季節の野菜が持つ本来の美味しさを引き出すことを知り尽くしている料理家・平野由希子さんが、季節ごとの旬の野菜で作るお料理と、相性のよいお酒のペアリングを、時代のトレンドに合わせた視点でナビゲート!

BY YUKIKO HIRANO

  1. 夏におすすめのレシピ

夏におすすめのレシピ

なすのレシピ×熟成ビール

 香ばしい焼きなす、艶やかな茄子紺の揚げ浸し、糠漬け、味噌炒め……なすは多彩な方法で調理され、古来より愛されている夏野菜だ。夏に採れる野菜「夏の実」から「なすび」になり「なす」と呼ばれるようになったとも言われている。「花椒をぴりりと効かせた揚げ物、仕上げにバルサミコ酢を加えた煮物と、お酒のすすむおかずに仕立てました。『冷たいビールを』という声が聞こえてきそうですが、やっぱりワインも捨てがたい。そこで、ピノ・ノワールの澱を使用して作られたフランス・ジュラのビールを合わせてみました。ビールもワインも飲みたい気持ちを満たす欲張りなセレクトです」(平野さん)

■レシピ1:なすの山椒揚げ

カリッとした衣の中のジューシーななすに、痺れる辛さの花椒と唐辛子でビールがすすむ!

画像: 衣に油を入れて作るのが平野流。誰でも失敗なくカリッと揚げられる

衣に油を入れて作るのが平野流。誰でも失敗なくカリッと揚げられる

<材料 2人分>
なす2本、米油 塩小さじ1/2
A [薄力粉大さじ3、米油大さじ1と1/2、水大さじ3]
B [にんにく、しょうが各1かけ(みじん切り、赤唐辛子1本(種をとり小口切り)、花椒小さじ1)

<作り方>
1  なすは皮を縞目にむき、1センチ厚さに切る。
2 ボウルにAの薄力粉、米油を入れてよく混ぜ、そこに水を加えて衣を作る。
3 の衣になすを加えて衣をつけ、180℃に熱した油でカリッとするまで揚げ、バットにあげて油を切る。
 フライパンに米油大さじ1/2、Bを入れて弱火にかけて香りを出す。のなす、塩を加えてからめる。あれば花椒パウダー、ティムールペッパーなどを加えるといい。

■レシピ2:なすの田舎煮 バルサミコ風味

焼きつけたなすを水と醤油で煮て、仕上げにバルサミコ酢。シンプルな味付けなのに、なすと油の相性で旨みとコクが生まれる。

画像: 温かくても冷たくても。作り続けたいおかずのひとつ

温かくても冷たくても。作り続けたいおかずのひとつ

<材料 2~3人分>
なす3個、にんにく1かけ、オリーブオイル大さじ3、醤油大さじ1、水大さじ3、バルサミコ酢大さじ1、みょうが2個(小口切り)、青じそ5枚(千切り)

<作り方>
 なすは縦半割りにし、皮目に斜めに細かく切り込みを入れる。にんにくは半分に切り、芽を取ってつぶす。
 フライパンにオリーブオイル、にんにくを入れて熱し、なすの皮目を下にして焼く。なすの色が鮮やかになったら、返して反対側も焼く。
 水、醤油を入れてふたをして5分煮る。仕上げにバルサミコ酢を加えて水分を飛ばすようにして煮る。
4 器にを盛り、みょうが、青じそをのせる。

【お酒セレクト:ブラスリー ルヴァン マセラシオン ピノ・ノワール】

画像1: PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

 ジュラの偉大なワインメーカー、ステファン・ティソを父に持つエリック・ティソが手がける熟成ビール。ステファン・ティソのワインの澱、絞り滓とともにオーク樽で自然発酵。賞味期限はなんと10年!「しっかりとした酸味と赤系果実の味わいがします。ビールなのに、ピノ・ノワールを感じる味わいに驚きました。クラフトビールとナチュラルビールの交差点に存在する唯一無二のビールです」(平野さん)

       

みょうがのレシピ×日本の赤ワイン

 日本の夏。なくてはならない夏の薬味が、みょうがだ。みょうがは日本だけで食される数少ない食材のひとつ。「他のものでは代用が効かない食材ですね。昔、フランスに住んでいた時に食べられなくて辛かったのが、みょうがでした。盛夏には大ぶりになり値段も安くなります。今回は薬味としてだけでなく、みょうがが主役の料理もご紹介しますね。もちろん、みょうがの風味を生かすようなお酒とともに」(平野さん)。

■レシピ1:カツオのみょうがソース

みじん切りにしたたっぷりのみょうがに合わせるのは、バルサミコ酢や黒オリーブ。豊かな香りのソースをカツオにかけて、少し冷やしたマスカットベリーAを。みょうがと赤ワインのアロマが口いっぱいに広がる幸せをどうぞ。

画像: 三陸の海沿いの赤ワインはミネラリーで海産物との相性が秀逸。たっぷりのみょうががそこに爽やかな香りを添えてくれる

三陸の海沿いの赤ワインはミネラリーで海産物との相性が秀逸。たっぷりのみょうががそこに爽やかな香りを添えてくれる

<材料 2人分>
カツオ1/2さく、みょうが3本、生姜1かけ、黒オリーブ6個、青ねぎ3本
A [オリーブオイル大さじ1、バルサミコ酢大さじ1と1/2、醤油大さじ1]
塩、黒こしょう

<作り方>
 カツオは食べやすく切り、皿に並べる。
 みょうが、生姜、オリーブ、はみじん切りにする。青ねぎは小口切りにして、[A]を混ぜ合わせたものに加え混ぜ、にかける。

