキム・ハヌル(左)と男子学生役のキム・ジェウォン(右)。©MBC, iMBC All Rights Reserved.

女性教師役のキム・ハヌル(左)と男子学生役のキム・ジェウォン(右)。©MBC, iMBC All Rights Reserved.

 このドラマは一途な愛の物語であると同時に、キム・ジェウォン演じる生徒の成長物語という側面も。父親が事業に失敗し自死したせいで一家を背負うことになり、昼は学校、夜はバイトに明け暮れ必死に働きながらもデザイナーになる夢を決してあきらめない青年が、先生との恋にもまっすぐに向かっていく姿が非常に好ましいです。キム・ジェウォンのキラースマイルと、意外にも低音の男らしい声、また時折見せるふてぶてしさなど魅力いっぱい。タフで情熱的でちょっと生意気な王子様にここまで一心に思われたら、いくら年下でもぐらつかない女はいないでしょう。こんなキム・ジェウォンの魅力にハマること請け合いです。

 高校で展開されるのがドラマの前半とすれば、後半は3年後、青年が高校を卒業し、ヒロインも別の仕事についてからのお話に。教師と生徒という禁断の関係はなくなったものの、今度はまた別の枷がふたりを取り巻いていきます。ラブコメディのように明るく始まり、ふたりの切ない愛の行方に胸がキューンと締め付けられるドラマです。

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親たちの青春

【1】『輝くウォーターメロン~僕らをつなぐ恋うた~』青年時代の親とバンドを組む⁉ 胸アツな感動作

 両親と兄がろうあ者で家族の中で、ひとり耳が聞こえるコーダの青年が、タイムスリップしてしまい、自分の父親と同級生になるというファンタジックなハートウォーミングドラマです。

画像: 主人公ウンギョル役のリョウン(左)と、ウンギョルの父イチャンの青年時代を演じるチェ・ヒョヌク(右)。© STUDIO DRAGON CORPORATION

主人公ウンギョル役のリョウン(左)と、ウンギョルの父イチャンの青年時代を演じるチェ・ヒョヌク(右)。© STUDIO DRAGON CORPORATION

 幼いころからずっと家族のために通訳したり、家族を優先してきた青年。そんな彼の心のよりどころがギターを弾くこと。ギターの腕を認められて音楽の世界に進みたい気持ちと父親の期待に添わなければという気持ちの板挟みになって音楽をやめようとしたとき、なんと28年前の1995年にタイムスリップしてしまい、そこで自分の父親と同級生になるんです。しかも当時の父親はしゃべれるしすっごい明るいし、まるで違う人物のよう。しかも母とは違う女性のためにバンドをやろうとしているなんて!と驚く青年。でも、息子として、父の人生を輝かせたい、まずは舞台の上でと考えてバンド活動に協力していくのです。同時に父親の聴覚を奪った事故から守らなくてはと必死になるんですね。

画像: © STUDIO DRAGON CORPORATION

© STUDIO DRAGON CORPORATION

 このドラマは、まるで一編の詩のように美しい映像が紡ぎ出す'70年代の親たちの世代の初恋と、その子供世代の現代の恋という、2つの時代を背景にそれぞれの恋を対比させながら繰り広げられる瑞々しいラブストーリーです。

 見た目は同級生でも息子にとっては父親なので、そんなギャップに絡めたコミカルなシーンも多々あってクスクス笑えるのですが、やはり感動ポイントは、親にも青春時代があったということ。輝く青春の中で恋をして、夢に向かって一生懸命でという姿を目の当たりにして、親としての顔ではない、青春真っただ中の父はこうだったのかと思わず胸を熱くする青年。見ているほうも、自分の両親の青春時代に思いを馳せてみたくなります。泣いて笑って「人生をあきらめない」というメッセージが響いて感動するとってもウェルメイドなドラマです。

■Leminoで日本初独占配信中 

【2】 『ラブレイン』映像美とともに紡ぐ'70年代&現代の初恋物語

画像: 親の青春時代('70年代)と現代の2つの時代で主人公を演じる、ユナ(左)とチャン・グンソク(右)。©YOON'S COLOR

親の青春時代('70年代)と現代の2つの時代で主人公を演じる、ユナ(左)とチャン・グンソク(右)。©YOON'S COLOR

 実を結ぶことなく、生き別れてしまった親たちの初恋。その初恋の思い出を胸に秘めているせいで父親が母親に愛情をかけなかったのを見て育った息子。母親が初恋の思い出を大切にしている姿を好ましく思って、いつか自分もそんな恋に出会いたいと思っている娘……という風に、昔の初恋が子供たちにも影響を及ぼしていく過程が描かれますが、親同士が32年ぶりに再会して思いを募らせていく過程もしっかり描かれ、この熟年カップルのしっとりした雰囲気が見る者を惹きつけます。

画像: ©YOON'S COLOR

©YOON'S COLOR

 もう一度大学に通い始める主婦の2度目の青春を描いたラブコメディーです。高校時代に出会った年上の男性とできちゃった結婚をして、高校中退したまま38歳となった主婦ハ・ノラ。大学教授の夫からは、お前には教養がないと完全に見下され、一人息子の大学入試が終わったら離婚しようと切り出されています。でも、自分が大学に行ったら考え直してくれるかもと必死に勉強して見事合格。夫と息子もいる大学にこっそり通い始めるのですが、そこには、ノラのことが好きだったのに、裏切られたと一方的に思っていたノラの高校時代の同級生が教授として教えに来ていて、20年ぶりの再会を果たすのでした。

