BY ALEXANDER FURY, TRANSLATED BY CHIHARU ITAGAKI
BERLUTI(ベルルッティ)
パリ左岸にある、18世紀に建てられたモネ・ド・パリ(パリ造幣局)の建物で行われた、ハイダー・アッカーマンによるベルルッティの2シーズン目のショー。パリ・メンズ・コレクション参加ブランドの中で、もっとも注目を集め、もっとも高い価格帯を誇るブランドのひとつであるだけに、ここはショー会場としてふさわしい場所だった。
その中庭、四方を壁に囲まれ空の開けた場所で、ショーが開催された。自身の名を冠したメンズウェアレーベルでは、もっとルーズでアートに近いルックを提案するハイダー・アッカーマンだが、ベルルッティではより緻密でクリーンな側面を見せている。
しかし、色彩感覚は変わらず彼らしい。写真では、アイボリーホワイトと温かみのあるトープカラーに、若々しいピンクをミックス。そこにグラフィカルな黒いラインが走っている。
わずかにフェミニンに変化しつつあるベルルッティ。それを表現するために、ハイダーは男女両方のモデルをショーにキャスティングした。多くのアイテムは男女兼用で使われており、スタイリングもアンドロジナスなムードを強調するものだった。
ハイダーが使ったのは「エフォートレス」という言葉。それはすなわち「悪魔は細部に宿る(細部にまでこだわる必要がある)」ということ。曇りのない目で見れば服には如実にそれが現れるし、カラフルな色使いでごまかすことはできないというわけだ。