■レシピ2:みょうがの味噌チーズ焼き

こんがり焼いた熱々のはちみつ味噌がみょうがに染み込んだ、大人の夏のおつまみ。味噌とマスカットベリーAの相性は抜群で、鉄板の組み合わせだ。

画像: シャキシャキのみょうがは、焼くと驚くほどジューシーに。熱々のところをがぶりとかじって味わおう

シャキシャキのみょうがは、焼くと驚くほどジューシーに。熱々のところをがぶりとかじって味わおう

<材料 2人分>
みょうが3個、味噌大さじ1、はちみつ小さじ2、溶けるタイプのナチュラルチーズ適量

<作り方>
 味噌とはちみつを混ぜ合わせる。
 みょうがを半割りにして、を塗り、チーズをのせて、オーブントースターでこんがりとするまで焼く。

【お酒セレクト:神田葡萄園 ルージュ2022】

画像2: PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

 岩手県陸前高田に位置する神田葡萄園。創業1905年の葡萄園は東日本大震災で甚大な被害を受けたが、ワイン作りを再開。リアス式の海岸に面しているテロワールを生かしたワインを産している。ぶどうはマスカットベリーAを主体にヤマソーヴィニヨン・ツヴァイゲルトをブレンドしている。「このワインを飲んだ時、すぐにイメージした食材がカツオでした。潮風に吹かれたぶどうがそんな味を作り出します。日本の食材に合うワインを生産する、これからが楽しみな葡萄園です」(平野さん)

    

きゅうりのレシピ×芋焼酎

 じっとりとした日本の暑い夏。夏真っ盛りには、水分たっぷりのきゅうりをパリンッと食べたくなる。昭和のきゅうりは両端に苦味があったが、現在では改良が進み、皮は薄く歯切れも風味も良くなった。品種も一般的な白イボきゅうり、四葉きゅうり、四川きゅうり、イボなしのフリーダム、加賀太きゅうりなど様々なものが手に入る。「大のきゅうり好きなので、夏は毎日1本食べています。ちょっと酸っぱくなったきゅうりのぬか漬けにオリーブオイルを回しかけたものでシャンパーニュを飲むのは私の定番。夏のお酒できゅうりのつまみ、暑さを忘れる時間ですね。今回はミントのような爽やかさを持った芋焼酎に合わせてみましょうか」(平野さん)

■レシピ1:きゅうりと豚肉の酢醤油炒め

きゅうりのパリッとした歯ごたえに、ピリリと花椒を効かせた豚肉の酢醤油炒めで焼酎をぐびっと。

画像: フルーティな芋焼酎はオンザロック、ソーダ割りで。豚肉料理と芋焼酎の鉄板の相性にミントの風味がふわっと香る

フルーティな芋焼酎はオンザロック、ソーダ割りで。豚肉料理と芋焼酎の鉄板の相性にミントの風味がふわっと香る

<材料 2〜3人分>
きゅうり2本、豚バラ薄切り肉(厚めのもの)200g、にんにく1かけ、唐辛子1本、花椒小さじ1 A [酒、醤油各小さじ1]  B [酢大さじ2、砂糖小さじ2、醤油大さじ1、ごま油少々]

<作り方>
 きゅうりは瓶やめん棒などで叩いてから、ざく切りにする。豚バラ肉は食べやすく切り、[A] をもみ込み、下味をつけておく。
 フライパンにごま油、つぶしたにんにく、赤唐辛子、花椒を入れて熱す。香りが出てきたら、豚バラ肉を加えて、こんがりとした焼き色がつくまで炒める。
 きゅうりを加えて炒め、油が馴染んだら、[B] を加え、調味料がほぼなくなるまで炒める。

■レシピ2:きゅうり寿司

みょうがや青じそなど夏の薬味とともに、きゅうりをたっぷり加えたちらし寿司。しゃきしゃきの歯ごたえが涼を呼ぶ!

画像: 爽やかな薬味と、きゅうりたっぷりのお寿司にクールな焼酎。暑い日にこそ食べたい極上の組み合わせだ

爽やかな薬味と、きゅうりたっぷりのお寿司にクールな焼酎。暑い日にこそ食べたい極上の組み合わせだ

<材料 2合分>
米2合、きゅう2本、みょうが3本、青じそ10枚、しらす50g、A [米酢大さじ3、砂糖大さじ1、塩小さじ1]

<作り方>
 米はかために炊く。[A] は混ぜ合わせておく。
 米が炊き上がったら飯台、または大きなボウルなどに移し、熱いうちに[A] を加え混ぜ、うちわであおいで冷ます。
 きゅうりは薄切りにし、塩小さじ1/2をふって10分置き、水気を絞る。みょうがは薄切り、大葉は千切りにする。
 酢飯に、しらすを加え混ぜる。

【お酒セレクト:国分酒造 芋焼酎クールミントグリーン】

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PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

涼しげなペンギンラベルの焼酎は米麹と“鹿児島香り酵母1号"を使って減圧蒸留して作られた新しいスタイルの焼酎。「口に含むとミントのような爽やかな甘さを感じます。芋焼酎の香りが苦手な方にも、芋焼酎好きの方にも、どちらにもおすすめしたいですね。口当たりよくついつい飲み過ぎてしまうのが難点ですが。夏野菜たっぷりのフレンチにも合いそうです」(平野さん)

   

新生姜のレシピ×日本のクラフトジン

 初夏の薬味の定番・新生姜は、梅雨の季節を憂う頃に旬を迎える。収穫して直後の生姜は、先端に鮮やかな紅い茎をつけて色白だ。細長く、肌は美しく食感もなめらか。「採れたての新生姜は、みずみずしくて辛味も穏やか。たっぷりと使いたいですね。日本の夏の料理には、日本のクラフトジンを合わせてみましょうか」(平野さん)
 今回のお酒のセレクトは高知の司牡丹酒造による「マキノジン」。植物学者・牧野富太郎博士が亡き妻、寿衛子夫人の名を付けた「スエコザサ」をキーに生姜など12種類のボタニカル原料を使用。「柑橘とウッディな香りのジンは、食事と一緒に楽しむのにほどよい爽やかさ。土佐の緑や自然に思いを馳せるような味わいです。料理と合わせるとスーっとした爽やかさが重なり合い、口の中に心地良さが広がっていくようです」(平野さん)

