BY KIMIKO ANZAI, PHOTOHRAPHS BY SHINSUKE SATO
3月18日からパーク ハイアット 東京の日本料理「梢」にて、「日本ワインと春の滋味~九州産スペシャルセレクション」が始まった。食文化に精通した“マスター”の知識や技術を生かし、季節ごとに展開している同ホテルのグローバル・プログラムのひとつで、今回は、「梢」の料理長・大江憲一郎氏自らが九州地方の3ワイナリーを訪問。そこで出会ったワインに合わせて食材を吟味し、スペシャルメニューを作り上げた。
コラボレートするのは都農ワイン、熊本ワイン、安心院ワインの3つのワイナリー。いずれも地元九州でのブドウ栽培にこだわりを持ち、ワインのプロフェッショナルにも評価が高い造り手ばかりだ。「九州で面白いワインがあるという情報を聞き、訪れました。私はワインが大好きなのですが、試飲してみたら素晴らしくおいしかった。酸がまろやかで熟成感があり、好みの味にたくさん出会えました」と大江氏。
特に印象的だったのが安心院葡萄酒工房の「スパークリングワイン エキストラブリュット 2017」、熊本ワインの「菊鹿シャルドネ NV」、都農ワインの「ソーヴィニヨン・ブランプライベートリザーヴ 2017」の3本だという。
「安心院葡萄酒工房のスパークリングワインは、泡立ちが細やかで味わいが上品。軽やかな苦みがあり、甲殻類や春の山菜に合うと思いました。熊本ワインの『菊鹿シャルドネ』は菊鹿町のシャルドネだけを使用していて、テロワールがきれいに表現されている。文句なしにおいしかった。都農ワインのソーヴィニヨン・ブランは『プライベートリザーヴ』と謳っているから、蔵出しのものかと思ったら、プライベートとは“地元”の意味で、地域の皆さまのために“リザーブ”しているという。3ワイナリーとも、地元愛がたいへん強いのにも感動しました。だから私も、できるだけたくさん九州の食材を使って、これらのワインに合う料理を考えてみました。多くの方に楽しんでいただけたらと思います」
じつは、3ワイナリーにとっても今回のような取り組みは初めてのこと。「九州ワインは、地元消費率が高く、首都圏への出荷は10%前後。ですから、今回のようにおいしい料理と合わせて東京のお客さまに飲んでいただけるのはありがたいチャンスです」と語るのは、安心院葡萄酒工房の工房長・古屋浩二氏。
都農ワインの取締役工場長・赤尾誠二氏も「私たちにとって、これは取り組みの第一歩。宮崎から、世界に向けて“日本料理&日本酒”だけでなく、“日本料理&ワイン”の提案ができると思っています」と話す。熊本ワイン製造部部長の西村篤氏は「今回のマリアージュは感動の連続で、日本ワインの可能性を改めて教えていただきました。日本料理と日本ワインを気軽に楽しんでくださる方が増えればと期待しています」とほほえむ。
現在、3ワイナリーとも自社畑の拡張やワインツーリズムの充実などに力を入れつつ、「よりおいしいワインづくり」に取り組んでいる。「“九州力”をテーマに、九州のワイナリー全体で力を合わせて向上していきたい。今回のコラボレーションは、私たちにとってもいい経験になりました。自分たちのワインが大江料理長の料理によってよりおいしく感じられた。この感動を、多くの方に体験していただきたい」と赤尾氏。
今回の“マスターズ・オブ・フード&ワイン2019「日本ワインと春の滋味~九州産スペシャルセレクション」は4月9日まで開催され、かなり好評を博している。「梢」の日本料理と九州ワインのマリアージュは、すでに多くの人々を魅了してしまったようだ。
マスターズ オブ フード&ワイン2019
「日本ワインと春の滋味 ~ 九州産スペシャルセレクション」
期間:2019年4月9日(火)まで
場所:パーク ハイアット 東京 40階 日本料理「梢」
住所:東京都新宿区西新宿3-7-1-2
電話:03(5323)3460
提供時間:11:30~14:30(LO)、17:30~21:30(LOコース21:00、アラカルト21:30)
料金:昼¥4,800~、夜¥13,000~、
ワイン グラス¥1,900~、ボトル¥9,500~(サービス料、税別)
公式サイト