BY KYOKO SEKINE
「三井不動産」と言えば、最高級ホテルをいくつも所有・運営することで知られている。しかしこの2つのブランド「三井ガーデンホテルズ」と「ザ セレスティンホテルズ」に関しては、100%子会社である「三井不動産ホテルマネジメント」がチェーン展開している人気ブランドである。そんな中、数あるガーデンホテルの中でも、ここに紹介する「三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア」の特別感は、まず、ロケーションにはじまっている。
都営地下鉄大江戸線国立競技場駅下車徒歩約1分、JR千駄ヶ谷駅徒歩5分、及びJR信濃町駅徒歩6分と言う好立地であり、新国立競技場の目の前に堂々と建っている。2019年11月22日にグランドオープンを迎えたばかりのホテルは、都心でも緑が多いことで知られ、神宮球場や秩父宮ラグビー場、絵画館、有名ないちょう並木など、スポーツ施設や文化施設の点在する、まさに誰もが憧れる都心の一等地である。今年は東京オリンピック・パラリンピック・イヤーでもあり、その国際イベントの核となる施設に対峙するホテルとして、さぞかし大変なことになるのではと想像を巡らせている。
ホテルは13階建て、全362室が揃う。最上階にはジュニアスイートが二部屋(ツイン、ダブル、各約50㎡)造られ、広いバルコニーにはイスやテーブルが置かれ、都心にあって、これほど大きな空を見上げながらサンセットが満喫できる環境にあることに驚かされた。客室はすべてバルコニー付きであり、外に出られる開放感は、都心と思えば尚更たまらない。また真四角に近い建物なので、四方向にある客室によって見える景色が異なっている。L字型バルコニーを併設したデラックスツイン<38㎡>は、二方向に視界が大きく開けた眺望が印象的だ。神宮外苑の杜、新宿副都心、南青山方向まで緑豊かな杜に覆われた美しい地域でもある。
一方、館内2階には興味深い施設が造られている。「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」(内なる美、ととのう暗闇)と題し、漆黒の暗闇の杜で、禅の思想をベースとしたマインドフルネスを体験できるとうたう施設だ。何ひとつ見えない暗闇の中、身体感覚を研ぎ澄まして自分と対話する特別な時が味わえるとあり、人々が体験しにやってくる。一般社団法人 ダイアローグ・ジャパン・ソサエティが運営管理する体験型の施設であり、HPにはこう綴られている。「漆黒の暗闇。そこは目を使うことのない照度ゼロの空間。(略)人間本来が持つ、内なる美が目覚めていく。(略)…」この神宮の杜の静謐な空間で味わえる“自分と対話する大切な時間”を体験してみてはどうだろう。
そして、このホテルの1階には、レストラン「RISTORANTE & BAR E'VOLTA(リストランテ&バー エボルタ)がある。そろそろ春を迎え、庭のテーブル席に座れる温かな季節となる。桜が咲き始め、新緑の薫りに包まれて、パラソルの下で食事やティータイムが過ごせるガーデンテラスは快適であろう。朝食はホテルの自慢でもあり、神宮の杜を舞台に「薪と炭が織りなすグランピング朝食」を提供。光が差し込む大きなガラス窓のレストランは、ライブ感を大切にし、オープンキッチンからは薪の“はぜる音”も聞こえてくる。自家製ハムやソーセージ、卵料理、それに天然酵母に天然塩を使い店内で焼き上げたパンが好評だ。
また、お手ごろなランチにおいては席が空かないほどの人気である。ディナータイムは、イタリア料理をベースにした和洋料理。美味しい料理にリーズナブルな料金で満足度の高いレストランだ。これからのホテルは、こうした“カジュアル&ラグジュアリー”が主流になってくる予感がしている。
MITSUI GARDEN HOTEL JINGUGAIEN TOKYO PREMIER
住所:東京都新宿区霞ヶ丘町11-3
電話:03(5786)1531
客室数:全362室
料金:¥15,700~(1泊1室の室料。消費税込)
公式サイト
せきね きょうこ
ホテルジャーナリスト。フランスで19世紀教会建築美術史を専攻した後、スイスの山岳リゾート地で観光案内所に勤務。在職中に住居として4ツ星ホテル生活を経験。以来、ホテルの表裏一体の面白さに魅了され、フリー仏語通訳を経て、94年からジャーナリズムの世界へ。「ホテルマン、環境問題、スパ」の3テーマを中心に、世界各国でホテル、リゾート、旅館、および関係者へのインタビューや取材にあたり、ホテル、スパなどの世界会議にも数多く招かれている。雑誌や新聞などで多数連載を持つかたわら、近年はビジネスホテルのプロデュースや旅館のアドバイザー、ホテルのコンサルタントなどにも活動の場を広げている
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