BY MASANOBU MATSUMOTO
ボッテガ・ヴェネタの旗艦店は、その都市ごとにユニークなデザインが施されている。過去にT JAPANでも紹介しているが、2018年2月にオープンしたニューヨークの店舗は、歴史的建造物である19世紀のタウンハウスをリノベーション。由緒あるファサードはそのままに、各フロアにもマンハッタンの名建築や高層ビル群に着想を得たデザインを施した。ミラノとビバリーヒルズにある他のフラッグシップも、それぞれその都市に残るヒストリカルな建物を改装したり、かつてそこで流行した装飾様式を再現したり、唯一無二の空間が広がっている。
ブランドのロゴを強調するのではなく、カルチャーや歴史などその都市の“個性”をボッテガ・ヴェネタ流に解釈して、デザインするーーそんな「表現」とも言えるショップ作りへのこだわりは、この冬、東京・銀座にグランドオープンした「ボッテガ・ヴェネタ 銀座フラッグシップ」にも見て取れる。900枚以上の四角いメタルパネルをつなぎ合わせたそのアウトルックは、東京の未来的な感性やモダニズム建築にインスパイア。と同時に、ブランドのアイコンであるレザー編み込み“イントレチャート”を模している。“東京らしさ”とボッテガ・ヴェネタのアイデンティを融合させたコンセプチュアルなデザインだ。
内装にも、“日伊折衷”のセンスが光る。床部分には、江戸時代後期から建築材として利用されている鉄平石を使用。壁面や商品ディスプレイ部分は、“キョウトホワイト”と称した漆喰(しっくい)、また他の伝統的な漆喰で塗りあげられ、日本の職人技にインスパイアされた木製の什器も配置。その一方で、イタリア産大理石のテーブルやボッテガ・ヴェネタのホームコレクションも美しく調和し、モダンな空間を作り上げている。
ドアや窓などの採光部の内側に施された幾何学の凹凸に目がいった人も多いだろう。この立体的な意匠は、光や幾何学的なモチーフを空間デザインに積極的に取り入れた60年代のアート・ムーブメント“ライト&スペース”と日本の“折り紙”に着想されたもの。実際に、この部分を近くでみると、さまざまな角度や形の面によって光が多方向にやさしく反射され、空間を明るく軽やかに変えているのがわかる。ブランドの卓越した機能美を感得できるポイントだ。
この銀座フラッグシップは、アジア最大級の規模を誇ることでも話題だ。メンズ、ウィメンズ、バッグやシューズなどのアクセサリー、さらにフレグランスやホーム&ファニチャーコレクションも揃い、またプレシャススキンのコーナーも設けられている。趣向を凝らした空間で、ブランドの世界観やサービスを全方位的に体験できるというわけだ。ちなみに、ボッテガ・ヴェネタでは公式のLINEアカウント(@bottegaveneta)を開設。最新コレクションやキャンペーン情報など、さまざまなニュースをいち早くキャッチできる。
ボッテガ・ヴェネタ 銀座フラッグシップ
住所:東京都中央区銀座5-6-1
営業時間:11:00〜20:00
不定休
電話: 03(6280)6612
公式サイト