BY YUKIKO HIRANO
日本の夏には、とうもろこしの存在が欠かせない。夏休み、夏祭り、花火大会……子どもの頃、ゆでたてのとうもろこしに歓喜の声をあげた人も多いだろう。「大人がとうもろこしを楽しむのなら、ちょっと頑張って揚げてみませんか? とうもろこしのフリットは格別のごちそう。ビールと合わせたら最高です。少々手間はかかりますが、その甲斐がありますよ。もう一品は私の定番、とうもろこしとスペアリブのスープ。材料も作り方もとてもシンプルですが、とうもろこしの芯からは驚くくらいおいしい出汁が出ます。冷たく冷やしてもいいし、お酒を飲んだ時の締めにもいいですね」(平野さん)
レシピ1:とうもろこしのフリット
とうもろこしを板状にして、カリっとした薄衣で揚げる。夏だからこその揚げ物には、とっておきのクラフトビールを合わせてぐびり。
<材料 2~3人分>
とうもろこし1本、薄力粉大さじ2、オリーブオイル大さじ1、水30〜40ml
<作り方>
1 蒸し器に水を入れ、皮付きのままのとうもろこしを入れて中火にかけ、沸騰してから10分を目安に蒸す。蒸しあがったら、冷蔵庫に入れて1時間以上冷やす。蒸す代わりに、ゆでる、またはレンジ加熱してもいい。
2 長さを3等分にし、実が板状になるように切り落とす。
3 ボウルに薄力粉、オリーブオイルを入れて混ぜてから、水を加え混ぜる。
4 2のとうもろこしを3にくぐらせて、180度の油で揚げる。
レシピ2:とうもろこしとスペアリブのスープ
味つけは塩だけ。とうもろこしの芯から出る出汁とスペアリブとの組み合わせは、旨味たっぷり。澄んだスープの味は暑い日の体に染み込んでいく。
<材料 4人分>
とうもろこし2本、スペアリブ8本、水2リットル、塩小さじ2〜
<作り方>
1 とうもろこしは1本を4等分、さらに縦半分に切る。スペアリブは沸騰した湯に入れてさっとゆでる。
2 鍋にスペアリブと塩、水を入れて、30分煮る。とうもろこしを入れてさらに10分煮る。塩で味をしっかりめに調味する。できればひと晩おくといい。スープは温かくても、冷たくても。肉には塩、クミンシードなどにつけていただく。
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人気急上昇中のバテレ醸造所は奥多摩にある小さな醸造所。少量生産で様々なスタイルのビールを作っている。通常のIPA(ホップを大量に使用してつくられる苦みが強めのビール)は数種類のホップを使うことが多いが、ニュージーランド産の1種のホップを使うことで香りが一直線に伸びる。「濁りのあるIPA。ワインもビールも濁りのあるものが好きです。苦味控えめでジューシーな格別な味。こんなビールでとうもろこしを味わえるのは大人の特権ですね」(平野さん)
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平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。
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