BY ALEXANDER FURY, TRANSLATED BY CHIHARU ITAGAKI
ALEXANDER McQUEEN
(アレキサンダー マックイーン)
ミラノとロンドンでのメンズ・コレ参加を経て、アレキサンダー マックイーンは今回初めてパリ・メンズ・コレに参戦。ショーのタイトルは「開拓者と探検家、語り部と収集家」。ラドヤード・キップリングの1898年作の詩『The Explorer』からの引用だ。
写真では、そのキップリングの詩がデニムに刺繍されている。そのほか、オリエンテーリング用の地図と植物の素描図も。デニムは、ブランド創設者である亡きリー・アレキサンダー・マックイーンが初期に使った素材であり、現クリエイティブ・ディレクターのサラ・バートンもよく使用する素材だ。
リー・マックイーンはロンドンのサヴィル・ロウで修業を積み、キャリアをスタートさせた。そういった経緯もあり、テーラリング技術の高さはこのブランドの強みだ。それを反映して、今回のショーは無駄をそぎ落とし、禁欲的ですらあるモノトーンのスーツのルックで幕を開けた。
定評あるマックイーンのパンクな側面は、シルバージップが縦横に走るレザーのバイカージャケットやパンツに表れていた。今回のコレクションは、いわば原始的な世界と高尚な雲上の世界との間に横たわる、新たなる地の探検だ。着心地のよい手編みのニットと精緻なテーラリングスーツ、ハードなレザーアイテムが共存していた。荒い素材と滑らかな素材を同時に身につけられるのが、アレキサンダー マックイーンなのだ。
全体として目立ったのは、よく知られた、わかりやすいクラシックウェアへのフォーカス。トレンチコートや、ダブルボタンもしくはシングルボタンのスーツジャケットなどが登場。そこに、機能本位のワークウェアから引用されたケープのような、ドラマティックとさえ言える装飾がついていた。写真は、伝統的な防水ジャケットであるサウウェスター。たっぷりしたボリューム感は、まるでクチュールウェアのような趣をたたえている。