 ユン監督の描く世界は、純粋で一幅の絵のような美しい映像を画面に映し出すことに定評があります。序盤の'70年代の映像美は特にノスタルジックで、主人公の好きだと言いだせない切ない想いを雨の音が代弁しているように思えるほど、映像がポエムのようでした。そんな映像に乗せて親の時代の恋心は奥ゆかしく、好きな女性の姿を見ただけで胸を高鳴らせる純情さが際立って、余韻を残します。2世代にわたる恋の行方は切なくもあり、愛らしくもありますが、同時に、あまりにも強烈な初恋に捉われてしまったがために、30年も孤独に生きてしまった男の人生を思うと、初恋という呪縛の恐ろしさも感じてしまいます。チャン・グンソクとユナが、純情な親世代と今どきの子供世代の2役を演じているので、1つのドラマの中で、2人の真逆の両面が見られるのも嬉しいところです。

■ラブレイン<完全版>コンパクトDVD-BOX 好評発売中。発売元:「ラブレイン」製作委員会 
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【3】『2度目の二十歳』主婦の一念発起。愛おしさが募るラブコメ

画像: 主人公の主婦ノラ役のチェ・ジウ。©CJ E&M CORPORATION,all rights reserved

主人公の主婦ノラ役のチェ・ジウ。©CJ E&M CORPORATION,all rights reserved

 若くして結婚したために夫と子供が人生のすべてになってしまっていた主婦のノラが、大学に通い始めたことをきっかけに自分を見つめなおし、頼もしく成長していく姿が描かれていきますが、ヒロインを演じるチェ・ジウが本当に愛らしい。イマドキの大学生に奇異な目で見られて四苦八苦しながらも、大学生活の一つ一つが嬉しくてたまらず、2度目の青春をいとおしく大切な時間として過ごしていく姿がもうかわいくてたまりません。イ・サンユン演じる、元同級生で今では成功した舞台演出家が、ノラのことが好きなのについ意地悪してしまったり、かと思えば陰ながら彼女の願いをかなえてあげたりというツンデレぶりが素敵で、彼女の前だと言動が高校生に戻ってしまうさまも微笑ましいです。

 かつての青春時代を思い出す甘酸っぱさと、もうあのころには戻れないのだなという鼻の奥がツーンとなるような切なさがあいまって、いとおしい気持ちが沸き上がってくる、チャーミングでハートウォーミングな作品です。

“原作モチーフ”の傑作

【1】『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』往年の映画をモチーフにした傑作ロマンス

 韓国では昨年の下半期に放送されてとても人気を博し、数々の賞に輝いたドラマです。この作品は往年の名作映画『風と共に去りぬ』をモチーフに、それを1636年に起きた清の朝鮮侵攻事件、丙子の乱の時代に置き換えて歴史ロマンスドラマに仕上げました。

画像: 主人公を演じるナムグン・ミン(右)とお嬢様役のアン・ウンジン(左)。©2023MBC

主人公を演じるナムグン・ミン(右)とお嬢様役のアン・ウンジン(左)。©2023MBC

 本当に構図が『風と共に去りぬ』でして、ドラマでは主人公が男性なので、いわゆるレッド・バトラーに当たるのがナムグン・ミン演じる男性です。やり手の商人で通訳でもあり、ケンカも強いのですが、斜に構えていて、戦に関しても我関せずでのらりくらりと捉えどころのない遊び人。でも、芯の部分には世の中への憤怒や正義感がある男。そんな彼が、男たちにちやほやされる少々高慢な両班(かつての特権階級)のお嬢様と出会い、肝心な好きな人からは振り向いてもらえず、強がってムキになってしまう彼女のことを面白がってからかっていくうちに、本当に愛するようになっていくのです。口では軽口をたたきながらも、陰では彼女のことを命がけで守っていく。そんなところが激しくかっこいい!表向きはひょうひょうとしているけど、心では誰よりも国や大切な女性のことを考えて行動するなんて、これはもう女子が大好きなキャラクターです。

画像: 主人公の謎の男を演じるナムグン・ミン。©2023MBC

主人公の謎の男を演じるナムグン・ミン。©2023MBC

 そして映画でもヒロイン、スカーレットのたくましく生き抜く力が印象的でしたが、このドラマでも、世間知らずのお嬢様だったヒロインが、大変な目に合ってからは、“どんな状況下でも自分は生き残るのだ”という生への執念がたくましくて、そんな逆境に強いところも好感が持てました。とっても上手に韓国的な時代劇に換骨奪胎されていて、美しい映像で、ぐいぐいと引っ張って行く展開が素晴らしかったです。時代背景、政治背景もしっかりと描きながら、タイトル通り、主人公カップルに注力した内容で、最後まで見ごたえがあります。

■U-NEXTにて7/3より独占先行配信予定
■7/3にDVD-SET1、8/2にDVD-SET2、9/4にDVD-SET3(各¥14,740)を発売予定(※レンタルDVD同時リリース)。発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

【2】『復活』古典の名作小説を見ごたえある“復讐劇”に

 これは古典の名作小説『モンテ・クリスト伯』をモチーフにしています。友の裏切りによる冤罪で15年も離れ島の監獄で過ごさねばならず、そこで出会った博学な神父から様々なことを学んで島を脱出し、宝を手にして伯爵として身分を変え、かつて自分にひどいことをした者たちに復讐していくというのが原作。それを、ひとひねり、ふたひねりもして、見ごたえのある復讐劇に変貌させました。韓国では長らく“サスペンス”ジャンルは当たらないとされてきましたが、そんな概念を覆し、“復活パニック”と呼ばれる熱狂的ファンを生み出したほど。

画像: 主人公の刑事役オム・テウン。© 2006 KBS All Rights Reserved.

