BY ALEXANDER FURY, TRANSLATED BY CHIHARU ITAGAKI
COMMES DES GARÇONS HOMME PLUS
(コム デ ギャルソン オム プリュス)

「大切なのは中身」。これが、川久保玲によるコム デ ギャルソン オム プリュス2018年春夏コレクションのテーマだ 。これは、NYのメトロポリタン美術館で現在開催中の「川久保玲/コム デ ギャルソン」展へぜひ行ってほしいという熱心な勧めなのか? いや、おそらく違うだろう。

そういった企業的な意味合いは、何も含んでいなかった。むしろ、ショーは楽しげで自由奔放、気ままなムードに満ちていて、そこには明らかに若い息吹が感じられた。会場はパリのダンスホール、サル・ワグラム。もともとは1812年に建てられた歴史ある場所だ。そこにテンポよくハウスミュージックが流れ、モデルたちは単なるウォーキングではなく、ステージ上を気どって闊歩し、踊るようにターンしてポーズを決める。

「大切なのは中身である」というのは、ただのインナービューティにまつわる耳障りのいい、気分の上がるマントラではない。それは今回発表されたルックの解説でもあるのだ。ショーには、ジャケットを裏返しにして着たルックが多数登場。素材や柄が切り替えられた裏地や、縁取りを表に出して見せていた。

いくつかのジャケットは、アーティストのモナ・ルイゾンによる人形で飾られていた。ショーのテーマと関連して、まるで人形たちが服の下から逃げ出そうとしているように、さらに言うならモデルの体内から逃げ出そうとしているようにも見えた。

PHOTOGRAPHS BY MOLLY SJ LOWE
スパンコールで服の表面が覆われたルックも多かった。中には、ジェルで固めたヘアにまでスパンコールをつけていたモデルも。まるでクラブキッズの、汗で濡れてべたついた髪のように見えた。