「おいしいものは身体にいいのよ」。有元葉子さんはしばしばこの言葉を口にする。「野菜が身体にいいのはもちろんです。ただ、運動したら、肉や揚げものをたっぷり食べたいし、疲れたときには甘いものが欲しくなります」と有元さん。「見知らぬ土地で、スマホ頼みではなく、太陽の位置や見える景色を頼りに歩くと認知機能が高まると聞きました。食べることについても同様に、自分の身体の声を頼りにしてはいかがでしょう」。有元葉子さん直伝の、真っ当においしく身体にやさしい、理にかなった調理法と食べ方をお届けします。第10回は簡単で絶品、豚の生姜焼きをマスター!

RECIPE BY YOKO ARIMOTO, PHOTOGRAPHS BY YUKI SUGIURA, TEXT BY MIKA KITAMURA

画像: メープルシロップを隠し味に。豚肉とメープルシロップの相性の良さは格別!

メープルシロップを隠し味に。豚肉とメープルシロップの相性の良さは格別!

驚くほど簡単に、香ばしくやわらかな生姜焼きが完成!

 大人気のおかず、豚肉の生姜焼き。巷には十人十色の自慢のレシピがあるようだが、有元さんの作り方は驚くほどシンプル。たれに肉を漬け込んだり、事前に調味料を合わせたりする手間なしに、肉が香ばしくやわらかく仕上がる。
「薄切り肉よりも厚めの肉を選びます。脂がバランスよく入っている、やわらかくて歯切れのよい肩ロース、もしくはロースがよいでしょう。生姜焼き用として売られているものでいいですよ」。

 肉の片面だけに片栗粉を振り、その面を内側にして半分に折るのがポイント。片栗粉が付いていない外側をこんがり焼くことで、カリッとした食感と香ばしさが生まれる。また、半分に折ることで片栗粉がはがれず、溶け出した片栗粉でとろみがついて、最後に入れる調味料がしっかり馴染む。

 こんがり焼いたら、おろし生姜をたっぷりのせ、調味料を入れて肉にからませる。「おろし生姜はお好みですが、私はたっぷりのせます。ときには、おろしにんにくもプラスして」。甘味と醤油は好みで増減するとよい。「少し甘みのあるほうが美味しいので、メープルシロップを隠し味に使っています。砂糖を使う場合は、甘みが強いのでメープルシロップの1/3〜半量に減らしましょう」

 肉を焼く場合、かたくなってしまうからと、どうしても焦って調理しがちだが、有元レシピは慌てずゆっくり。「まず肉に火を入れてしまえば、一旦火を止めてしまっていいんです。余分な脂を取り除き、おろし生姜をのせて酒を入れたら、再度火にかけて一気に仕上げます」。焦らずゆったり料理できることも、美味しく仕上げるコツかもしれない。

 

画像: 驚くほど簡単に、香ばしくやわらかな生姜焼きが完成!

<材料>
豚肉(生姜焼き用) 200g
おろし生姜 大1片分
片栗粉 適量
酒 大さじ2〜3
メープルシロップ 大さじ2〜3
醤油 大さじ2強
太白ごま油 適量
キャベツのせん切り 適量

<作り方>

画像: 1 豚肉を広げ、片面に片栗粉を茶漉しなどで振り、片栗粉を振った面を内側にして半分に折る。

1 豚肉を広げ、片面に片栗粉を茶漉しなどで振り、片栗粉を振った面を内側にして半分に折る。

画像: 2 フライパンを熱し、太白ごま油をたっぷり入れる。1を折ったまま入れ、両面をこんがりするまで、強めの中火でしっかり焼く。いったん火を止め、余分な脂を少しだけ残し、キッチンペーパーに吸い取る。

2 フライパンを熱し、太白ごま油をたっぷり入れる。1を折ったまま入れ、両面をこんがりするまで、強めの中火でしっかり焼く。いったん火を止め、余分な脂を少しだけ残し、キッチンペーパーに吸い取る。

画像: 3 肉の上におろし生姜をのせる。

3 肉の上におろし生姜をのせる。

画像: 4 酒を加え、再び中火にかける。アルコール分が飛んだら、メープルシロップ、醤油を加え、ジュッと煮立たせる。

4 酒を加え、再び中火にかける。アルコール分が飛んだら、メープルシロップ、醤油を加え、ジュッと煮立たせる。

画像: 5 肉をひっくり返し、生姜と調味料を肉に馴染ませて火を止める。器にせん切りキャベツと共に盛る。

5 肉をひっくり返し、生姜と調味料を肉に馴染ませて火を止める。器にせん切りキャベツと共に盛る。

画像: 有元葉子(ありもとようこ) 料理家。素材を生かしたシンプルで力強い料理と、環境にも配慮した心地よい暮らし方に多くの共感が集まり、著書は100冊を超える。使いやすく美しい調理道具「ラバーゼ」シリーズを提案し、東京でセレクトショップ「SHOP281」を経営。イタリア・ウンブリアと信州にも家を持ち、東京と信州、イタリアでの生活を楽しむ。 公式サイトはこちら

有元葉子(ありもとようこ)
料理家。素材を生かしたシンプルで力強い料理と、環境にも配慮した心地よい暮らし方に多くの共感が集まり、著書は100冊を超える。使いやすく美しい調理道具「ラバーゼ」シリーズを提案し、東京でセレクトショップ「SHOP281」を経営。イタリア・ウンブリアと信州にも家を持ち、東京と信州、イタリアでの生活を楽しむ。
公式サイトはこちら

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