主人公の刑事役オム・テウン。© 2006 KBS All Rights Reserved.

 幼いころの記憶をなくし、孤児として育ての親の元で成長して刑事となった主人公が、生き別れた双子の弟と再会しようというその時に、弟は自分と間違われて殺されてしまいます。怒りに燃える主人公は、父と弟を奪った者たちへの復讐のために、死んだ弟に成りすまし、身分を欺いて生きる決意をして犯人たちを追い詰めていきます。それゆえに、愛する女性がいるのですが、彼女を目の前にしながらも心を鬼にして別人を装わなくてはならない。一方の彼女の方も、愛する人が死んでしまったと思い込んでいるので、その悲しみを抱きながらもそっくりな男性の存在に戸惑い心を揺らしていくのです。この2人の間に流れる緊張感と哀切感がたまりません。

画像: オム・テウン(左)とヒロイン役のハン・ジミン(右)。© 2006 KBS All Rights Reserved.

オム・テウン(左)とヒロイン役のハン・ジミン(右)。© 2006 KBS All Rights Reserved.

 緻密に練られた脚本、演出効果、演技力、音楽、もう四位一体のすばらしさです。いろいろな小物やしぐさ、色合いなどにメッセージが込められているので、気軽には見られません。その代わり「見たな」という充実感が味わえるでしょう。このドラマの成功によって、この監督と脚本家コンビによる、『復活』に続く『魔王』『サメ』という復讐3部作が世に出ました。

■Amazon Prime Videoチャンネル「韓国ドラマ&エンタメChannel K」にて配信中

【3】『ファンタスティック・カップル』アメリカ映画原作の胸キュン!ラブコメ

 こちらは1987年のアメリカ映画『潮風のいたずら』を原作にしたドラマです。傍若無人の高飛車セレブな人妻アンナとガテン系の純情男チョルスが繰り広げる、ラブ・コメディー好きにはたまらないドラマです。

 まるで天敵のような出会いをしたアンナとチョルス。でもアンナが事故で記憶を失ったのをいいことに、チョルスは、今までの復讐としてこき使ってやろうと彼女を恋人だといって引き取り、3人の甥っ子たちがいる男所帯の家に連れて行くのですが、生活力ゼロのアンナはまるで疫病神のように、次々ととんでもないことをしでかしていきます。このドラマの勝因はとってもユニークで強烈なキャラクターたち。超タカビーだったゴージャス美人が、一転モンペ姿に髪振り乱し、ダサダサの格好になるのですが、それでも女王様キャラは変わらない、というハン・イェスル演じるとんでもヒロイン像が妙にかわいくて、彼女が放つ命令調の独特のセリフ「~のザマときたら」が流行語にもなりました。そしてガテン男を演じたオ・ジホの、お金にはせこいけれど、男らしく温かさのある人間味がジンジン胸にしみてきます。

画像: 主人公アンナ役のハン・イェスル。©MBC, iMBC All Rights Reserved.

主人公アンナ役のハン・イェスル。©MBC, iMBC All Rights Reserved.

 『美男<イケメン>ですね』『ホテルデルーナ~月明かりの恋人~』『還魂』といったヒットドラマを生み出している、大人気の脚本家「ホン姉妹」(ホン・ジョンウン&ミラン)が手がけた作品で、漫画チックに始まりますが、途中からどんどん胸キュン度が高まります。大金持ちゆえに、真心で愛することにも、愛されることにも慣れていなかった、魔女のように恐れられていた女が、どんどん人間らしく変わっていく。彼女の強気の裏に見え隠れする寂しさにキューンとなり、鼻の奥がツーンとなる、ウェルメイドなラブコメ作品です。

■U-NEXT配信中

悪役の光る存在感

【1】『私の夫と結婚して』ヒロインの“夫”と“親友”の痛快な悪役ぶり

 夫と親友の裏切りの果て夫に殺された女性が、不思議なことに10年前に時間が戻り、新たな人生を歩むべく復讐と再生を図っていくドラマです。

 このドラマの面白いポイントは、過去に戻り、すでにこの先どうなるかということを知っているヒロインですが、単純にそれを避ければいいというものではなく、起こる出来事は必ず起こるので、それを誰かに転嫁しなくてはならないというところです。

画像: ヒロイン役のパク・ミョン(左)と夫役のイ・イギョン。© Studio Dragon by CJ ENM

ヒロイン役のパク・ミョン(左)と夫役のイ・イギョン。© Studio Dragon by CJ ENM

 ここで、なんて人たちなの!と視聴者すべてから憎まれるのがヒロインの夫と親友です。夫は、妻をいいようにこき使い、追い詰めて、病気になった妻を裏切って親友と不倫して、妻に掛けた保険金で金持ちになろうと画策しているようなひどいやつ。親友も長いあいだヒロインの良き友達を装いながら、裏ではヒロインを貶めることをやってきた根性悪の女性です。亡くなる前にその裏切りを知ったヒロインは、だからこそもう一度生きるチャンスを与えられたとき、自分の代わりにこの親友が夫と結婚するように計画を立て、相手がそう動くように心理を先読みしながら上手に立ち回っていくわけです。

画像: ヒロインを助ける御曹司役のナ・イヌ。© Studio Dragon by CJ ENM

ヒロインを助ける御曹司役のナ・イヌ。© Studio Dragon by CJ ENM

 韓国ドラマの悪人には、やるせない理由で悪人になっている人物も登場し、不憫に感じるケースもありますが、このドラマのようにここまでひどい人たちだと、視聴者も単純に、この人たちに天罰が下れ!と、その過程を痛快に楽しめます。