■レシピ1:新生姜のピクルス

みょうがと共に漬けた甘さ控えめのピクルスは、さっぱりとした初夏の味。漬け込むと薄紅色に全体が変わっていく様もまた美しい。

画像: 薄切りにしたものは翌日が食べ頃に、ブロック状のものは数日後が食べ頃になる

薄切りにしたものは翌日が食べ頃に、ブロック状のものは数日後が食べ頃になる

<材料 作りやすい分量>
新生姜300g、みょうが3本 A [白ワインヴィネガー1/2カップ、水1カップ、砂糖大さじ2〜3、塩小さじ2/3、ローリエ1枚]

<作り方>
[A]の調味液をひと煮立ちさせ、粗熱がとっておく。
新生姜はたわしで皮を洗い、半分は薄切り、半分は小さめの固まりのまま使う。みょうがは縦半分に切る。湯を沸かし、10秒程度さっとゆで、ざるにあけ、冷ます。
を入れて漬け込む。翌日くらいから食べられる。

■レシピ2:新生姜と豆もやしのナムル

シンプルな塩味のナムルにたっぷりと新生姜を加えたレシピ。しゃきしゃきの食感と新生姜の鮮烈な香りが爽やかで、飽きのこないおいしさ。

画像: 食べ慣れたナムルに新生姜が加わるだけで、新鮮で贅沢な大人のための味わいに

食べ慣れたナムルに新生姜が加わるだけで、新鮮で贅沢な大人のための味わいに

<材料 作りやすい分量>
新生姜50g、豆もやし1袋 A [ごま油大さじ1、すりごま大さじ2、塩小さじ1/2]

<作り方>
新生姜はたわしで皮をこすって洗い、繊維に沿って千切りにする。
鍋に豆もやしとひたひたになるくらいの水、塩を入れて、蓋をして火にかける。沸騰したら弱火にして3分ゆで、ざるにあげて水気を切る。
を[A]で和える。

【お酒セレクト:司牡丹酒造 マキノジン】

画像4: PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

 高知県佐川町出身の世界的植物学者、牧野富太郎博士にちなんだ「マキノジン」。司牡丹酒造の一角は、かつて博士の生家があった場所。この地を「マキノ蒸留所」と名付け、高知県産のグアバや柑橘などを使用してジンを製造。「日本のボタニカル素材を使ったジンは飲み疲れせず、食中酒に最適な味わいです。土佐料理など和食にも合うでしょうし、夏の間じゅう飲んでしまいそうです」(平野さん)

    

トマトのレシピ × 辛口のスパークリングワイン

 一年を通して手に入るトマトは、もともとはアンデス地方が原産で高温多湿の気候には向いていないとされていたが、現在は品種改良が進み、どの季節でも美味しいものが出回っている。加熱することと、オリーブオイルを合わせることで、トマトに含まれる抗酸化作用をもつリコピンの吸収率が、生で食べるよりもグンと高まる。「今回のレシピは大玉トマト、ミディトマト、フルーツトマトなど、手に入るものでOKです。何種類かまとめて焼いて、味わいの違いを楽しんでもいいですね」(平野さん)

■レシピ1:作り置きができる万能の「焼きトマト」

 トマトを焼くことで、水分が飛んで旨味と甘みが凝縮され、しかもリコピンの吸収率もアップ。作り置きしておけば、このあと紹介する「トマト&ブラータ」「トマトのブルスケッタ」もすぐに仕上げることができる。また、リゾットや、焼いた肉や魚のソースにも応用できる。

<材料>
トマト、フルーツトマトなど 適量

<作り方>
 トマトはヘタを切り、半割りにして、150度のオーブンで50〜1時間焼く。
 冷蔵庫で冷たくしておく。

■レシピ2:トマト&ブラータ

「焼きトマト」にブラータチーズを盛り合わせて調味料をかけるだけ。プルンとしたフルーツのような口あたりのトマトと濃厚なブラータが溶け合った、夏らしさいっぱいのみずみずしいアンティパスト。

画像: ジューシーなトマトの甘みがクリーミーなブラータと相まって、まるでデザートのような幸せな味わいに

ジューシーなトマトの甘みがクリーミーなブラータと相まって、まるでデザートのような幸せな味わいに

<材料2〜3人分>
焼きトマト3個分、ブラータ1個
A[オリーブオイル大さじ1、バルサミコ酢大さじ1、塩・こしょう各少々]

<作り方>
 皿にトマトを並べ、ブラータと盛り合わせる。
 Aを混ぜ合わせたものを回しかける。**

■レシピ3:トマトのブルスケッタ

焼きトマトの旨味をバジルが引き立て、さらにパンに塗ったニンニクの香りが広がって奥深い味わいに。パンはカリッと焼くのが美味しく仕上げるコツ。そこにトマトの汁とオリーブオイルが染みわたり、“カリカリ”と“ジンワリ”の食感の組み合わせを楽しんで。

画像: 真っ赤なトマトにバジルのグリーンが映える鮮やかな一皿は、これからの季節にぴったり

真っ赤なトマトにバジルのグリーンが映える鮮やかな一皿は、これからの季節にぴったり

<材料2人分>
レシピ1の焼きトマト2個分、オリーブオイル大さじ2、塩・こしょう各少々、バジル適量、パン(バゲットなど)4枚分、ニンニク適宜

<作り方>
 焼きトマトをざく切りにしてオリーブオイル、塩、こしょうで和えておく。
 パンはトースターでカリッと焼き、熱いうちにニンニクの切り口をしっかりとこすりつける。
 1にバジルをちぎって加え、2の上に汁ごとたっぷりとのせる。

【お酒セレクト:辛口のランブルスコ】

画像5: PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

 ランブルスコはイタリアのエミリア・ロマーニャ州で作られているスパークリングワイン。「真っ赤なトマト料理とランブルスコは、ハッピーな組み合わせですね。甘口タイプが多いのですが、トマト料理には辛口がおすすめ。写真の『コイ ディ フラヴィオ レスターニ』のランブルスコは、樹齢50年を超えるブドウから作られたもの。きめ細かく豊かな味わいは、濃厚なトマトやバルサミコの味を引き立ててくれます」(平野さん)

   

