BY ALEXANDER FURY, TRANSLATED BY CHIHARU ITAGAKI
LANVIN(ランバン)
「超細分化する現代社会」ーー この、ファッションデザイナーのインスピレーション源らしからぬキーワードが、ランバンのメンズウェア部門アーティスティック・ディレクターであるルカ・オッセンドライバーが掲げた、今回のショーのテーマだ。「カジュアル・フライデー」スタイルやアスレジャースタイル、そして時代によって流行したり廃れたりするクラシックなテーラードスーツまで、このコレクションは、まるでメンズウェア界の異文化交流のよう。写真左のバイカラーカーディガンは、「2つのものの共存」というテーマが如実に表れた例といえるだろう。
ひとりの男性のワードローブの、異なる要素が融合し、ときに混在する。写真は、スポーティなムードのニットトップスとトラウザーパンツの組み合わせ。バックパックのストラップには、クラシックなトレンチコートがぶら下がっているかのようなあしらいが。
写真のレザーバッグは、まるで作業員の持つ昔ながらのツールボックスのようなデザインに、ランバンの「L」が。
ミックス感とミスマッチ感は、メンズウェアにおいてはごく一般的なテーマだが、ルカは誰よりもそれを意識的に提唱してきたと言える。11年前にランバンを手がけ始めたばかりの頃から、フォーマルなスーツスタイルにスニーカーを合わせるスタイリングを提案していたのだから。以来、そのスタイリングはブランドを代表するものとなっただけでなく、ひとつのスタイルそのものとなった。ルカは言う、「最初にスーツとスニーカーを合わせたときはかなり衝撃的だったけれど、今ではもっと受け入れられる、好意的に迎えられるスタイルになった」。そう、そしてさらに言うなら、時代の求めるスタイルになったのだ。