 で、つらい目にあって復讐するヒロインのそばには必ず王子が登場するのが韓国ドラマ。本作でも、ナ・イヌ演じるとっても素敵な御曹司がいつもヒロインを助けて復讐のサポートをするのが胸キュンポイントです。

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【2】『夜を歩く士<ソンビ>』魔性の美しさで目を引く悪の存在

 美しきヴァンパイアたちが主人公のファンタジー・ロマンス時代劇。宮廷に君臨し、歴代の王をも意のままに操ってきたヴァンパイアと、望まざるうちに自らもヴァンパイアになってしまった男が王世孫(ワン セソン=孫の世継ぎ)と共に闘っていくドラマです。

 “架空の”朝鮮時代を背景に、世子の右腕として仕えていた男が、ヴァンパイアを倒せという使命を託され自分もヴァンパイアとなり、120年間生きる中で、男装しているヒロインに出会って惹かれ合っていきます。ドラマの前半はこの二人のキュンとくる様子が描かれファンタジー・ロマンスの雰囲気が強いですが、その後は悪のヴァンパイアを葬ることのできる秘策が記されている書物の中身が徐々に解き明かされて、王 世孫とタッグを組んだ戦いになっていく展開です。

画像: 主人公キム・ソンヨル役のイ・ジュンギ(右)と親友チョンヒョン世子役のイ・ヒョヌ(左)。©2015 MBC

主人公キム・ソンヨル役のイ・ジュンギ(右)と親友チョンヒョン世子役のイ・ヒョヌ(左)。©2015 MBC

 主人公を演じるイ・ジュンギが、流し目のような眼差し全開で、色っぽく艶っぽいんですが、このドラマにおける悪の存在がまた美しく妖しいのです。イ・スヒョク演じる宮廷を200年もの間牛耳ってきたヴァンパイア。この世のものとは思えない魅惑的な存在感。ちょっとくぐもった低い声も妖しさをかきたてていて、まさに魔性の美。イ・スヒョクは、モデル出身ということもあってか、どこかアンドロイドっぽくて、あまり人間味を感じさせない雰囲気がまさにこの役にぴったり。夜の帝王のカリスマ性が光っていて、彼の本来もっているであろうSっぽさが全開で、「その魔性の美しさに魅入られてください」という感じです。とても残酷な悪の存在なのに、これだけ魅力的だと毎回登場するのが楽しみで、憎み切れませんでした。

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【3】『リメンバー~記憶の彼方へ~』歴代最強⁉ 強権をふるう危険な御曹司

『リメンバー~記憶の彼方へ~』は、父の冤罪を晴らすため、史上最年少弁護士となる青年の戦いを描いたヒューマン・サスペンスドラマです。

 幼いころ母親と兄を事故で亡くし、父一人子一人でつつましく暮らしていた高校生。ところがある日、父親が殺人犯に仕立て上げられてしまいます。事件の背後には財閥の御曹司が絡んでいて、その権力のせいで、頼れると思った大人たちに次々に裏切られ世間の汚さを知った少年は、見たもの聞いたものをすべて記憶できるという特殊能力を生かして、自分が弁護士となって父親を救う孤独な戦いを始めるのでした。

画像: 主人公ジヌ役のユ・スンホ。©SBS

主人公ジヌ役のユ・スンホ。©SBS

 俳優ユ・スンホが、やさしい少年からクールな弁護士青年となって、寂しげな眼差し、愁いのある表情、涼しげなたたずまいを伴って、悔しさを秘めながら父のために闘う男を演じていく姿がなんとも魅力的です。またパク・ミニョンが、そんな彼に協力し、心の支えとなっていくしっかり者の女検事を演じていますが、そんな彼らの前に立ちはだかるのが、ナムグン・ミン演じる、歴代最強ともいえるキレキレの危険な御曹司です。父である財閥会長の前ではおどおどしているのに、強権力のもと、黒を強引に白にしてしまったり、気に入らないやつをとことん落としたりとやり口が恐ろしい。とにかく、もうサイコパスチックな目にゾッとさせられます。ナムグン・ミンは、今でこそ主人公俳優ですが、その前はクセの強い役が多かったのです。が、このドラマでは、そこからさらに振り切った演技を見せて強烈な印象を残しています。

画像: 御曹司ギュマン役のナムグン・ミン(左)と検事イ・イナ役のパク・ミニョン(右)。©SBS

御曹司ギュマン役のナムグン・ミン(左)と検事イ・イナ役のパク・ミニョン(右)。©SBS

 このドラマを見ると、韓国の財閥権力ってすごすぎる~と言いたくなる社会の不条理や人間関係の複雑な変化が描かれていきます。悪人たちを追い詰めていく過程の二転三転が非常に面白い法廷サスペンスになっています。

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豪華スターの共演が魅力!

【1】『もうすぐ死にます』今が旬のトップスターたちが総出演!

