7月11日より国立新美術館で開催されるエルメスの展覧会「彼女と。」。 謎に包まれたこの展覧会の見どころを、レディス部門のアーティスティック・ディレクター バリ・バレが語る

BY JUN ISHIDA

ーー 今年のエルメスの年間テーマは「Let’s play」ですが、そのテーマをどうスカーフのデザインで表現していますか?

 エルメスのスカーフは物語を語るものですから、年間テーマはとても大事です。エルメスのメティエ(部門)のなかで、シルクコレクションが最もテーマを具現化しているかもしれません。例えば今回はシンプルにゲームボードなどのゲームのデザインをとり入れましたが、そもそもカレ自体がゲームの要素を備えています。コーディネイトでカレのデザインで遊んだり、結び方で遊んだりね。

ーーあなた自身はスカーフを日常的にどう使っていますか?

 首にも巻きますし、バッグ代わりにもしますよ。つねに新しいことを考えています。数年経ったものは洗濯機で洗いますが、洗うとヴィンテージのような柔らかい風合いになるんです。「私もやってみたい」と友人たちによく言われるので、今シーズンは「カレ ウォッシュ」という製品をつくりました。コレクションから三種類のカレを選び、あらかじめ洗濯して商品化したんです。スカーフをどう使ってよいかわからないという若い人たちもいますが、「カレ ウォッシュ」はカジュアルな雰囲気なのでとても使いやすいですよ。

ーーエルメスで働いてもう15年になりますが、メゾンに対する印象は変わりましたか?

 変わりませんね。働き始めてまずびっくりしたのは、このメゾンが自由で現代的であることです。つねに何かを発明し、進化しています。エルメスというメゾンを保つために、現状をよしとするのではなくて、革新的な試みを行いながら同時に完璧な製品を私たちはつくり続けています。私が日々やっていることは、”エルメス国”の国境を外側に広げてゆくことです。広げることで、新しいクリエイションが生まれます。既成概念にとらわれず、決まり切ったアイデアと戦うのは難しいことですが、保守的であることが伝統を守るということではありませんから。

ーーあなたはレディスのコレクション全体をみていますが、ナデージュとはどのように仕事をしているのですか?

 ほかのデザイナーと同じように、まず対話することから始めます。それぞれのメティエにおけるエルメス的女性とはなにかを理解するために、対話を重ね、互いのビジョンを理解するのです。ナデージュともよく話し合いますよ。メティエごとに女性像は違いますが、ナデージュとは簡単に共有できます。大事なのは、彼らと一緒にエルメスの女性像に関するビジョンをつくってゆくことです。私もデザイナーでしたので、ほかのデザイナーたちが何を考えているかがよくわかりますし、これは私の強みなのかもしれません。コンセプトにはじまり、色、柄と段階を追って話し合います。10日に1度は会って話しますね。

 こうした仕事の進め方はエルメス独自のものだと思います。ほかのブランドでは、まずレディスのプレタポルテありきで、すべてがその周囲を回っていますが、エルメスは歴史的にもまずレザー製品があり、カレがある。それぞれのメティエにアイデンティティがあり、独立しているのですが、それにはこうしたエルメスの歴史が深く関わっていると思います。各メティエで独立して作られるものが、最終的にできあがってみると統一感がある。それがエルメスだと思います。私の仕事はメティエ間のバランスをとることで、みながエルメスのなかで違う言葉使いをしながら統一感がある、そういう文化を育てることです。

画像: ARTISTIC DIRECTION BY LAURE FLAMMARION, PHOTOGRAPH BY ISAAC MARLEY MORGAN

ARTISTIC DIRECTION BY LAURE FLAMMARION,
PHOTOGRAPH BY ISAAC MARLEY MORGAN

「彼女と。」
エルメスが提案する現代的女性像の考察をテーマとした、シネマ(映画)的設定の観客参加型展覧会。バリ・バレとナデージュ・ヴァンヘ=シビュルスキーが監修

会期:7月11日(水)〜30日(月)
会場:国立新美術館 企画展示室 2E
住所:東京都港区六本木7-22-2
開館時間:10:00〜18:00(土曜、日曜〜21:00まで)
休館日:火曜
入場料:無料。予約制(予約は特設サイトにて受付中)
※一部の日程で予約終了となっている場合があります。

問い合わせ先
エルメスジャポン
TEL. 0120-202-830(無料電話)

 

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