日本における韓流ブームの立役者で韓流エンタメのスペシャリストである田代親世さんが、韓国ドラマの魅力をさまざまな角度からご紹介!今回は、韓国ドラマの数多き悪役の中でも、その存在感がより一層、物語を盛り立てている作品をセレクト。

TEXT BY CHIKAYO TASHIRO

ヒロインの“夫”と“親友”の痛快な悪役ぶり
『私の夫と結婚して』

 夫と親友の裏切りの果て夫に殺された女性が、不思議なことに10年前に時間が戻り、新たな人生を歩むべく復讐と再生を図っていくドラマです。

 このドラマの面白いポイントは、過去に戻り、すでにこの先どうなるかということを知っているヒロインですが、単純にそれを避ければいいというものではなく、起こる出来事は必ず起こるので、それを誰かに転嫁しなくてはならないというところです。

画像: ヒロイン役のパク・ミョン(左)と夫役のイ・イギョン。© Studio Dragon by CJ ENM

ヒロイン役のパク・ミョン(左)と夫役のイ・イギョン。© Studio Dragon by CJ ENM

 ここで、なんて人たちなの!と視聴者すべてから憎まれるのがヒロインの夫と親友です。夫は、妻をいいようにこき使い、追い詰めて、病気になった妻を裏切って親友と不倫して、妻に掛けた保険金で金持ちになろうと画策しているようなひどいやつ。親友も長いあいだヒロインの良き友達を装いながら、裏ではヒロインを貶めることをやってきた根性悪の女性です。亡くなる前にその裏切りを知ったヒロインは、だからこそもう一度生きるチャンスを与えられたとき、自分の代わりにこの親友が夫と結婚するように計画を立て、相手がそう動くように心理を先読みしながら上手に立ち回っていくわけです。

画像: ヒロインを助ける御曹司役のナ・イヌ。© Studio Dragon by CJ ENM

ヒロインを助ける御曹司役のナ・イヌ。© Studio Dragon by CJ ENM

 韓国ドラマの悪人には、やるせない理由で悪人になっている人物も登場し、不憫に感じるケースもありますが、このドラマのようにここまでひどい人たちだと、視聴者も単純に、この人たちに天罰が下れ!と、その過程を痛快に楽しめます。

 で、つらい目にあって復讐するヒロインのそばには必ず王子が登場するのが韓国ドラマ。本作でも、ナ・イヌ演じるとっても素敵な御曹司がいつもヒロインを助けて復讐のサポートをするのが胸キュンポイントです。

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魔性の美しさで目を引く悪の存在
『夜を歩く士<ソンビ>』

 美しきヴァンパイアたちが主人公のファンタジー・ロマンス時代劇。宮廷に君臨し、歴代の王をも意のままに操ってきたヴァンパイアと、望まざるうちに自らもヴァンパイアになってしまった男が王世孫(ワン セソン=孫の世継ぎ)と共に闘っていくドラマです。

 “架空の”朝鮮時代を背景に、世子の右腕として仕えていた男が、ヴァンパイアを倒せという使命を託され自分もヴァンパイアとなり、120年間生きる中で、男装しているヒロインに出会って惹かれ合っていきます。ドラマの前半はこの二人のキュンとくる様子が描かれファンタジー・ロマンスの雰囲気が強いですが、その後は悪のヴァンパイアを葬ることのできる秘策が記されている書物の中身が徐々に解き明かされて、王 世孫とタッグを組んだ戦いになっていく展開です。

画像: 主人公キム・ソンヨル役のイ・ジュンギ(右)と親友チョンヒョン世子役のイ・ヒョヌ(左)。©2015 MBC

主人公キム・ソンヨル役のイ・ジュンギ(右)と親友チョンヒョン世子役のイ・ヒョヌ(左)。©2015 MBC

 主人公を演じるイ・ジュンギが、流し目のような眼差し全開で、色っぽく艶っぽいんですが、このドラマにおける悪の存在がまた美しく妖しいのです。イ・スヒョク演じる宮廷を200年もの間牛耳ってきたヴァンパイア。この世のものとは思えない魅惑的な存在感。ちょっとくぐもった低い声も妖しさをかきたてていて、まさに魔性の美。イ・スヒョクは、モデル出身ということもあってか、どこかアンドロイドっぽくて、あまり人間味を感じさせない雰囲気がまさにこの役にぴったり。夜の帝王のカリスマ性が光っていて、彼の本来もっているであろうSっぽさが全開で、「その魔性の美しさに魅入られてください」という感じです。とても残酷な悪の存在なのに、これだけ魅力的だと毎回登場するのが楽しみで、憎み切れませんでした。

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歴代最強⁉ 強権をふるう危険な御曹司
『リメンバー~記憶の彼方へ~』

『リメンバー~記憶の彼方へ~』は、父の冤罪を晴らすため、史上最年少弁護士となる青年の戦いを描いたヒューマン・サスペンスドラマです。

 幼いころ母親と兄を事故で亡くし、父一人子一人でつつましく暮らしていた高校生。ところがある日、父親が殺人犯に仕立て上げられてしまいます。事件の背後には財閥の御曹司が絡んでいて、その権力のせいで、頼れると思った大人たちに次々に裏切られ世間の汚さを知った少年は、見たもの聞いたものをすべて記憶できるという特殊能力を生かして、自分が弁護士となって父親を救う孤独な戦いを始めるのでした。

画像: 主人公ジヌ役のユ・スンホ。©SBS

主人公ジヌ役のユ・スンホ。©SBS

 俳優ユ・スンホが、やさしい少年からクールな弁護士青年となって、寂しげな眼差し、愁いのある表情、涼しげなたたずまいを伴って、悔しさを秘めながら父のために闘う男を演じていく姿がなんとも魅力的です。またパク・ミニョンが、そんな彼に協力し、心の支えとなっていくしっかり者の女検事を演じていますが、そんな彼らの前に立ちはだかるのが、ナムグン・ミン演じる、歴代最強ともいえるキレキレの危険な御曹司です。父である財閥会長の前ではおどおどしているのに、強権力のもと、黒を強引に白にしてしまったり、気に入らないやつをとことん落としたりとやり口が恐ろしい。とにかく、もうサイコパスチックな目にゾッとさせられます。ナムグン・ミンは、今でこそ主人公俳優ですが、その前はクセの強い役が多かったのです。が、このドラマでは、そこからさらに振り切った演技を見せて強烈な印象を残しています。

画像: 御曹司ギュマン役のナムグン・ミン(左)と検事イ・イナ役のパク・ミニョン(右)。©SBS

御曹司ギュマン役のナムグン・ミン(左)と検事イ・イナ役のパク・ミニョン(右)。©SBS

 このドラマを見ると、韓国の財閥権力ってすごすぎる~と言いたくなる社会の不条理や人間関係の複雑な変化が描かれていきます。悪人たちを追い詰めていく過程の二転三転が非常に面白い法廷サスペンスになっています。

■アジアPremium、ひかりTV、FOD、Lemino、みるアジアで配信中

田代親世 韓流ナビゲーター 
韓流解説、韓流イベント司会の第一人者。公式サイト「田代親世の韓国エンタメナビゲート」やYoutube「ちかちゃんねる☆韓流本舗」「韓ドラ・マスター親世と尚子の感想語り」などで韓流情報を発信しているほか、会員制のコミュニティ【韓流ライフナビ】を主宰。ツアーやイベントを企画・開催している。


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