 韓国では、今見れば豪華なキャストだったよねというドラマは結構ありますが、『もうすぐ死にます』は、まさに今が旬の俳優たちが豪華出演しているのがすごいのです。

画像: 主人公チェ・イジェ役のソ・イングク。© 2023 TVING

主人公チェ・イジェ役のソ・イングク。© 2023 TVING

 ソ・イングク演じる主人公が、やることなすことうまくいかず、人生を悲観して自死してしまうのですが、死神の怒りを買って、簡単には死ねない罰を受けてしまいます。12回死ななければならず、そのために12人の人生を生きることを課せられるのです。毎回違う人生なので、生まれ変わるたびに俳優さんが変わるわけで、それらを演じているのがSUPER JUNIORのチェ・シウォン、『完璧な結婚のお手本』『じれったいロマンス』のソンフン、『還魂』のイ・ジェウク、『ザ・グローリー』のイ・ドヒョン、『還魂』『ムービング』のコ・ユンジョン、『模範刑事』のチャン・スンジョ、『彼女の私生活』『クレイジーラブ』のキム・ジェウク、『サイコだけど大丈夫』『ストーブリーグ』などのオ・ジョンセという豪華な面々です。そして、その全員にかかわってくる悪縁の男が『その恋、断固お断りします』『悪の花』のキム・ジフンと、これまた豪華。え、これっぽっちの出演なの?という人もいれば、がっつりまるっと一話分出演する人もいて、死が題材になっているドラマではありますが、多くのスターがこんな出方をするんだ~と、見る楽しみが膨らみます。

画像: チョ・テサン役を演じる、実力派俳優イ・ジェウク。© 2023 TVING

チョ・テサン役を演じる、実力派俳優イ・ジェウク。© 2023 TVING

 内容は、そもそもの主人公であるソ・イングク演じる人物の魂が、生き変わるごとにほかの体に入るのですが、どの人生の記憶も覚えているので、その記憶を次の人生で生かしていきます。最初はつながりがなさそうだった人物たちには実は関係があって、それぞれのパートで散りばめられていた伏線が最後にはきれいに結びついていくのがお見事。終盤では、なんと、その人物に生まれ変わるのか!という驚きもあり、そこで生きることへのメッセージが滾々と胸にしみいり、自死は決してしてはならないという強い思いに至るのです。入り口と出口では随分と鑑賞イメージが変わる作品です。

■Prime Videoで独占配信中

【2】『相続者たち』今や主役級のキラキラ若手俳優が大挙出演

 これは、韓国ドラマによく見られる「財閥の御曹司と貧しい庶民の娘の恋」を新たな視点から描いた、みずみずしい青春ラブストーリーです。 御曹司たちが集まる高校に貧乏なヒロインが入学するという設定は『花より男子』に似ていますが、この作品では、様々な業界のトップに立つ親を持つ“相続者たち” の側にも立って、「“王冠”を親から引き継ぐためにはそれなりの犠牲を覚悟しなくてはならない」という、相続者もそれぞれ辛いのだという青春を描いているのが新しいところです。

画像: ヒロインのパク・シネ(左)と主人公のイ・ミンホ(右)。©SBS

ヒロインのパク・シネ(左)と主人公のイ・ミンホ(右)。©SBS

 ストーリー展開としては、御曹司と庶民の娘が出会って惹かれ合い、身分が違うために大反対され、ライバルも現れ……と、非常にオーソドックスなのですが、そのありきたりともいえる設定を、面白くセンスよく見せるのが、『トッケビ』『シークレット・ガーデン』『太陽の末裔』などのヒット作を次々と生み出すロマンチック・ラブストーリーの名手、キム・ウンスク脚本家の力。セリフやキャラクターの作り方がうまく、このドラマでも話題となった決めゼリフが誕生しています。そして、とにかくキラキラした若手俳優たちが大挙出演しているのが大きな魅力。今では主役を張るパク・ヒョンシク、カン・ハヌル、キム・ジウォン、クリスタル、カン・ミニョクらが脇を固めているという豪華さ。

画像: 主人公のイ・ミンホ。©SBS

主人公のイ・ミンホ。©SBS

 特に、主人公のイ・ミンホは、異母兄弟の前で捨てられた子犬のような表情を見せたかと思うと、好きな人を見つめる時は瞳が微熱を帯びたようで、切なげで不憫でなりません。そんなイ・ミンホとライバルになるキム・ウビンの屈折した感じがまたいいのです。いばりんぼうのいじめっ子で、ヒロインにちょっかい出しているうちに好きになり、でも、言い出せない。“小学生”と呼ばれるくらいガキで乱暴者だけどすごく繊細で、その切ない男心にぐっときます。ここに兄役のチェ・ジニョクが登場すると、3人とも長身で小顔で手足が長いので、そんな3人の造形美に惚れ惚れしてしまいます。18歳の主人公たちが、大人になるということの厳しさを感じながらも前進していこうとする姿に清々しさを感じるドラマです。

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【3】『麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~ 』8人の皇子は今をときめく俳優ばかり

 このドラマは、現代にいた女性がひょんなはずみで高麗時代にタイムスリップして、王位争いを繰り広げる8人の皇子たちと関わっていくことになるファンタジーロマンス時代劇です。

画像: ヒロイン役のIU(イ・ジウン)と第8皇子を演じるカン・ハヌル。©2016 Universal Studios, Barami bunda. Inc., and YG Entertainment Inc.

ヒロイン役のIU(イ・ジウン)と第8皇子を演じるカン・ハヌル。©2016 Universal Studios, Barami bunda. Inc., and YG Entertainment Inc.

 ヒロインは初めは義理の兄の第8皇子に惹かれてゆくのですが、のちに歴史上「血の君主」と呼ばれる光宗が第4皇子のことだとわかり、恐れを抱きながらも愛してしまう──という波乱の展開になっていきます。
 美男大国韓国だけあって皇子たちがみんな麗しい花美男なのがたまりません。権力への欲望を隠さない狡猾な第3皇子を演じるホン・ジョンヒョン。お茶目でかわいい第10皇子のEXOのベクヒョン。芸事を愛する風雅な13皇子のナム・ジュヒョク。武骨だけど温かい情のある頼もしき弟的キャラクターの14皇子を演じたジス。そんな若手のイケメン花盛りの中にあって、やはり主人公、第4皇子を演じるイ・ジュンギと、恋でも政治でもライバルとなる第8皇子を演じるカン・ハヌルが光っています。

画像: 第4皇子を演じるイ・ジュンギ。©2016 Universal Studios, Barami bunda. Inc., and YG Entertainment Inc.