水茄子のレシピ × スプマンテ

 世界中で1,000種類以上あると言われる茄子だが、たっぷりとした水分をたたえ、果物を思わせる甘味のある水茄子は、世界に誇れる茄子の王様だ。「水茄子と言えば、まず思い浮かぶのは糠漬け。水茄子を手で引き割きながらお酒を飲むのは、夏ならではの愉しみです。そしてぜひ試してもらいたいのが揚げ物。揚げ茄子の美味しさは日本人なら誰もが知るところですが、水茄子で作ってみれば別次元の料理に。カリカリの衣に包まれたとろとろの身からは、茄子の汁が滴り落ちる。熱々をほおばり、火傷しそうになりながら、冷たいプロセッコ(イタリア北東部で造られるスプマンテ)で口の中を冷やす──これぞ、夏の至福のひとときです」(平野さん)

■レシピ1:水茄子のフリット

 ひとくち噛んだときにジュワッと汁があふれるように、大ぶりに4等分に切るのがコツ。揚げたてのところに生ハムをのせて、脂が溶けてきたところをがぶりとやる。むいた皮は素揚げにし、セージも一緒にフリットに。水茄子1個でプロセッコが1本空いてしまいそう。

画像: 「オリーブオイルを加えた衣は、失敗なくカリッと揚げられます」(平野さん)

「オリーブオイルを加えた衣は、失敗なくカリッと揚げられます」(平野さん)

<材料2人分>
水茄子1個、薄力粉大さじ2、オリーブオイル大さじ1、水30〜40ml、セージ2枝、生ハム適量、揚げ油適量

<作り方>
 水茄子はへたを切り落とし、4等分にし、皮をむく。
 ボウルに薄力粉とオリーブオイルを加え混ぜてから、水を加えてさらに混ぜる。
 油を140〜150度に熱し、茄子の皮を入れて素揚げする。3〜4分かけてカリッとするまで揚げる。揚げ油を170度にあげ、水茄子、セージを衣にくぐらせて揚げる。衣が少し色づくくらいを目安に3〜5分かけて揚げる。
 生ハムと共に盛り合わせ、茄子に生ハムをのせていただく。

■レシピ2:水茄子のマスタード和え

 生の水茄子は、梨のような清涼感のあるほんのりとした甘さが味わえる。手で割いたら、やさしく塩揉みしてディジョンマスタードで和えれば、酸味の効いた辛子和えに。たっぷりのみょうがと青じそで、夏らしい香りとシャキッとした歯ごたえも加えよう。

画像: 「ディジョンマスタードは辛さを加えるのではなく、酸味を加える調味料。これで野菜を和えるだけで、ワインのための簡単浅漬けになります」(平野さん)

「ディジョンマスタードは辛さを加えるのではなく、酸味を加える調味料。これで野菜を和えるだけで、ワインのための簡単浅漬けになります」(平野さん)

<材料2人分>
水茄子1個、塩少々、ディジョンマスタード大さじ1、オリーブオイル大さじ1、醤油小さじ1、みょうが1個、青じそ5枚

<作り方>
 水茄子のヘタを切り落とし、包丁で切り目を入れて、食べやすい大きさに手で割く。みょうがは小口切り、青じそは千切りにする。
 水茄子を塩でもやさしく揉む。少し置いてしんなりとさせる。絞りすぎないように軽く水気を絞る。
 ディジョンマスタード、オリーブオイル、醤油で水茄子を和え、みょうが、青じそを加え混ぜ、器に盛る。

【お酒セレクト:ZAGO procecco on the less(ザーゴ プロセッコ オン ザ レス)】

画像6: PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

 プロシュートのお供としてもおなじみのプロセッコ。価格が手頃なのはいいが、品質はピンキリだ。「シャンパーニュ好きの私にとっては正直、触手の動かない泡なのですが、ZAGOは信頼を置いているプロセッコです。800年代の伝統的製法で自然酵母を使い、瓶内二次発酵。“オン ザ レス”とは澱引きをしていないという意味。発酵を継続させることにより、リンゴや梨のような豊かな風味が漂います。果物のような水茄子に合わせるのが、今年の夏のお気に入り」(平野さん)

   

青パパイヤのレシピ × クラフトジン

 青パパイヤといえばすぐに思い浮かぶのはタイのサラダ「ソムタム」だが、近年、国産青パパイヤが増えているのはご存知だろうか。「青パパイヤは消化・代謝をアップして免疫力を高める酵素の含有量が野菜と果物の中で最も多く、『酵素の王様』とも呼ばれるスーパーフード。無農薬栽培が可能で、高いところに実がつくので獣害に晒される危険も少ない。そんな要因が重なり青パパイヤ栽培に乗り出す農家は各地で増え、日本の田園風景の中にパパイヤ畑が出現しているのだそう。こうした背景をもつ作物は消費者として応援をしていきたいですね。新しい野菜や果物は食卓に浸透するのがなかなか難しいけれど、青パパイヤは生でよし、煮ても炒めてもいい。エスニック料理でビールもいいけれど、今回はクラフトジンを合わせることで、青パパイヤの魅力に迫ります」(平野さん)

■レシピ1:青パパイヤときゅうり、ハムのサラダ

青パパイヤのサラダに合わせるのは、コリアンダーやオレンジピールが香るトスカーナ産のスペシャルなオーガニックジン。「マヨネーズやタルタルソースにジンを加えるのは私のお気に入りの手法。今回は、あえてサラダはシンプルに作り、ジンが調味料の代わりとなるようなペアリングです」(平野さん)。一見ありふれた料理に見えるけれど、予想を裏切ることを約束しよう。これぞ、大人の野菜と酒の楽しみ方だ。

画像: エスニックにしがちな青パパイヤだが、ハムときゅうりを加えたシンプルなサラダに。そこにジンを合わせることで深みのあるハーブのような香りが広がり、真夏にぴったりの味わいが生まれる

エスニックにしがちな青パパイヤだが、ハムときゅうりを加えたシンプルなサラダに。そこにジンを合わせることで深みのあるハーブのような香りが広がり、真夏にぴったりの味わいが生まれる

<材料2〜3人分>
青パパイヤ1/2個、きゅうり1本、ロースハム3枚、マヨネーズ、ディジョンマスタード各大さじ1

<作り方>
 青パパイヤは皮をむき、種を取り除き、スライサーで千切りにし、水に10分さらす。きゅうり、ハムも千切りにする。
 をマヨネーズ、ディジョンマスタードで和える。

