131個のダイヤモンドが組み込まれた腕時計「グランド・レディ・キャラ」にフォーカス。ヴァシュロン・コンスタンタンの歴史に、新たな1ページを加えた逸品は、開発に5年近くを要したという

BY LINDSAY TALBOT, STILL LIFE BY FLORENT TANET, SET DESIGN BY ELLA PERDEREAU, TRANSLATED BY CHIHARU ITAGAKI

 織物職人の末っ子として生まれたジャン=マルク・ヴァシュロンは、1744年、12歳でスイスの熟練時計職人のもとに弟子入りする。それから11年後、ジュネーブのサン・ジェルヴェ地区に自身の時計製造工房を開設。やがて彼は、そこで最初の鍵巻き式懐中時計を考案する。その時計には、複雑に渦を巻きアラベスクを描く黄金のムーブメントと針、ローマ数字が刻まれたエナメルの文字盤がついていた。1819年、ジャン=マルクの孫であるジャック・バルテルミー・ヴァシュロンが、現在のイタリア国内を旅している最中に、フランソワ・コンスタンタンと出会う。コンスタンタンはジュネーブ出身の旅商人で、ふたりはすぐにビジネスパートナーとなった。コンスタンタンは、時計に宝石をつけて更なる顧客を開拓しようと提案。数年後には、宝石――アメジストやルビー、ガーネットーーをあしらった彼らの時計に、ボルゲーゼ公やサルデーニャの国王ヴィットーリオ・エマヌエーレ1世らが興味を示すようになった。当初、彼らの作る女性用腕時計には金箔でできた花のモチーフがあしらわれ、ネックレスとして首にかけたり、ブローチとしてつけたりできるものが多かった。

画像: ヴァシュロン・コンスタンタンのウォッチ「キャラ」と「カリスタ」。1980年代の広告より。 COURTESY OF VACHERON CONSTANTIN

ヴァシュロン・コンスタンタンのウォッチ「キャラ」と「カリスタ」。1980年代の広告より。

COURTESY OF VACHERON CONSTANTIN

 1979年、ヴァシュロン・コンスタンタンとして知られるようになったこのブランドは、フランスの抽象画家レイモン・モレッティとコラボレートし、「カリスタ」を制作。ギリシャ語で「もっとも美しい」という意味の名前で、当時もっとも高価な腕時計のひとつだった。金無垢のインゴットから彫り出され、6列のエメラルドカットのダイヤモンドの間に文字盤が控えめに収められており、ブレスレットと見間違えるほどだ。エメラルドカットのダイヤモンド118個は、総計で130ctになり、職人の手で完成までに6000時間を要した。1年後には、ハイジュエリーウォッチ「キャラ」シリーズも登場。これは「カリスタ」のデザインを再解釈したものだった。

画像: 新作の「グランド・レディ・キャラ」¥219,120,000(参考価格・受注により制作)/ヴァシュロン・コンスタンタン Tel.0120-63-1755

新作の「グランド・レディ・キャラ」¥219,120,000(参考価格・受注により制作)/ヴァシュロン・コンスタンタン

Tel.0120-63-1755

 そして2024年初春、ヴァシュロン・コンスタンタンから新たに、魅力的な「グランド・レディ・キャラ」が発表された。開発に5年近くを要したこの新作の腕時計には、131個のエメラルドカットのダイヤモンドが組み込まれている。4通りの使い方ができて、ブレスレットとしても、オニキスビーズと日本産アコヤ真珠のチェーンをつけてアールデコ調のソートワールとしても身につけられる。万能の美の象徴のようなこの腕時計は、かつてのペンダントウォッチの優雅さを彷彿させるとともに、ブランドの創業者のふたりとまさに同じく、あくなき技術の追求と限りないイマジネーションが完璧に手を結んでいる。

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