第4皇子を演じるイ・ジュンギ。©2016 Universal Studios, Barami bunda. Inc., and YG Entertainment Inc.

 中でもイ・ジュンギは孤高な感じがハンパありません。顔に傷があるがゆえに疎まれ、親の愛も受けられず、狼王子と呼ばれてしまうほどとげとげしく生きていた男。クールを装いながらも心は激しく傷ついていて、この悲壮感、孤独感、切実感がすごく良くて乙女心をかっさらいます。
 カン・ハヌル演じる第8皇子のほうは柔らかく紳士的な優しい男としてヒロインと愛を交わしていくのですが、穏やかな顔の内には研いだ爪を隠しているような部分もあって、そこがまた魅力です。
ミーハー的に、皇子たちの麗しさにキュンキュンしながらも、兄弟間で繰り広げられる血みどろの権力争いがもの悲しく胸に迫ります。 
 現代育ちのヒロインが熾烈な王座争いを目の当たりにして神経をすり減らし、それでも愛する男に寄り添おうとするのですが、男の想い方と女の想い方がすれ違ってしまう哀しさや、歴史を知っていたがゆえに起きてしまう悲劇など、全体にもののあわれを感じさせる余韻の残るドラマになっています。

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恋の相手は人じゃない⁉

【1】『マイ・デーモン』本当の悪魔と悪魔のような女性の恋

 このドラマはなんと悪魔が主人公。ある理由から、人間の欲望を叶える代わりに10年後、その人物の命を奪うという取リ引きを繰り返しながら200年以上生きています。一方、両親を亡くすも、両親のビジネスパートナーだった財閥会長に溺愛され、若くして女性経営者になっているヒロイン。彼女は見た目はかわいいけれど、エルメスを着た悪魔と異名をとるほど、恐れられている存在です。そんな悪魔のような女性と本当の悪魔が繰り広げていくファンタジーラブストーリー。悪魔が出てくるとなると一見不気味ですが、ラブコメの王道設定がいくつも出てくる見目麗しい作品になっています。

画像: 悪魔だが200年以上に渡り、名前を変えながら生きているチョン・グウォン役のソン・ガン。Netflixシリーズ「マイ・デーモン」独占配信中

悪魔だが200年以上に渡り、名前を変えながら生きているチョン・グウォン役のソン・ガン。Netflixシリーズ「マイ・デーモン」独占配信中

 ある出来事がきっかけで悪魔の能力の源となるタトゥーがヒロインの手首に移ってしまい、能力が失われてしまったことから、とにかくヒロインの手首をつかんで充電が必要となり、だからこそ財閥家の相続問題で命を狙われている彼女を守るためにボディーガードをする羽目になり、さらには契約結婚にまで至っていきます。

画像: ヒロインのト・ドヒ役のキム・ユジョン。Netflixシリーズ「マイ・デーモン」独占配信中

ヒロインのト・ドヒ役のキム・ユジョン。Netflixシリーズ「マイ・デーモン」独占配信中

 『トッケビ』へのオマージュなのか、『トッケビ』を思わせるシーンがあちこちに出てくるのですが、なんといっても悪魔を演じるソン・ガンの人間離れした超絶な美しさやスタイルの良さと、ヒロイン役のキム・ユジョンの硬質な愛らしさというビジュアルの魅力がこのドラマの真骨頂。二人の丁々発止のやり取りがテンポが良くて愉快だし、背景が財閥と財団なのでゴージャスだし、ファンタジードラマにふさわしくキラッキラな画面演出で、とにかく目の保養になります。そんな風に楽しく見ていくと、朝鮮時代に端を発する二人の悲しい因縁がわかってきて、そこから切ない展開になるのが韓国ドラマチックですね。美男美女の現代劇と時代劇のそれぞれの美しさが堪能できるドラマです。

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【2】『星から来たあなた』異星人とトップ女優の極上のおとぎ話

 こちらは宇宙からやってきた異星人がトップ女優と繰り広げていくロマンチック・ラブコメディーです。朝鮮王朝実録に書かれていた400年前の未確認飛行物体に関する記述を基に脚本家がイメージを膨らませて書いたお話。異色の題材でありながら、荒唐無稽と思うまもなく、すっとドラマの世界に引きこまれてしまう、極上のおとぎ話です。

画像: 異星人のト・ミンジュン役のキム・スヒョン(左)とトップ女優チョン・ソンイ役のチョン・ジヒョン(右)。© HB ENTERTAINMENT

異星人のト・ミンジュン役のキム・スヒョン(左)とトップ女優チョン・ソンイ役のチョン・ジヒョン(右)。© HB ENTERTAINMENT

 元いた星に帰る日を3ヶ月後に控えた期間限定の恋愛がどうなっていくのか、という、切なさを伴った、胸キュンの笑えるラブコメディですが、そこにサイコな殺人者が絡んでくることによって、サスペンスの緊張感も加わります。宇宙人らしくスーパーな能力を持つ男が、その能力でヒロインを守っていくところも女子目線としては魅力です。宇宙人を演じるキム・スヒョンは、400年生きてきて、達観して浮世離れした感じが、まるで高尚な両班のよう。目元のアップが何度も出てきて、かすかな眼差しの変化で微妙な心情を表現。ヒロインに向けるちょっとあきれた顔や彼女が気になってしかたがない顔など、普段は無機質な彼の見せる、ふとした表情の変化に持っていかれます。