■レシピ2:青パパイヤと豚肉のナンプラー炒め

弾力のある歯応えが魅力の青パパイヤを、相性のいい豚肉とナンプラーで炒めものに。生姜を効かせた味わいはご飯にもビールにも合うが、ジンとの組み合わせは最強。「ジンが口中をさっぱりさせてくれるとともに、ジンのもつボタニカルな風味が料理に奥行きを与えてくれます。一口食べては、ジンをくいっと飲み、エンドレスのループが始まります」(平野さん)

画像: 青パパイヤは冬瓜の調理法が応用できる。エスニック素材との相性もいいが、ハーブを組み合わせてイタリアンやフレンチにも

青パパイヤは冬瓜の調理法が応用できる。エスニック素材との相性もいいが、ハーブを組み合わせてイタリアンやフレンチにも

<材料2〜3人分>
青パパイヤ1/2個、豚バラ薄切り肉150g、長ねぎ1/2本、生姜1かけ、赤唐辛子1本、ごま油大さじ1、塩、こしょう各少々 A<ナンプラー大さじ1、酒大さじ1、砂糖小さじ1>

<作り方>
 青パパイヤは皮をむき、種を取り除き、厚さ5ミリ程度のいちょう切りにする。長ねぎは斜め1センチ幅、生姜は千切り、唐辛子は種を取って半分に切る。豚バラ肉は食べやすい大きさに切り、塩、こしょうをふる。
 フライパンにごま油、生姜、唐辛子を入れて熱し、豚肉を炒める。色が変わったら、青パパイヤ、長ねぎを入れて炒め、パパイヤが透き通ってきたら、<A>の調味料を入れて炒める

【お酒セレクト:レヴァンテ・スピリッツ ジネプライオ ジン】

画像: PHOTOGRAPHS:COURTESY OF YUKIKO HIRANO

PHOTOGRAPHS:COURTESY OF YUKIKO HIRANO

 世界的に続くジンブーム。このトスカーナ産のジンは、なんとアンフォラで6ヶ月熟成させている。「アンフォラとは、古代ローマ時代からワインの醸造・貯蔵に使われてきたテラコッタ製の壷のこと。これで熟成させることで、よりエレガントな仕上がりになっています。トスカーナ産の7種の植物(ジュニパー、コリアンダー、アンジェリカルート、スイートオレンジピール、カレープラント、レモンピール、ドッグローズの花弁)でつくられた100%オーガニックのお酒で、シトラスの余韻のある風味が特徴的です」(平野さん)

   

スナップえんどうのレシピ×スパークリングワイン

 肉厚の食感と甘さがあとを引き、ゆでるだけでおいしいスナップえんどう。グリーンピースをさやごと食べられるように改良された人気の野菜だ。「おつまみには歯ごたえは大事な要素。パリッとしたスナップえんどうの食感に合わせて、軽やかな泡を。お酒が進むようにディップを添えたり、アンチョビでソテーしました。初夏の日に肩の力をふっと抜いて楽しみたい、昼酒にぴったりな組み合わせです」(平野さん)。

■レシピ1:ゆでスナップえんどう&2種ディップ

豆腐でつくるヴィーガンマヨネーズと、ごま味噌ディップ。しっかりしたマヨ味と、こっくり味の2種類だけれど、どちらも罪悪感なしのヘルシーレシピ。たっぷりつけて味わいたい。

画像: 2種のディップは、きゅうりやアスパラはもちろん、パンにつけても相性抜群

2種のディップは、きゅうりやアスパラはもちろん、パンにつけても相性抜群

<材料 2人分>
スナップえんどう適量
木綿豆腐 1/2丁(150g)、A[オリーブオイル大さじ2、米酢大さじ1、白みそ大さじ1/2、砂糖小さじ1/2、塩小さじ1/2、こしょう少々、ディジョンマスタード小さじ1]
B[味噌大さじ3、すりごま大さじ2、ごま油大さじ1、生姜のすりおろし小さじ1、はちみつ小さじ2]

<作り方>
 スナップえんどうは両側の筋を取り、塩を加えた湯で1分半ゆでる。冷水にとって冷まし、水気をよく切る。切り口を下にしてふるようにして、中に入っている水分を切り、表面の水気を拭く。
 豆腐は120gになるのを目安にしっかりと重しをして水切りする。ボウルに入れて泡立て器でなめらかに混ぜ、A を加えてさらに混ぜる。
 Bの材料を混ぜる。
 スナップえんどうにを添える。

■レシピ2:スナップえんどうのアンチョビソテー

下ゆでなしの直炒め。にんにくとアンチョビをしっかり効かせて仕上げる。シンプルに野菜そのものを味わえる、飽きのこないおいしさ。

画像: しっかり炒めても歯応えよく仕上がるのが、スナップえんどうの魅力

しっかり炒めても歯応えよく仕上がるのが、スナップえんどうの魅力

<材料 2人分>
スナップえんどう200g、にんにく1かけ、アンチョビ3枚、オリーブオイル大さじ1、こしょう少々

<作り方>
 スナップえんどうは両側の筋を取る。にんにくは半分に切って、芽をとって潰し、アンチョビは粗みじん切りにする。
 フライパンにオリーブオイル、にんにくを入れて熱し、香りが出てきたらスナップえんどうを入れて中火で炒める。
 スナップえんどうの色が鮮やかになったら、アンチョビ、こしょうを加えて炒め合わせる。

【お酒セレクト:ボデガ・ヴィニフィカテ アモロ・ペットナット 2021】

画像7: PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

 スペイン・アンダルシアの海沿いでつくられたナチュラルなペットナット(ナチュラルなスパークリングワイン)は、パロミノ種でつくられたほんのりとオレンジがかった色調の白ワイン。「なんとも心地のいい泡。一口飲むと『ああ、おいしい』と言葉が出ちゃう。ミネラル感と洋梨のような果実の風味は健やかな野菜のおつまみにぴったり。野菜以外には魚介のフリットなどと合わせたいですね。あっという間に1本空いてしまいそうです」(平野さん)。

     

パプリカ×赤ワイン

 肉厚でカラフルなパプリカ。ピーマンもパプリカも、ともにナス科トウガラシ属に分類される野菜だが、未熟果のピーマンに対して、パプリカは完熟してから収穫される。「ピーマンは苦味がおいしいのですが、パプリカは甘味。それを最大限に生かすような加熱方法をしてみましょうか。じっくり焼いたり、トマトと一緒に煮込みます。そのおいしさを味わうためには赤ワインも欠かせませんね。赤いパプリカ料理と赤ワインの組み合わせはエネルギーをもらえるような気がします」(平野さん)

■レシピ1:パプリカのマリネ

オーブンでじっくり焼いたパプリカからは、甘い汁が滴り落ちる。とろりとした果肉を受け止めるのは、柔らかな旨味のカベルネ・フラン。

画像: まるで赤身のまぐろを思わせるような存在感!

