京都生まれの京都育ちの食いしん坊、京都でおいしいものに出合いたければ、この人に聞けばハズレなし!と、長きにわたり業界の人々がブ厚い信頼を寄せる、アマジュンこと天野準子さん。今昔とりまぜ、京都ならではの絶品満腹口福アドレスを教えてもらいます。第9回は、日本茶専門店「YUGEN」をご案内します

TEXT&PHOTOGRAPHS BY JUNKO AMANO

 今年は桜の開花が早く、京都では見頃を迎えたお花見スポットが増えてきています。今回は、お花見の後に立ち寄りたい、カフェを備えた日本茶専門店を紹介します。

烏丸丸太町の「YUGEN」

画像: 「無花果と胡桃の炙り餅とお茶」¥1,900。お茶は、京都・和束の最高級煎茶、さえみどりを合わせて。さえみどりは、お茶を収穫する前に覆いをかけて遮光するかぶせ茶で、渋みが少なく、甘味や旨みを凝縮。3煎目まで楽しめる

「無花果と胡桃の炙り餅とお茶」¥1,900。お茶は、京都・和束の最高級煎茶、さえみどりを合わせて。さえみどりは、お茶を収穫する前に覆いをかけて遮光するかぶせ茶で、渋みが少なく、甘味や旨みを凝縮。3煎目まで楽しめる

 宇治茶は日本三大銘茶の一つと呼ばれ、京都市内でも、日本茶をさまざまなスタイルで楽しめる店に出会える。日本茶を製造・販売する茶舗は、長い歴史を持つ老舗が大半を占めるなか、「YUGEN」は2018年に誕生。昨年2月に店舗を移転拡大し、注目を集める日本茶ブランドだ。

画像: 目の前で点ててもらえる薄茶

目の前で点ててもらえる薄茶

 「YUGEN」で製造・販売されている茶葉は、宇治や宇治田原、和束、京田辺など、京都近郊の産地に限定されている。仲買い問屋を挟まず、生産者から直接仕入れることで、高品質な茶葉を低コストで提供。煎茶は、単一農園で収穫されたシングルオリジンも人気が高い。
 店舗展開としては、「おいしい日本茶をコーヒーのように気軽に楽しめる場所があれば」との思いから2018年、わずか2.5坪の日本茶スタンドからスタートした。ここ数年で、日本茶を提供するカフェやカジュアルな茶処も増えたことから「YUGEN」は次のステージに進み、2022年2月に、築50年弱のビル1棟に移転オープンした。

 新店舗の1階は、カウンターのみのカフェに。「茶の湯の文化は戦国時代に広がりました。茶室には刀を持って入ることが許されず、戦国武将にとって、茶室は唯一心が安らげる場所だったとも言われています。多忙を極めるストレスフルな今の時代にも、そんな場所や時間が必要だと思うんです」と、代表・須藤惟行さん。

画像: 風炉釜を備えたカウンター席

風炉釜を備えたカウンター席

 カウンターには風炉釜が備えられ、まるで茶室でお点前を拝見するかのように、目の前でお茶を淹れてもらうところから楽しめ、しばし日常を忘れ、ホッと一息つける場所になっている。

画像: 「桜餅とお茶」¥2,000(0月までの期間限定)。お茶は約6種類から選べる。大納言小豆のこしあんを道明寺粉の衣で包んで。中にはさくらんぼを忍ばせて

「桜餅とお茶」¥2,000(0月までの期間限定)。お茶は約6種類から選べる。大納言小豆のこしあんを道明寺粉の衣で包んで。中にはさくらんぼを忍ばせて

 日本茶と共に供される菓子もお楽しみ。甘い菓子を日本茶で流すペアリングではなく、どちらの風味も引き立つよう、菓子は甘さ控えめに。大納言小豆を使ったこしあんを包んだ桜餅や白小豆の汁粉など、通常は上生菓子に使われるような最上級の素材を贅沢に使い、香りや味わいも格別だ。

 2階ではワークショップやイベントが開催され、3階では現代作家の器の展示販売もあり。「暮らしのなかにお茶がある」と考え、店で使用している茶器をはじめ、暮らしにまつわるあれこれが並んでいる。

画像: 2階や3階は、コンクリートむき出しの壁と水面のような床のコントラストが美しい

2階や3階は、コンクリートむき出しの壁と水面のような床のコントラストが美しい

 ミニマルで凛と美しい1階とは打って変わり、2、3階は古いビルの面影を残しつつ、スタイリッシュにリノベーションされていて、まるで水を張っているように見える床も印象的だ。

 行きたいところや見たいものが多すぎて、京都旅はスケジュールを詰め込みがちですが、ひと息ついて、ゆっくりお茶で一服してみてはいかがでしょうか。

画像: 抹茶は(30g)¥890〜¥4,100。数字が上がるほどグレードがアップ

抹茶は(30g)¥890〜¥4,100。数字が上がるほどグレードがアップ

画像: 1階のカフェはカウンター11席。週末や3時のおやつ時間は予約がオススメ

1階のカフェはカウンター11席。週末や3時のおやつ時間は予約がオススメ

YUGEN(ゆうげん)
住所:京都市中京区亀屋町146
営業時間:11:00~18:00 
定休日:不定休
TEL. 075(708)7770
公式インスタグラムはこちら

画像: 天野準子 生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント

天野準子
生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント

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