画像: © HB ENTERTAINMENT

© HB ENTERTAINMENT

 そして、チョン・ジヒョン演じるヒロインが、子役時代から人気者という設定で、傍若無人で、言いたい放題の、少々はすっぱな女性なんですが、本当にかわいい!コメディエンヌぶりを存分に発揮していて、恋に落ちずにはいられないキュートさを見せています。壊れた姿もすごく笑えますし、クルクルと動く表情を見ているだけで幸せで、女性でもそのキュートさにメロメロになってしまいます。
 とにかく、主人公ふたりのやりとりを見ているだけで眼福で、顔がニマニマしてしまいます!ドラマを見ているあいだじゅう、夢を見せてくれて、終わった後もしばらく、ふんわりと包み込まれたような幸せな後味が残ります。

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【3】『キミはロボット』人口知能ロボットと人間の女性の愛

 こちらは人工知能ロボットが主人公で、ロボットと人間の女性との愛を描いたファンタジー・ラブストーリーです。ロボット研究の博士が引き離された幼い息子恋しさに作り上げた、息子そっくりの人工知能ロボット。息子の成長に合わせるように改良を重ねて、どこから見ても人間そっくりの青年ロボットなんです。そんな時、本当の息子が事故に会い重傷を負ってしまうので、御曹司である息子の居場所を維持するために、母親と息子の側近は一致団結して、ロボットを息子の代わりに会社に送り込むことに。そこに息子のボディーガードをしていた女性が絡んでくるのです。最初は傍若無人な息子を嫌っていたボディーガードの女性が、ロボット相手に心を痛め、どんどん惹かれていくのですが、果たしてこの恋はどうなってしまうのかというのが大きな見所です。

画像: 財閥三世の主人公ナム・シン役とロボット役の二役を演じるソ・ガンジュン(左)とヒロインのカン・ソボン役コン・スンヨン。Licensed by KBS Media Ltd. ©2018 KBS. All rights reserved

財閥三世の主人公ナム・シン役とロボット役の二役を演じるソ・ガンジュン(左)とヒロインのカン・ソボン役コン・スンヨン。Licensed by KBS Media Ltd. ©2018 KBS. All rights reserved

 このドラマはソ・ガンジュンが、ひねくれて育ってしまった人間の息子と素直で純真なロボットの一人二役を演じているのですが、このロボットがとっても魅力的。人間が泣いていたら抱きしめるのが原則で、手を握れば嘘を見抜けて、災害時には災害モードが働いてスーパーマンのように助けてしまう。優しくてかっこよくて無邪気で可愛くて。それでいて人間の身代わりだということを知っているからどこか不憫なんですね。さわやかで邪気のない、口角をきゅっと上げた微笑みはあどけなくて、とっても愛おしく思えます。またソ・ガンジュンのロボット演技が素晴らしくて、人間そっくりなんだけど、細かいところでもうロボットにしか見えません。

画像: Licensed by KBS Media Ltd. ©2018 KBS. All rights reserved

Licensed by KBS Media Ltd. ©2018 KBS. All rights reserved

 一方人間の息子は母親の愛を知らずに育っているので生意気で傲慢で屈折していますので、この本物の息子が目覚めてから事体は複雑になっていきます。自分そっくりのロボットが自分よりも優秀で人々から愛されていたらどうなるのか?その複雑な感情から、まるで善と悪の対決のようになっていくので、そんな二役演技をお楽しみください。

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“音楽”が奏でる物語

【1】『マエストラ』天才女性指揮者が抱える秘密とは……

 世界にたったの5%しかいないとされる女性指揮者が主人公のドラマです。
 このヒロイン、世界で活躍してきて20 年ぶりに母国の韓国に戻り、ちょっと落ちぶれているオーケストラの指揮者に就任するところから始まります。有名人だし、天才なのでカリスマがあふれていて態度も大きいというか性格もきつくて、強烈です。

画像: ヒロインの指揮者チャ・セウム役のイ・ヨンエ。© 2024 STUDIO DRAGON CORPORATION & CJ ENM Co., Ltd. All Rights Reserved.

ヒロインの指揮者チャ・セウム役のイ・ヨンエ。© 2024 STUDIO DRAGON CORPORATION & CJ ENM Co., Ltd. All Rights Reserved.

 しょっぱなから、コンサートマスターを変えたり大胆な提案をするので楽団員たちは文句たらたら。でも一回演奏を指揮しただけで音の外れ方とか細かいところまで指摘して団員達を黙らせるずば抜けた能力を持っています。ここまでの流れは『ベートーベン・ウィルス ~愛と情熱のシンフォニー』や『ストーブリーグ』的な、落ちこぼれ集団にエッジのきいた存在が入ってきて紆余曲折を経ながら立て直していくドラマかなと思わせるのですが、この作品はそういうヒューマンドラマではないんですね。主人公には抱えている秘密があって、そこに関するミステリーや、夫や昔の恋人との愛憎などが複雑に絡み合い、さらに楽団員の殺人事件なども入ってきて、このドラマはどの方向に向かうんだろうと目が離せなくなります。

画像: ヒロインの元恋人で投資家ユ・ジョンジェ役のイ・ムセン。© 2024 STUDIO DRAGON CORPORATION & CJ ENM Co., Ltd. All Rights Reserved.

ヒロインの元恋人で投資家ユ・ジョンジェ役のイ・ムセン。© 2024 STUDIO DRAGON CORPORATION & CJ ENM Co., Ltd. All Rights Reserved.

