季節の野菜が持つ本来の美味しさを引き出すことを知り尽くしている料理家・平野由希子さんが、いま食べたい野菜で作る魅惑のお料理と、相性のよいお酒のペアリングを、時代のトレンドに合わせた視点で提案。連載第39回は、山椒の若芽である「木の芽」とクラフトジンのとびきり粋な組み合わせ!

BY YUKIKO HIRANO

画像: 木の芽&パリ発クラフトジンの香りの競演!

木の芽&パリ発クラフトジンの香りの競演!

 目に青葉、新緑の美しい季節。山椒の若芽である「木の芽」も青々と茂る頃だ。山椒はジャパニーズハーブの代表格。初夏には未熟な青い実の青山椒、秋には完熟した実山椒、粉山椒が用いられる。木の芽といえば和食のあしらいに使われることが多いが、今回はその木の芽が主役に。「木の芽をたっぷり使う料理には、クラフトジンを合わせることにしました。クラフトジンはボタニカルなお酒。芽吹くものとの相性は、とりわけいいと思います。一緒に味わうと木の芽の爽やかな香り、ほんのりとしたスパイシーさが広がりますよ」(平野さん)。合わせるジンは、パリ唯一の蒸留所でつくられているものだという。さてさて、口中でどのような香りが広がるのだろうか。

レシピ1:しらすと木の芽のタルティーヌ

木の芽の香気成分がオリーブオイルに溶けこみ、レモンやケーパーの風味をまとう。ジンと合わせることでその香りがさらに高まる!

画像: しらすの塩気とレモンの酸味、木の芽の上品なスパイシーさが後をひく

しらすの塩気とレモンの酸味、木の芽の上品なスパイシーさが後をひく

<材料 5枚分>
バゲット(スライス)5枚、しらす50g、木の芽15〜20枚、ケーパー(塩漬け)大さじ1、オリーブオイル大さじ2、レモン汁大さじ1

<作り方>
 スライスしたバゲットは、オーブントースターで薄く色づくまで焼く。
 木の芽は葉を外して、粗く刻む。ケーパーは水に浸けて塩抜きし、粗く刻む。
 しらすにオリーブオイル、レモン汁、を加え混ぜる。
 バゲットの上に3をたっぷりと乗せる。

画像: ジンソーダにも木の芽を浮かべて

ジンソーダにも木の芽を浮かべて

木の芽のジェノベーゼ

ペーストにしてみると、木の芽の繊細で風味豊かな香りを再発見できる。パスタに絡めて新緑を味わおう。

画像: 木の芽ペーストは、たけのこのグリルや牛ステーキに合わせても

木の芽ペーストは、たけのこのグリルや牛ステーキに合わせても

<材料 2人分>
ショートパスタ(カザレッチェなど)120g、じゃがいも小1個、さやいんげん10本、木の芽適量
A [木の芽10g、にんにく1/3かけ、パルミジャーノチーズ20g、くるみ20g、オリーブオイル大さじ5、塩小さじ1/3]

<作り方>
 木の芽の葉を外す。そのほかのAの材料をミキサーにかけてなめらかになったら、木の芽を加えてペーストにする。
 じゃがいもは1センチ幅の棒状に切る。さやいんげんは3〜4等分長さに切る。
 塩を加えた湯で、パスタをゆでる。じゃがいもは10分、さやいんげんは8分ゆでる(じゃがいもと、さやいんげんは、パスタの表示時間に合わせて途中で加えて一緒にゆでる)。
 ゆであがったの大さじ5で和える。器に盛り、木の芽を散らす。

画像: 少量作る場合にはすり鉢を使用しても。2週間程度保存可能

少量作る場合にはすり鉢を使用しても。2週間程度保存可能

【今月のお酒セレクト:ディストレリ・ド・パリ】

画像: PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

 パリで作られている唯一のクラフトジン。ベルガモット、フレッシュコリアンダーなどを組み合わせた独自のブレンドだ。元は調香師をしていたオーナーが手がけるジンは「飲む香水」とも称される。「芳醇な香りが溶け込んだ液体は滑らかで、美しい味。決して香りが強過ぎることはありません。料理に合わせることでまた香りが広がります。木の芽が新しい香りを紡いでくれたように感じます」(平野さん)

平野由希子さんがナチュラルワインの定期便を開始!

画像: 平野由希子さんがナチュラルワインの定期便を開始!

平野由希子さんが主宰する料理教室cusine et vin が、ナチュラルワインの定期便コースを開始。隔月にワイン5~6 本、もしくは3本のスパークリングワインが届くメンバーシップコースで構成。お届けするワインにはどんな料理が合うか、などの情報も一緒に送ってくれる。
「空前のナチュラルワインブームですが、自分で選べないという方も多くいます。不安定な部分もあるナチュラルワインはワインの状態、ボトルを空けるタイミングもとても大切です。私とスタッフが試飲をして心からおいしいと思ったワインだけをセレクトしてお届けします」と平野さん。
「週末ごはん会に合うワインを選んでほしい」「ナチュラルな野菜料理に合うワインが飲みたい」などのリクエストにもお応えできるオーダーメード感覚のコースを目指しているのだそう。

定期便の公式サイトはこちら

猫と旅した南仏での3週間を詰め込んだ、平野さんの新著が発売中

「カブルスピーヌ村は、南仏にある人口100人ほどの小さな村。カフェもなければスーパーもパン屋もない。何にもないけど、雄大な自然とたくさんの猫に出会える美しいところ。そんな村を愛猫クミンとともに訪問してみた」ーー

 平野由希子さんが、愛猫のクミン君とともに訪れた南フランスでの3週間。築1000年の石造り古民家に滞在しながら、羊肉料理やカスレ、朝どれのさやいんげんサラダなど、新鮮な素材を使った絶品料理に舌鼓を打ち、地元の人々や近所の猫と触れ合い、自然豊かな田舎を満喫する、まるで夢のような時間を詰め込んだ一冊。ペットとともに飛行機旅をするための役に立つ情報も満載!

画像: 『南フランス 猫と旅する美しい村<私のとっておき>シリーズ50』 著者:平野 由希子 ¥2,090 産業編集センター刊

『南フランス 猫と旅する美しい村<私のとっておき>シリーズ50』
著者:平野 由希子
¥2,090
産業編集センター刊

平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。
公式サイトはこちら

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