“この世に存在する曲線の中で最も美しい”女性の身体の曲線が作品のモチーフだ (c)YASUMICHI MORITA

 真紅の空間に包まれた、モノクロームの写真。それはまぎれもなく白と黒だけで構成されているにもかかわらず、ほのかに息づく肌のような、不思議ななまめかしさを放っている。

 

  デザイナーにしてアーティストでもある森田恭通の写真と、シャンパーニュの最高峰、ドン ペリニヨンとのユニークなコラボレーション・イベントが、六本木のとあるバーで開催されている。会場は、シャンパーニュがメインのバー&ギャラリー『Shu!』。看板もなく、一見の客には開くのがややためらわれる黒塗りのドアの向こうには、小さいが胎内のように居心地のいい、親密な空間が広がっている。展示された写真「Porcelain Nude」は18点。「世界に存在する曲線の中で、もっとも美しいのは女性の身体」だと語る森田が2014年から撮り続けているシリーズで、第3弾となる今作は、2人の女性の裸身が被写体だ。

 

『Shu!』では常時、美術館級のアート作品を入れ替えながら展示している。オーナーの栗澤さんはじめ、女性だけの居心地のいいバーだ TOMOKO SHIMABUKURO

  作品に写る曲線はたしかに女性の身体のカーヴだが、森田はあえて手首や足首などの“部位”が入り込まないようにしているという。

「パッと見たときに、人の身体に見えないでしょう。砂丘のように見えるという人もいる。アートって人の第六感を呼び起こすものですから、見る人の視点でどう捉えていただいてもいいし、むしろ自由に想像できたほうがいいと思うんです。

 

インテリアデザインの仕事をしていると、シンプルな壁にモノクロームで抽象的で、彫刻的な写真が欲しいときがよくあります。でも、実際に探すと、これがなかなかない。友人に頼んでもちょっと違う。それなら自分で撮ってしまおうと思ったのが発端です。だから、ふつう写真家は被写体ありきだと思うんですが、僕は最初からインテリアに飾ること、空間のパーツになることを前提に写真を撮っています」