まるで赤身のまぐろを思わせるような存在感!

<材料 2~3人分>
パプリカ(赤)2個、オリーブ油・バルサミコ酢各大さじ1、塩・こしょう各少々、バジル適宜

<作り方>
 パプリカは220度のオーブンで20〜30分、皮に焦げ色がつくまで焼く。
 ボウルに入れてふたをして5〜10分蒸らす。ボウルにざるをのせ、その上に半分に切ったパプリカをのせて皮、種をとり除く。ボウルにたまる焼き汁は取っておく。
 食べやすく切り、オリーブ油、バルサミコ酢、の汁を混ぜ合わせたものをかけ、バジルを散らす。

■レシピ2:ピペラド

 バスク風地方のパプリカとトマトの煮込み。卵を加えて柔らかいスクランブル風に仕上げ、生ハムを添える。卵なしでそのまま食べたり、鶏肉を加えたりとアレンジは自在。

画像: ピペラドとはバスク語で唐辛子の意味。パプリカと唐辛子で深みのある味に

ピペラドとはバスク語で唐辛子の意味。パプリカと唐辛子で深みのある味に

<材料 2~3人分>
パプリカ(赤・オレンジなど合わせて)1個分、トマト水煮缶1/2缶、玉ねぎ1/4個、にんにく1/2かけ、エスプレット(バスク風唐辛子)または赤とうがらし1本、卵2個、塩・こしょう各適量、オリーブ油大さじ1、生ハム適量

<作り方>
 パプリカは半分の長さにし、7ミリ程度の幅に切る。玉ねぎは薄切り、にんにくは半分に切り、芽をとってつぶす。
 鍋にオリーブ油とにんにくを入れて熱し、薄く色づいてきたら、パプリカを入れてしんなりとするまで炒める。トマト水煮、塩を加えて、ふたをして15分煮る。エスプレットを加えて、調味する(エスプレットを使わない場合には、にんにくを熱する時に赤唐辛子を加える)。
 卵は溶きほぐして、塩、こしょうを軽くする。2に加えて弱火でかき混ぜ、とろりとしたところで火を止める。生ハムを添える。

【お酒セレクト:ドゥ・ヴァン・オー・リアン カオス 2019】

画像8: PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

「絆のワイン」という名を持つ、2019年に立ち上げられたナチュラルワイン。ロワールのカベルネ・フランの畑仕事は全て馬によって耕されている。「ロワールのカベルネ・フランは未熟なものはピーマンのような香りがすることがありますが、このワインの熟した柔らかな丸みはじっくり加熱したパプリカの旨味に寄り添ってくれます。おいしい野菜とワインがあれば、豊かな時間が生まれますね」(平野さん)

   

ズッキーニのレシピ×白ワイン

 きゅうり、なすと並ぶ夏の定番野菜となったズッキーニ。実はかぼちゃの一種で、イタリア語では「小さなかぼちゃ」という意味を持つ。開花後1週間程度の未熟果を収穫して食べる。「淡白な味わいなので、どんな料理にも使いやすいですね。焼いても、煮ても、揚げても、生でもいい。今回は、白ワインが飲みたい日のズッキーニレシピ。にんにく、ハーブ、オリーブオイル、バターを合わせてワインがすすむズッキーニ料理を作りました。ズッキーニが1本あれば、ごちそうができますよ」(平野さん)

■レシピ1:ズッキーニのハーブパン粉焼き

切って和えて焼くだけの簡単レシピ。ジューシーなズッキーニがクリスピーなパン粉をまとった一品。爽やかな白ワインを合わせれば気分も上々!

画像: 仕上げにレモンをぎゅっと絞っても

仕上げにレモンをぎゅっと絞っても

<材料 2~3人分>
ズッキーニ1本、にんにく1かけ、タイム3〜4枝
A [オリーブオイル大さじ2、乾燥パン粉大さじ2、パルミジャーノチーズ大さじ2、塩、こしょう]

<作り方>
 ズッキーニを7〜8ミリの輪切りにする。にんにくはみじん切りにする。
 ボウルにを入れ、タイムの葉をしごいてボウルに加える。さらにAを加えて混ぜる。
 耐熱皿にを入れて、予熱した180度のオーブンで30分焼く。

■レシピ2:ズッキーニのステーキ

じっくり焼いたズッキーニは、ごちそう級の存在感。香ばしいレモンバターソースが染み込み、リッチな味わいに。

画像: 表面はこんがり、中はジューシー。ステーキと呼ぶにふさわしい野菜料理だ

表面はこんがり、中はジューシー。ステーキと呼ぶにふさわしい野菜料理だ

<材料 2人分>
ズッキーニ1本(200g)、塩3g、オリーブオイル大さじ1、バター20g、レモン汁大さじ1/2

<作り方>
 ズッキーニは縦半分に切り、切り口に格子状に切り目を入れて、塩をして30分置く。握るようにして水気を軽く絞り、表面の水気を拭く。絞った水分はとっておく。
 フライパンにオリーブオイル大さじ1を熱し、切り口を下にして、10〜12分、弱火でしっかりとした焼き色がつくまで焼く。ひっくり返し、反対側は2〜3分焼く。皿に盛り付ける。
 フライパンにバターを加えて熱し、ふわっと泡立ち、その泡が消えたところでレモン汁小さじ2、のズッキーニの汁を加えて火を止め、ズッキーニにかける。

