春夏メンズ・コレクションの中核となるパリ・メンズ・コレクションが閉幕。そのハイライトをアレクサンダー・フューリーが総括する

BY ALEXANDER FURY, TRANSLATED BY CHIHARU ITAGAKI

HERMES(エルメス)

 ここ数年来と同様、今回もヴェロニク・ニシャニアンによるエルメスがショー会場に選んだのは、ソルボンヌ大学のすぐそば、エコール・ド・メドゥシーヌ通りにある緑豊かな回廊式庭園だ。

画像: PHOTOGRAPH BY YU FUJIWARA

PHOTOGRAPH BY YU FUJIWARA

 今回のコレクションは、1988年に就任したデザイナーの30周年を祝うイベントの第一弾。ヴェロニクの肩書は、最初はメンズ・レディー・トゥ・ウェア部門デザイナーで、今はアーティスティック・ディレクター。今の彼女の仕事は、エルメスのメンズの「世界観」をつくり出すことだ。移り変わりの激しいファッションではなく、スタイルの「世界観」を提案するブランドへとエルメスがシフトしていることがわかるだろう。

 毎シーズン、ヴェロニクはアイディアや発想源をキーワードで示し、ゆっくりと進化する彼女のエルメスのヴィジョンを説明する。今回のキーワードは、「カラー」と「ボリューム」、それに「洗練された解放」。コレクションには遊び心に満ちた柄が登場。エルメスのシルクスカーフの柄「シェーヌ・ダンクル(錨のチェーン)」からインスパイアされたモチーフは、スエードに型抜きして生地を切り替え、丹念に描かれていた。

 小物類も、今回のコレクションのスポーティなムードを強調していた。「野球のグローブみたいな」と表現したのは、エルメスのアーティスティック・ディレクターであるピエール=アレクシィ・デュマ(ギリシャ出身で、ティエリ・エルメスから始まる創業家の6代目だ)。この特徴的な野球ボールのスティッチは、ジャケットにもあしらわれていた。

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