文豪たちには、なぜか大の甘党ぞろい。書評家の石井千湖が、文豪とお菓子のただならぬ関係をひもとく。今回は、宇野千代の作風にも気風にも魅了された、故郷・岩国のお菓子屋さんが、愛をこめて作る「岩国銘菓 いが餅」をご紹介

BY CHIKO ISHII, PHOTOGRAPH BY MASANORI AKAO, STYLED BY YUKARI KOMAKI

画像: 「故郷のいが餅をおなかいっぱい食べたい」という作家の発言を知り一念発起、消えかけていた郷土菓子を試行錯誤を重ねて復元したのがこちら。地元産うるち米ともち米を使用。華やかな見た目にさらりとした甘味が宇野の心映えを彷彿させる。「岩国銘菓 いが餅」1 個¥162・10個入り¥1,900 桜庵 三木屋 住所:山口県岩国市今津町1 -6-6 TEL.0827-21-3064 https://miki-ya.jp/

「故郷のいが餅をおなかいっぱい食べたい」という作家の発言を知り一念発起、消えかけていた郷土菓子を試行錯誤を重ねて復元したのがこちら。地元産うるち米ともち米を使用。華やかな見た目にさらりとした甘味が宇野の心映えを彷彿させる。「岩国銘菓 いが餅」1 個¥162・10個入り¥1,900

桜庵 三木屋
住所:山口県岩国市今津町1 -6-6
TEL.0827-21-3064
https://miki-ya.jp/

『幸福は幸福を呼ぶ』(集英社文庫)などのポジティブな生き方で知られ、NHK朝の連続テレビ小説『ブラッサム』(2026年度後期放送予定)のヒロインのモデルとしても注目を集める宇野千代は、料理上手で食べることが大好きだった。自伝『生きて行く私』で〈餡あんこの入った小さな餅の上に、赤、黄、青と色とりどりに染めた飯粒をぱらぱらとのせたもので、私の大好きな餅菓子〉と語っているのが、故郷・岩国の銘菓いが餅だ。少女時代の宇野は、いが餅屋で初めて会った伯母の家に嫁入りすることになる。いが餅屋は、ほんの10日ほどで終わった結婚の思い出と結びついている。芸者の置屋を営んで成り上がった家の娘と、才気を見込まれてその家の養子になった植木屋の息子、いが餅屋の盲目の娘の三角関係を描いた小説『水西書院の娘』(中公文庫)もいい。カラフルで愛らしい毬いがのついた和菓子が、波瀾万丈な恋の話を彩る。

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