 その中で、ヒロインが若いころに出会った元恋人で投資会社代表の自由気ままに生きている男が、ヒロインに向ける屈折した愛情がツボです。彼女を意のままにしたくてオーケストラまで買い取ってしまったり、彼女を離婚させようとしたり、飄々とした顔でネチネチと彼女に執着していくんですが、その一途さがいい。なんだかんだ言ってヒロインへの純情を貫き通している姿にホロリときます。

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【2】『密会』20歳のピアノ青年と年上女性の情愛

 40代の女性と20歳の天才ピアニストの愛を描いた、情感あふれるラブストーリーです。ヒロインは、芸術財団の企画室長として、財団のオーナー一族のお世話をしたり、不正の手伝いにも手を染めたりしながら、したたかに優雅に暮らしています。彼女の周りはみんな高尚ぶっているけれど、仮面の下では出世欲、おべっか、嫉妬、不正と汚いものが渦巻いています。そんな世界で生きてきたヒロインが、ある日、純粋で、きらめくピアノの才能を持つ青年に出会ってしまうんですね。20歳も年が離れているのに、一緒にピアノの連弾をした時から感性が触れあい、魂が共鳴しあっていくのです。

画像: 芸術財団の企画室長オ・ヘウォン役のキム・ヒエ(右)とピアノの才能を持つ青年イ・ソンジェ役のユ・アイン(右)。©JTBC co.,Ltd all rights reserved 原案 東京タワー ⓒKaori Ekuni

芸術財団の企画室長オ・ヘウォン役のキム・ヒエ(右)とピアノの才能を持つ青年イ・ソンジェ役のユ・アイン(右)。©JTBC co.,Ltd all rights reserved 原案 東京タワー ⓒKaori Ekuni

 一見すると、堂々たる女神と野性味のある子犬のようなカップルなのですが、年下男子が何も恐れずにまっすぐにヒロインに向かっていく切実な姿が、ズシンと胸に響きます。ヒロインも、そんな彼を最初は毅然と制しているものの、感性豊かな年下男の熱い気持ちに理性がどんどん崩され、彼女の生き方そのものまでもが大きく揺さぶられていきます。

画像: ©JTBC co.,Ltd all rights reserved 原案 東京タワー ⓒKaori Ekuni

©JTBC co.,Ltd all rights reserved 原案 東京タワー ⓒKaori Ekuni

 そして音楽が大きなポイント。ドラマで終始流れるクラシカルなピアノの調べが官能の響きとなってふたりを激しい恋に導いていきますが、ピアノを連弾するシーンはそのへんのベッドシーンよりも官能的で、見ていて照れてしまうほど。上流階級の表の優雅さと、その裏側に内在しているドロドロとした醜さと、純粋な愛という3つの局面をこっそりと覗き見しているような、人物たちの秘め事を見ている気分にさせられます。
 肌にまとわりつくような独特な質感を持っているドラマで、そのなんとも言えない雰囲気に絡み取られるように引きこまれるでしょう。不思議な余韻に満ちたドラマです。

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【3】『ブラームスは好きですか?』天才ピアニストと学生バイオリニストの青春

 音楽大学を舞台にした、孤高の天才ピアニストとバイオリン専攻の女子学生が繰り広げる青春ラブストーリーです。
 タイトルのブラームスは、ブラームスが、恩師であるシューマンの妻クララを愛していたという三角関係をモチーフにしているところから来ています。

画像: 天才ピアニスト、パク・ジュニョン役のキム・ミンジェ。©SBS

天才ピアニスト、パク・ジュニョン役のキム・ミンジェ。©SBS

 このドラマのヒロインは、バイオリンの魅力に遅まきながら気が付いて、4回のチャレンジの末、26歳でようやく音大に入学したという女性。一方の、ピアノの天才として知られる青年はピアノを弾いていてもちっとも幸せを感じなくなっている孤独な心の持ち主です。音楽の才能という点で対照的なふたりは、それぞれに片思いの相手がいながら、一緒に時間を過ごすうちに少しづつ心を通わせていくようになります。

画像: ヒロインのヴァイオリニスト、チェ・ソンア役のパク・ウンビン(右)とキム・ミンジェ(左)。©SBS

ヒロインのヴァイオリニスト、チェ・ソンア役のパク・ウンビン(右)とキム・ミンジェ(左)。©SBS

 天才ピアニストを演じるキム・ミンジェの端正な顔立ちが孤高の芸術家の雰囲気にぴったりでとっても素敵。パク・ウンビン扮する女子学生との、距離感を保ちながらのふたりのやり取りがこそばゆいくらいですが、微笑ましくて、このふたりの丁寧な気持ちの通い合いがとってもいいんです。でも想いが高まるにつれ、抑えきれない想いがあふれてきて激情に駆られる場面もあって、お似合いのふたりのしっとりした恋のはぐくみにじんわり来ます。いくら好きなことでも自分の才能とどう折り合いをつけるのか、美しいメロディーを背景に、若き音楽家たちが才能と残酷な現実のはざまで傷ついていく姿や、音楽の世界に生きる者同士の繊細で情感あふれた気持ちの紡ぎあいが見どころのドラマです。

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田代親世 韓流ナビゲーター 
韓流解説、韓流イベント司会の第一人者。公式サイト「田代親世の韓国エンタメナビゲート」やYoutube「ちかちゃんねる☆韓流本舗」「韓ドラ・マスター親世と尚子の感想語り」などで韓流情報を発信しているほか、会員制のコミュニティ【韓流ライフナビ】を主宰。ツアーやイベントを企画・開催している。


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