【お酒セレクト:レ・ヴァン・モン・ヴァル プティット・ソヴァージュ2022】

画像9: PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

 カリニャン・ブラン100%の白ワイン。カリニャン・ブラン種は地中海特有の希少な品種。ラングドック地方の、わずか250ヘクタールのみで栽培されているという。「フレッシュな口当たりで、丸みのある味わい。伸び伸びとした気分になれるような白ワインです。レモンバターの風味との相性は格別。夏野菜料理のある食卓を爽やかに、心地良くしてくれるワインですね」(平野さん)。

    

ピーマンのレシピ×赤ワイン

 夏野菜の中でも身近な存在のピーマン。旬を迎え、艶よく重量感のあるピーマンが店先に並んでいる。「苦味や香りがピーマンの魅力。ときどき無性に食べたくなるナポリタンを、ピーマンが主役の料理にしてみました。あえてレトロでジャンキーな感じを残した、少し濃いめの味つけに。もう1品は、サルシッチャと合わせて生のピーマンをバリッと食べるレシピを。ビールも合いそうですが、こういう料理にこそ、ちょっといい赤ワインを合わせてみましょう。ラングドックの赤ワインの中でも名声を得ている“レオン・バラル”を選びました。ピーマン料理を格上げしてくれる大人の夏レシピ&ペアリングです」(平野さん)

■レシピ1:ピーマンたっぷりのナポリタン

ピーマン特有の青臭い風味、煮詰めたケチャップの甘酸っぱさを自然派ワイン特有の土っぽさ、野生味が包み込む至福の組み合わせ!

画像: 1人前に3個使用しているのでピーマンの美味しさがたっぷり!

1人前に3個使用しているのでピーマンの美味しさがたっぷり!

<材料 2人分>
スパゲッティ(極太麺がおすすめ)160g、ピーマン6個、玉ねぎ1/4個、にんにく1かけ、ソーセージ4本、トマトケチャップ大さじ6、ウスターソース大さじ1、オリーブオイル、塩、黒こしょう

<作り方>
 ピーマンは1センチ幅に切る。ヘタと種はつけたままでもよい。玉ねぎは薄切り、にんにくは半分に切り、芽をとってつぶす。ソーセージは2センチ程度の斜め切りにする。
 スパゲッティは塩を加えた湯でゆでる。
 フライパンにオリーブオイル大さじ1とにんにくを入れて熱し、香りが出てきたら、玉ねぎ、ソーセージを入れて炒める。
 ケチャップ、ウスターソースを入れて量が2/3くらいになるまで煮詰め、ピーマンを入れて炒め合わせる。
 ゆで上がったスパゲッティを加え混ぜ、器に盛り、オリーブオイル適量を回しかけ、黒こしょうを粗く挽いてふる。

■レシピ2:バリバリ生ピーマン&サルシッチャ

イタリア版の腸詰めのサルシッチャを、今回は簡単に手作りできるレシピにアレンジ。冷水に浸したフルーティーなピーマンと合わせると、バリッ!とした食感で夏の暑さを吹き飛ばしてくれるよう。

画像: ピーマンは、味が抜け過ぎないように水にさらすのは6時間程度

ピーマンは、味が抜け過ぎないように水にさらすのは6時間程度

<材料 2人分>
ピーマン3個、豚ひき肉250g、オリーブオイル
A [パセリのみじん切り大さじ1、ローズマリーのみじん切り小さじ1、クミンシード(ホール)、コリアンダー(パウダー) 各小さじ1/2、塩小さじ1/2 、黒こしょう(粗く挽いたもの)少々、にんにくのすりおろし少々]

<作り方>
 ピーマンは半割りにし、へたと種をとり、かぶるくらいの水につけて冷蔵庫で6時間冷やす。
 ひき肉にAを加え混ぜる。肉感が残るように練らずに混ぜる。
 を6等分し、空気を抜くようにして小判形に成形する。
 フライパンには油をひかずにを入れて中弱火で焼く。焼き色が付いたらひっくり返し合わせて5〜6分焼く。火を止めて2分置き、余熱で火を通す。
 ピーマンとサルシッチャを盛り合わせる。粒マスタード、アリッサなどを添える。

【お酒セレクト:レオン・バラル フォジェール・ジャディス2019】

画像10: PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

 レオン・バラルはフォジェールのテロワールを生かした唯一無二のワインを生産する造り手。凝縮感がありながらエレガントで奥行きのある味わいで、ナチュラルワインの愛好家だけでなく、伝統的なワインファンからも高い評価を得ている。「豊かな果実味、複雑なスパイシーさは今回の料理に驚くぐらいよく合います。大人ならではの夏の赤ワインの楽しみ方ですね」(平野さん)

   

冬瓜のレシピ×ナチュラルビール

 冬の瓜と書くが、旬は夏。冬まで日持ちすることから名付けられた名前だ。平安時代に編纂された最古の薬物辞典「本草和名」にも登場し、古くから日本人に愛されている。カリウムを豊富に含むのでむくみを解消し、高血圧にも効果が。さらに水分が多く低カロリーなので、夏に食べたい野菜のひとつだ。「透明感があり、皮を薄くむくと翡翠色が美しいですね。冬瓜の料理は目にも涼しく、体を冷やしてもくれます。おいしいビールと冬瓜で夏の暑さを凌ぎましょう」(平野さん)

■レシピ1:冬瓜の冷やしそうめん

鶏出汁をたっぷり含んだ冬瓜は夏のごちそう。梅、みょうが、青唐辛子の薬味が、爽やかさと味の深みをプラスする。

画像: そうめんを直接スープに入れて煮、温かいにゅうめんにしても

そうめんを直接スープに入れて煮、温かいにゅうめんにしても

<材料 2人分>
冬瓜300g、鶏もも肉1枚、酒大さじ3、ナンプラー大さじ1と1/2~2、醤油少々、生姜の皮1枚、青唐辛子1本、みょうが2個、梅干し2個、水1リットル、そうめん150g

