毎月、料理研究家の平野由希子さんが、季節の料理と日本ワインの世にも幸福なマリアージュを紹介する好評連載。今月は「ココ・ファーム・ワイナリー 2016 甲州F.O.S」と「ローストポーク」

BY JUNKO ASAKA, PHOTOGRAPHS BY MANA MIKI

 厳しい暑さの続いた夏がやっと終わった……と思ったとたん、いきなり季節は秋まっさかり。秋らしい食材とともに楽しみたいワインとして今月、平野さんが選んでくれたのは、ココ・ファーム・ワイナリーの「甲州F.O.S」だ。

画像: 4月から回を重ねる平野さんの料理教室「cuisine et vin」。 平野さんのデモンストレーションを見ながら料理を一緒につくり、テーブルコーディネートしてワインと料理を楽しむ。平野さんによるワインやペアリング、チーズなどの解説も好評 cuisine et vin公式サイト

4月から回を重ねる平野さんの料理教室「cuisine et vin」。
平野さんのデモンストレーションを見ながら料理を一緒につくり、テーブルコーディネートしてワインと料理を楽しむ。平野さんによるワインやペアリング、チーズなどの解説も好評
cuisine et vin公式サイト

 F.O.S.とはFermented on Skins(果皮の上で醗酵)の略。近ごろ注目度がますます上がっている“オレンジワイン”のひとつだ。白ブドウの果汁に果皮や種を加えて醸造するオレンジワインは、果皮由来の香りや複雑な味わいが世界的に人気を呼んでいる。「オレンジワインはジョージアや北イタリアでは昔から作られていた、いわば古典的なワイン。それがここ1、2年大ブームになり、今までやっていなかった作り手も続々とチャレンジしはじめています。このブームは、より自然なものを求める原点回帰のひとつかもしれませんね」と平野さん。

<今月のワイン|ココ・ファーム・ワイナリー 2016 甲州F.O.S>

画像: 栃木県足利市にある「ココ・ファーム・ワイナリー」は、1984年からワインづくりをスタート。自家畑では化学肥料や除草剤をいっさい使わず、醸造もほとんどは野生酵母を用いているという。深いオレンジ色が美しい甲州F.O.Sは、複雑なアロマと心地いい渋みがあり、中国料理をはじめ幅広い料理と好相性 ココ・ファーム・ワイナリー 2016 甲州F.O.S <750ml>¥2,778 https://cocowine.com/ ※「ココ・ファーム・ワイナリー 2016 甲州F.O.S」は「いまでや」オンラインストアで販売中

栃木県足利市にある「ココ・ファーム・ワイナリー」は、1984年からワインづくりをスタート。自家畑では化学肥料や除草剤をいっさい使わず、醸造もほとんどは野生酵母を用いているという。深いオレンジ色が美しい甲州F.O.Sは、複雑なアロマと心地いい渋みがあり、中国料理をはじめ幅広い料理と好相性
ココ・ファーム・ワイナリー 2016 甲州F.O.S
<750ml>¥2,778
https://cocowine.com/
※「ココ・ファーム・ワイナリー 2016 甲州F.O.S」は「いまでや」オンラインストアで販売中

 そんな中、ココ・ファーム・ワイナリーは2004年からこのワインを手がけている、いわば“老舗”。甲州F.O.Sは、「日本を代表するオレンジワイン。甲州種の新しい可能性を引き出したといえると思います」と平野さんも絶賛のワインだ。

 日本固有の甲州種の白ワインは軽く飲みやすいものが多く、ブドウ自体も淡い味わいだと思われがちだが、じつはほどよい酸味、甘みや苦味もあわせもつ。「その甲州種の魅力をしっかり引き出すために、しっかり時間をかけてマセラシオン(※色素やタンニンなどの成分を抽出するために種や果皮を漬け込むこと)した甲州F.O.Sは、より個性的で複雑な味わい。甲州ワイン、と思って飲むと、いい意味で予想を裏切られるはずです」

画像: 低温で40~50分じっくり焼いたあと、さらに20~30分おくことで、余熱によりきれいなロゼ色の焼き上がりに

低温で40~50分じっくり焼いたあと、さらに20~30分おくことで、余熱によりきれいなロゼ色の焼き上がりに

 このワインに合わせて平野さんが提案する料理は、秋の果実とともにいただく、食べ応え満点なローストポーク。「しっかりとした酸とほどよいタンニンのあるオレンジワインは、いろいろな料理によく合う、ペアリングしやすいワインの代表格。スパイスを使った料理や肉料理はどれもおすすめですが、中でも豚肉は抜群に合います。私自身、ローストポークをつくるとオレンジワインを飲みたくなるんです(笑)」

 肉料理の“焼き方”もワイン選びのポイントのひとつです、と平野さんは言う。「炭火とかバーベキューといった強火の料理には、やはりワインも赤など強いものが合います。ローストポークは低温でじっくり焼くので、オレンジワイン向き。とくにソースをつくらなくても、一緒に焼くブドウなどのフルーツがじゅうぶんソース代わりになってお手軽です。豚肉は、できれば塊肉で。そんなに大きくなくてもいいんですが、やはり冷めてもおいしいのは塊肉。ディナーで作った翌日は、スライスしてサンドイッチにしてもいいし、軽くあぶって召し上がるのもおすすめですよ」

画像: 塩とこしょうだけのシンプルな味付けで、肉の旨みをたっぷり味わって。焼いたブドウやイチジクが、甘みとさわやかな酸味のある絶品ソースに! ほかにリンゴや栗もおすすめ

塩とこしょうだけのシンプルな味付けで、肉の旨みをたっぷり味わって。焼いたブドウやイチジクが、甘みとさわやかな酸味のある絶品ソースに! ほかにリンゴや栗もおすすめ

<今月のレシピ|ローストポーク>
材料(2人分)
豚肩ロース600g、イチジク2個、ブドウ1/2房、ローズマリー1~2枝、サラダオイル・塩・こしょう適宜

1. 豚肉は塩小さじ1強を全体にすりこみ、1時間ほど室温においておく。いちじくは半分にカットする。
2. フライパンにサラダオイル大さじ1を熱し、豚肉を強火で表面全体に焼き色がつくまで焼く。天板に乗せ、ローズマリー、イチジク、ブドウを枝つきのまま乗せる。
3. 予熱した120度のオーブンで40〜50分焼く。
4. 豚肉を取り出し、30分ほど休ませてから食べやすい厚さに切り、仕上げに塩こしょう少々をふる。

平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理研究家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。ワイン好きとして知られ、ワインバー「8huit.」のオーナーでもある

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