<作り方>
 冬瓜は種とわたを取り除き、皮はピーラーで薄くむき、1センチ厚さのいちょう切りにする。鶏肉は一口大に切る。
 鍋に水、酒、冬瓜、鶏肉、生姜の皮、梅干しを入れて中火にかける。煮立ったらアクをとり、ふたをして10〜15分弱火で煮る。ナンプラー、醤油で調味し、冷たく冷やす。
 そうめんをゆでて冷水で揉み洗いした後、器に盛る。
 スープを注ぎ、冬瓜、鶏もも肉を乗せ、梅干し、みょうが、青唐辛子の小口切りを散らす。

■レシピ2:冬瓜のツナサラダ

生で食べると、みずみずしく、しゃくっとなめらか。ケイパーとディルをアクセントにしたツナサラダを絡めながらいただく。

画像: 生で食べることで効率的にカリウムを摂取できる

生で食べることで効率的にカリウムを摂取できる

<材料 2人分>
冬瓜200g、ツナ(オイル漬け)小1缶、マヨネーズ大さじ1、ディジョンマスタード大さじ1/2、ケイパー(塩漬け)小さじ2、ディル適宜、塩、黒こしょう

<作り方>
 冬瓜は種とわたを取り除き、ピーラーで薄くむく。厚さ3ミリ程度になるようにいちょう切りにし、塩小さじ1/3をふって10分おく。出てきた水気を絞る。ケイパーは水につけて塩気を抜く。
 ボウルに油を切ったツナ、マヨネーズ、マスタード、粗く刻んだケイパー、ディルを混ぜる。
 器にを盛り、を添え、黒こしょうを粗く挽く。

【お酒セレクト:アネタ ジョージアン ナチュラル ビール イアゴ ビタリシュ 2023】

画像11: PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

 ジョージアはワインだけではなく、ビール大国でもある。これはジョージアワインの名手イアゴが手がけるナチュラルなビール。ワインの澱、果汁を加えて二次発酵させた贅沢な作りは、祖母から受け継いだものだという。「素朴で奥が深く、暖かな手触りのあるようなビール。琥珀色でふくよか、存在感のある味わいです。グビッと喉越しで飲むビールもいいのですが、おつまみからメイン料理まで、ゆっくりと向き合って飲みたいビールですね」(平野さん)

   

ヤングコーンのレシピ×スパークリングワイン

 とうもろこしを甘く大きく育てるために摘果されたものが「ヤングコーン」。捨ててしまえば廃棄物だが、低温物流の整備、食材を無駄なく使うという意識により、旬の味覚として人気の食材となった。若緑色の新鮮なヤングコーンはこの季節だけの特別なおいしさだ。「こりっとした歯応えがよく、たっぷりついているひげ根もごちそう。まだ大人になっていないコーンには瑞々しさ、蓄えられたおいしさがあります。健やかで畑のエネルギーに満ちたワインを合わせて、ありがたくいただきましょう」(平野さん)

■レシピ1:ヤングコーンのグリル

香ばしく焼き色をつけ、ひげ根は蒸し焼きに。熱々のところをアンチョビバターにたっぷり浸して召し上がれ!

画像: 表面をフライパンで焼くことで香ばしさをプラスする

表面をフライパンで焼くことで香ばしさをプラスする

<材料 2人分>
ヤングコーン6本、オリーブオイル大さじ1、無塩バター60g、アンチョビ(みじん切り)10g、にんにく(みじん切り)1片

<作り方>
 ヤングコーンは皮を2〜3枚残してむく。ひげ根は色が焦げないようにホイルで包む。焦げ目をつけるために片面のみ、ヤングコーンが見えるように皮をむく。
 フライパンにオリーブオイルを入れて熱し、焼き目をつけたい面を下にして、ヘラなどで押さえつつ、焼き色がつくまで5〜6分焼く。焼き色がついたら返して蓋をしてさらに3〜4分焼く。
 小鍋にバター、にんにくを入れて弱火で熱し、薄く色づきはじめたら、火を止めてアンチョビを加え混ぜて溶かす。
 につけていただく。

■レシピ2:ヤングコーンの春巻き

カリッと揚げた春巻きの中には丸ごとのヤングコーン。ひと口かじると、蒸し焼きされたひげ根から湯気が立ち昇る。

画像: パリッ、コリっ、そしてほとばしるジューシーさ。ナチュラルで旨味たっぷりのペットナットとの相性は最高

パリッ、コリっ、そしてほとばしるジューシーさ。ナチュラルで旨味たっぷりのペットナットとの相性は最高

<材料 6本分>
ヤングコーン6本、春巻きの皮6枚、小麦粉小さじ1、揚げ油適量 
塩、ガラムマサラ各小さじ1/2

<作り方>
1 ヤングコーンは皮をむき、ひげ根は3センチ長さに切る。小麦粉は少量の水で溶いておく。
2 春巻きの皮のつるつるした面を下にして、ひげ根、ヤングコーンをのせ、両端をたたみ巻き、巻き終わりを水溶き小麦粉で止める。
3 フライパンに1センチ程度の油、を入れて中火にかける。何回か転がしながら、きつね色になるまでじっくりと揚げる。
4 塩とガラムマサラを混ぜ合わせたものを添える。

【お酒セレクト:マルクス・アルテンブルガー プリッケルンド・ペットナットNV】

画像12: PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

 オーストリア、ブルゲンラント州ヨイスは、数百年前は海だったエリア。この地で生産されるワインには、石灰土壌によるミネラルと塩味が与えられる。品種はグリューナー・ヴェルトリーナー、ゲヴェルツトラミネール、ソーヴィニヨン・ブラン、ヴェルシュ・リースリング、ノイブルガー、ミュスカ・オットネル。手がける白ぶどう品種をすべて使って造られた、奥深い果実味を持つ第一級の泡。「造り手の方はとても研究熱心で真面目なお人柄。ストレスなく育てられたぶどうの深い旨味を持つ美しい泡です。断然、ナチュラルな料理との相性がいい。ヤングコーン料理と一緒にいただくと自然の素晴らしさを体感できるように思います」(平野さん)

平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。
公式サイトはこちら

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